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嗤う道化は殺されない  作者: からう
笑わぬ子供は道化に至る
26/35

笑わぬ子供の戦い方・Ⅱ


 影装イーターをを覚え防御面が一旦問題無くなったラクーンは、攻撃面を鍛える事になる。


「さて、じゃあ攻撃してこい」

「分かりました」


 強化魔法を発動し、一気にガンズに接近し、突きを放つ。ガンズが剣を立てて防ごうとした所で少し軌道を変え、サーベルを引く。ガンズはサーベルの軌道が変わった事を見て、剣でサーベルを弾こうとする。しかしその時にはサーベルを引いていた為、剣は空を斬り、その隙を突き、突きを放つ。しかしガンズはすぐに剣を切り返す。そのせいでサーベルは上に弾かれる。


「くっ!」

「これはガンズじゃ無いですね」

「ああ……そうだな。フェイントは俺の得意分野じゃ無い。カルードだな」

「カルードさんですか?」

「ガンズはフェイントとかは使わないからね。カルードはフェイントを使った戦いをする。純粋な剣の技術的にガンズが良いと思ったけど、フェイントを使う戦い方ならカルードの方が適任だね」

「俺がカルードを呼んで来よう」


 そう言ってガンズは屋敷に入って行く。待つ事数分。カルードを連れてガンズが戻ってくる。


「いきなりなんですか? 俺の担当は先の筈ですが……」

「事情が変わった。フェイントを俺は教えれない。それはお前の分野だ」

「えっ! フェイント主体にするんですか?」

「見ろ。あのサーベルを。ラクーン。振ってみろ」

「はい」


 サーベルを軽く振る。


「何ですか!? そのサーベル!?」

 

 カルードは驚きの声を上げ、サーベルに近づき、様々な角度からサーベルを見る。


「カルードは少し武器マニアな所があってな。変な武器を見ると興奮するんだ。少しすれば治まる」

「ちょっともう一度サーベルを振っていただけますか?」

「……はい」


 その後も十分程カルードの指示に従って剣を振る。さらに十分程経ち、漸く落ち着いた様だ。


「失礼。取り乱しました」

「いえ、それは良いのですが、そろそろ剣の使い方を教えて欲しいんですが……」

「お任せください。フェイントなら世界レベルですからね」


 先ほどの行動を見て不安なラクーンはクラークやガンズの方を見る。


「ん? ああ、それは本当だ。フェイントは上手い。ただフェイントが上手くても他がイマイチだから外だと上の中くらいだけどな」

「確かにフェイントは上手いですね。ただ私が夢幻魔法や闇魔法で作り出した方が確実ですが」

「それは魔法だろ! まあ良いけど。さて、フェイントを教えようか」

「お願いします」


 カルードは懐から緑色の短剣を取り出す。


「それは?」

「これはミスリルで出来た短剣だね。魔力を流すと切れ味が良くなる。あと普通より軽いから使いやすいんだよね」

「なるほど」

「さて、フェイントについてだね。フェイントはどこまで分かる?」

「殆ど分かりません。剣を振ると見せかけて蹴りを入れるとかそういうのですよね」

「うん。まあ大体そんなものだよ。じゃあ究極のフェイントって何だと思う?」

「究極のフェイント? 分かりません」

「究極のフェイントは動体視力と反射神経で相手の行動を見てから行動する事だよ」

「それは別の何かなのでは……」

「そうだね。それは別の何かだ。けどフェイントは突きつめれば最終的のソレに行きつく。

けどそれは俺も教えれないから、普通のフェイントを教えよう」

「お願いします」

「じゃあまずはフェイントの基本から。基本的には攻撃を急に止めて他の攻撃をするのがフェイントだ。殴りを一瞬止めて、相手に行動させてから攻撃する。相手をいかに上手く騙すか。それがフェイントだ」

「なるほど」

「その剣を使うなら途中で軌道を変える技が基本だね。その残像を囮に別の所からの攻撃。相手の思いもしない攻撃で敵を崩し、相手を追い込む」

「なるほど」


 そこからはカルードに色々聞きながら訓練を行う。


「もっと急に。こう……バッと止める感じで」


 カルードはミスリルの短剣で実際にフェイントの動きを見せながら説明してくれる。それを見て切り上げと思わせてからの突きなどの動きを練習していく。


「そうそう」

「なあカルード。フェイントってのは練習だけで上手くなるもんなのか?」

「うーん。なんともいえないかな。けどそろそろ対人戦をしないとダメかな。フェイントは相手に勘違いさせる技だから」

「じゃあ実践役は俺がやろう」

「ガンズが? ちゃんと手加減しろよ」

「分かってる。じゃあやろうぜ。ラクーン」

「はい」


(漸くの実戦。闇と光の魔法を使える様になってから初めての戦い。それもブリューデン以上に強いガンズさんが相手。全力で挑む勝つもりで楽しむ)


 ガンズは黒い大剣を構え、ラクーンは黒いサーベルを構える。


「じゃあ俺が審判をやろう。俺が止めたら戦いを止めろよ」

「おう」

「はい」

「じゃあ……始め!」


 ラクーンはガンズに向かって一気に近づき、サーベルを振る。最初はフェイントを入れず、普通に攻撃する。全ての攻撃を一歩も動かず、大剣を少し動かすだけで防ぐガンズ。今度は少しフェイントを混ぜて攻撃するが全て大剣て弾かれる。


「ふむ。威力が無いな。一撃一撃が軽すぎる」


 その後も何度も剣を振るが全て防がれる。


「そろそろ俺も攻撃しよう」


 そう言ってガンズは黒い大剣を振る。イーターが黒い大剣に噛みつく。しかし黒い大剣はイーターを押し退け、ラクーンに当たる。その衝撃は凄まじく、ラクーンは投げられた石ころの様に吹き飛ばされる。


「おっと。危ない危ない。ガンズ。もう少し手加減してくださいよ」


 吹き飛ばされたラクーンを受け止めるカルード。


「すまん」

「大丈夫ですか? ラクーン殿」

「……はい」

「ガンズ。ラクーン君と戦ってみてどうですか?」

「うむ。弱いな。多分だが幾ら鍛えてもこれ以上劇的に強くなる事はないだろう。一人で戦える実力にはならんな」

「……それは前にも言われました。どこまで鍛えても一人で戦える程強くはなれないと」

「正しいな。良くて中の上が良い所だな。けど発想は良い。夢幻魔法と闇魔法で相手を混乱させれる。お前は奇襲に特化した戦い方が合ってる」

「奇襲ですか? 個人的には罠の方が合ってそうなんですが……」

「なるほど。確かに狩りは正面戦闘と奇襲に比べて才能を必要としない。必要なのは知識と経験だ。それだけに残念だ。アイツが死ななければ策を教えてやれたのに」

「アイツ?」

「サーカスの参謀だったレンストと言う人です」

「レンストが策を考え、私達が実行する。それがサーカスの基本だった」

「マザーフェンリルですか?」

「いや、その前だ。その前の町で死んだ。こう言っちゃ悪いがアイツが生きていればマザーフェンリルにも負けなかった」

「今は誰が?」

「レンストの部下だった奴だ。ただ策を考える事が出来るほど頭が良くない。そろそろレンストの後任を見つけ、出来ればマザーフェンリルを倒したいんだがな」

「じゃあその後任。僕にやらせてくれませんか?」

「お前が?」

「僕は狩人の人に狩りを罠を教わりました。そして闇魔法などを使える様になり、サポート能力が上がり、新たなサーベルと影装でどこにでも入れます。だから味方の指揮を執りながらピンチの味方のサポートに回れる人材になると思います」

「それは指揮をメインにしながら全てを行うという事か?」

「そうです。基本は指揮を執りながら牽制を行い、味方がやられかけていたら盾として入り、攻撃する人が居ないなら攻撃もしましょう」

「つまりオールラウンダ―になると?」

「そうです。策を考え、指揮を執り、前線でも戦える。そういう人材になります」

「それはさすがに……」

「良いじゃねえか。ただそれを目指すなら試験は大変だぞ?」

「今ならサーカスの試験を受けれますか?」

「サーカスに入る試験は受けれる。合格出来るかは別だぞ?」

「受けます。僕をサーカスに入れてください」

「ガンズ! 何を勝手に……」

「良いんじゃないか? カルード。結局は試験は受けさせるつもりだったじゃないか」

「しかしクラーク。……いえ、良いでしょう。ラクーン殿。いえ、ラクーン」

「はい」

「サーカスに入る試験を受けますか」

「受けます」

「では貴方に受けてもらう試験は四つ。策を考える試験。実際に指揮を執る試験。ハンデ付きでサーカスメンバーと剣で戦う試験。ハンデ付きでサーカスメンバーと魔法で戦う試験を受けてもらいます」

「分かりました」

「試験は明後日から順次行っていきます」

「分かりました」


 こうしてラクーンはサーカスに入る為の試験を受ける事が決まる。


ここまで読んで下さってありがとうございます。

面白いと思って頂けたら嬉しいです。

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