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嗤う道化は殺されない  作者: からう
笑わぬ子供は道化に至る
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笑わぬ子供と試験・Ⅰ


 夢幻魔法を覚えた次の日。今日はサーカスに入団する試験の一つを受ける日だ。

 試験を受ける為庭に出るとカルード、クラーク、ガンズと他に五人の人が居る。


「おはようございます。ラクーン殿」

「おはようございます」

「紹介します。こちらはサーカスでも高い役職を持った人達です。今回の試験の試験官でもあります」

「なるほど。よろしくお願いします」

「じゃあ一応俺から。サーカスのリーダーをやってる」

「俺は物理統括。物理攻撃をする奴等を纏めてる」

「私は一応諜報担当です。情報集めと敵の牽制が仕事ですね」

「……盾役統括。ムドールだ」


 ムドールと名乗った男は、ガンズを超える身長と体格の大男。非常に重そうな鎧を身に纏っている。


「魔法統括。アレートよ。魔法による遠距離攻撃役を纏めているわ」


 アレートと名乗った女は、女性にしては高い身長と少し露出の多い服を着ており、沢山の指輪やネックレス、ブレスレットなどのアクセサリーを身に着けている。


「補給統括。サックです。物資の調達や装備の管理、主にサーカスの金銭面を担当しています」


 サックと名乗った男は、小柄な身長と落ち着いた服装で、背中に身の丈よりも大きなリュックを背負っている。


「遠距離統括。マユです。弓を使った遠距離攻撃をする人達を纏めています。よろしくお願いしますね」


 マユと名乗った女は、少し小柄で立ち姿が非常に美しく、背中に弓を背負っている。


「漸く俺様だな。俺様は作戦参謀。ジュルクだ。俺様の作戦の美しさに驚くがいい。はっはっはっはっは!」


 作戦参謀を名乗るジュルクと言う非常に傲慢な男は、小柄な身長に小太りした体型、派手な服を着ている。


(コイツが無能か? 見るからに無能そうだが)


「さて、紹介も終わったし早速試験の内容を説明しよう。今回は作戦の立案をメインに審査する。ラクーン殿自身は参加せず、ただ作戦を考えてもらう。ガンズ。呼んで来て」

「分かった」


 ガンズはそう言って屋敷に入って行く。


「さて、ガンズが今回戦闘を行う者達を連れてくるまでの間にもう少し詳しい説明をしておこう。今回の目標はゴブリン十匹の討伐です」

「ゴブリン十匹ですか。サーカスの皆さんなら十匹くらい簡単に倒せてしまうのでは?」

「その為今回はハンデを背負った状態で行います。今回のハンデは重りです」

「なるほど。重りを付けた状態でゴブリン十匹を倒す作戦を考える訳ですね」

「その通りです。何か質問はありますか?」

「今回の作戦はゴブリンの発見からですか? それともゴブリンはすでに発見していて、それを討伐するのですか?」

「すでに十匹発見していますが、見失ってしまったので大まかな位置は分かりますが細かい位置は分かりません。その為ある程度の場所まで行ったら捜索する必要があります」

「なるほど。僕は動けないの?」

「作戦を考えるだけで、その他の行動は出来ません」

「……最悪の状況かな……。じゃあ罠は使えないし……」

「連れて来たぞ。コイツ等が今回戦闘を行う」


 振り向くと五人の男がガンズの後ろに立っている。


「ほら、自己紹介しろ」

「はい。俺はデジンです。普通の剣を使います」


 デジンと名乗った男は普通の剣を構える。一般的な剣。と言う他無い程の何の変哲も無い剣。


「俺はガンクだ。この大型の盾を使う」


 ガンクと名乗った男は背中に大きな盾を背負っている。


「俺はレードです。武器はレイピアです」


 レードと名乗った男は二本のレイピアを腰に携えている。


「僕はケイドです。火属性魔法を使います。よろしく」


 ケイドと名乗った男は細身で片手で持てる小さな杖を持っている。


「俺はジルクだ。武器はこの短剣だ」


 ジルクと名乗った男はククリ刀を持ち、クルクルと手の周りで回している。


「彼等が作戦を実行する。何か質問はありますか?」

「メンバーの変更はありですか?」

「それは無しです。このメンバーで行ってください」

「……面倒な編成ですが、分かりました」

「面倒な編成? ゴブリン程度どんな編成でも勝てるだろ」

「……」


 ジュルクの発言にカルードやクラークは呆れた様に憐れみの目を向ける。それにまったく気づかないジュルク。


「考える時間は二時間です。二時間後また庭に来てください」

「分かりました」


 ラクーンは屋敷に戻り、作戦を考え始める。


「ねえ、カルード」

「何です?」

「今回の試験。厳しすぎないかしら?」

「……難易度が高い事は認めます。けど今はこの位の試験を合格出来る人でなければサーカスには入れれません。仇討ちの為にも強い人が必要です。……それにジュルクの事もあります」

「……なるほど……。やっぱりアレが問題ね」

「はい。ただ今回の試験をクリアできる様なら引き摺り下ろせます。期待しましょう」

「貴方がそこまで言うのね。良いわ。期待して見守りましょう」

「お願いします」



 ラクーンは考えていた。今回の編成は正直にいってしまえばかなり厳しい。ゴブリン十匹に対して盾役は重い盾を使い、魔法使いは一人しか居ない。ただ魔法使いが火属性である事が唯一の希望だろう。今回の試験で鍵を握っているのは魔法使いであるケイドの扱いである。ここをミスすれば勝つ事は厳しいだろう。


(荷物運び役が居ないのが厳しいな……。それにあの重い盾。機動力が低下する。どうしようか……あれ? 編成の変更は出来ないけど、別にそのまま使う必要はないよな? それにあれだけ重い盾を使えるんだから荷運びは出来るよな? ……これならいける。後は金を使えるかどうかだな)


 何かを思いついたラクーンは庭に向かい、金銭面を担当してるというサックに話しかける。


「サックさん。今回の作戦に必要な物があるんですが、お金は貰えますか?」

「金貨一枚までなら良いよ」

「……分かりました」

「何を買うんだい?」

「薪を買うんですよ」

「薪?」

「はい。カルードさん。ケイドさんとガンクさんを呼んでもらえますか?」

「分かりました。ガンズ」

「おう」


 ガンズは屋敷に入っていき、数分するとケイドとガンクを連れて戻ってくる。


「何でしょうか?」

「薪を沢山買ってきて欲しいんだ」

「薪ですか? どの位ですか?」

「金貨一枚で買えるだけ買ってきてください。薪を買い終わったら作戦の説明を行います」

「分かりました」

「それではお願いします」


 そう言ってケイドとガンクを見送る。

 三十分程して大量の薪を買って帰ってくる。それはもう山の様に薪を購入して。


「買ってきました」

「お疲れ様です。それでは説明をします。他の方を呼んできてください」

「分かりました」


 ガンクとケイドが屋敷に入り、三分程経ってからデジン、レード、ジルクを連れて戻ってくる。


「集まりましたね。それでは作戦の説明を始めます。まずはそれぞれの役割を説明します。まずは剣を武器にしているデジンさん、レードさん、ジルクさんには周囲の警戒とゴブリンの捜索をお願いします。今回の攻撃役はケイドさんです。そして一番大事な役割をガンクさんにお願いします」

「一番大事な役……?」

「今回は罠を使った作戦になります。その為ガンクさんには罠である薪を運ぶ役をしてもらいます。大量の薪を外に運び、一か所に集める役目です」

「……あの……俺は盾役なのですが……」

「それは分かっています。しかし今回の作戦において重い盾を持った貴方は要りません。しかしあの盾を使う事が出来る体は持っています。その為あの大量の薪を運んでもらいます」

「それは!」

「これは作戦の一部です。従ってください」

「分かりました」

「それでは詳しい説明に移ります」

「「「「「了解」」」」」


ここまで読んで下さってありがとうございます。

面白いと思って頂けたら嬉しいです。

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