笑わぬ子供とサーカス後
二章の始まりです。
ギルドサーカスによるサーカスが終わり、道化師クラークの魔法の凄さと道化師に憧れたラクーンはカルードに会いにいく。
「お疲れ様。凄かったですよ。サーカス。初めてあそこまで見入りましたよ」
「楽しんで頂けたようで何よりです」
「片付け手伝いますよ。それと屋敷にお祝いでも用意させましょうか。無事サーカスも終わった事ですし」
「そいつぁ良いな。頑張ったからな。頑張ったからには美味い酒が必要だ」
「ガンズ。それは……」
「良いですよ。では一度戻らなければ……」
「ラクーン様。早く屋敷に戻りますよ。サーカスの間は監視を無しにしましたが、サーカスが終わったからには監視、それとセイデンさんが読んでいたので屋敷に帰りますよ」
「ランズ。丁度良いところに来た。すぐに屋敷に戻って祝いの準備をしろ。酒も用意してくれ。良いやつを」
「帰ると言っているでしょう。帰りますよ」
「ランズ。僕は今非常に良い気分なんだ。邪魔しないでくれ」
ラクーンがそう言った瞬間、黒い何かがランズに突進した様な気がした。それに反応してカルードが黒い何かを短剣で斬る。しかしそこには無いも無く、短剣は空を斬る。
「今のは……」
「おい、今の……」
カルードとガンズは少し困惑する。
「ランズ。伝えてこい」
ラクーンは何かに気づいた様子は無く、気づいたのはランズとカルードとガンズだけだった。ランズは何かまったく分からず混乱し、カルードとガンズは驚いている。
「わ、わかった。ただ早めに帰ってくださいね」
「分かった」
「では失礼します」
ランズは混乱しながら屋敷に帰る。
「それじゃあ片付けを手伝いますよ」
「あ、ああ」
「それじゃあ椅子の整理をアイツに聞きながらやってくれ」
「分かりました」
ラクーンはそう言ってガンズが指差した方へ向かう。
「ガンズ。ありがとうございます。さっきのはやはり……」
「片鱗だろうな。二人目の登場かもしれん。早めに決めておけよ」
「いえ、それは従来通りに。力があるなら」
「そうか」
◆
ラクーンはガンズに言われた通り椅子の整理をしていく。
「それはこっちに頼む」
「はい」
「それはこっちだ」
「はい」
「ああ、これはあっちだ」
「はい」
言われた通りに片付ける。
「こっちはもう大丈夫だ。他の所の手伝いに行ってくれ」
「はい」
周囲を見回し、クラークがいる所へ向かう。
「クラークさん」
「うん? ああ、ラクーン君ですか。どうしました?」
「手伝いに」
「ではこれを箱に入れるのを手伝ってください」
「分かりました」
言われた通りロープを箱にしまっていく。
「クラークさん。今日のサーカスの最後、タラスクは夢幻魔法ですよね?」
「そうだよ」
「最初の時はどの時から夢幻魔法を使っていたんですか?」
「それは秘密。もし君がサーカスに入って夢幻魔法を使える様になったら教えてあげるよ」
「難しいですね……」
「以外と分からないものだよ」
「けど使ってみたいです。あの魔法が使えれば僕は今の数倍強くなれる。あの魔法を使えればブリューデンにも負けない。もっと楽しい戦いが出来る」
「がんばってね」
「おーい! クラーク。ちょっと来てくれ!」
「分かった! カルードに呼ばれたから行ってくる。これは全て箱にいれておいて」
「分かりました」
その後も片付けを手伝い、全て片付け終わってから屋敷に帰る。
「お待ちしておりました。ラクーン様。すぐにブリューデン様の部屋に向かわれてください。サーカスの皆様はいつもの部屋に向かってください。祝いの準備は出来ております」
「そう。……そろそろだと思ったよ。それじゃあサーカスの皆さんは先にお祝いしていてください。僕は後から行きます」
「分かりました」
使用人に付いて行き、ブリューデンの部屋に向かう。
コンコン
「お連れしました」
「入れ」
「はい」
「……」
部屋の中にはブリューデンとセイデンがいる。
「下がれ」
「失礼します」
使用人が退室する。
「……さてラクーン。今回呼んだのは……」
「漸く決まりましたか?」
「……そうだ。前回の件と今回サーカスを招いた件について、お前への処罰が決まった」
「内容によりますよ。納得できれば受けましょう。そうでなければ暴れましょう」
「……これ以上自由に行動する事は許さん! 一つ目は屋敷からの外出を禁じる。二つ目はお前が知っている魔法に関する知識、全て喋ってもらう」
「それは受け入れられない」
「お前の意思は関係ない。従ってもらう」
「今さ、僕は良い感じなんだ。サーカスを見て気分が高まってる。あれを見た今、前以上に戦える気がするんだ」
「今度は死ぬぞ?」
「今度は手加減無く戦いましょう」
「死ぬ気がしない。今ならサーカス以外に負けない気がする」
ラクーンは血の魔法でサーベルを作り、ブリューデンは血の魔法で大剣を作り、セイデンはサーベルを構える。
ラクーンは強化魔法を発動し、壁を殴る。壁に拳が当たる瞬間、魔貫通魔法を発動し壁を壊す。そのまま壁を壊し屋敷を出て庭に出る。ブリューデンとセイデンが追って庭に出る。壁を壊す音を聞きつけてサーカスのメンバーも庭に出る。
◆
「これは……」
「こりゃ丁度良い。戦いを見ながら酒を飲むのも良いものだ」
「ガンズ。止めなくては」
「待てカルード。これは丁度良いかもしれない。お前が言う様にもし俺と同じになるならこれは見るべきだ」
「しかし!」
「いや、見るべきだ。これでアイツの強さが測れる。それで決めるんだろ? カルード」
「し、しかしそれで怪我をしては元も子も無いでしょう」
「いっちゃ悪いがラクーンの父親と執事みたいのが俺らに勝てる訳無いだろ」
「そうだ。最悪私の夢幻魔法で止めれば良い」
「それにアイツ等の動きと距離なら座っていても対処出来る。そんなに心配すんなよ」
「しかし! いえ、そうですね。これはチャンスだと考えますか」
「そうしろ」
◆
サーカスのメンバーが見ている中、ラクーンは右手に血のサーベルを構え左手に魔力で作った短剣を構える。
ブリューデンは大剣を構え、セイデンはサーベルを構える。
先に動いたのはラクーン。ラクーンは強化魔法で一気に近づき、足元で魔貫通魔法を発動し、その軽い地面の爆発を利用して高く跳ぶ。空中から血を混ぜた短剣をブリューデン目掛けて投擲する。それを少し体を捻って回避するブリューデン。地面に刺さり魔力が霧散した瞬間、魔力に混ぜられていた血が血の魔法として発動し、ブリューデンの足にくっつく。それは大した力は無く一瞬で破壊されるが、その隙にラクーンは着地し、ブリューデンの首目掛けてサーベルを振る。それをセイデンが防ぐが、ラクーンは目標をセイデンに変え、セイデンの右肘を掴み、魔貫通魔法を使用する。右肘を壊し、セイデンを蹴ってブリューデンにぶつける。
「へぇ。思ったよりもやるな。ラクーン」
「けどあの父親には勝てませんかね」
「無理ですね」
セイデンがやられている隙に血の筋肉で全身を覆ったブリューデンが大剣を構え、ラクーンに突撃する。大剣を振る瞬間、ラクーンは魔貫通魔法で地面に穴をあけ、ブリューデンを落とす。しかしそれに一瞬で反応し、穴の横を蹴って穴を抜け、大剣を横に全力で振るブリューデン。その一撃が直撃し、吹き飛ぶラクーン。
屋敷の壁に穴を開け、膝を突くラクーン。
「――!」
腹に攻撃が当たった事で血を吐きながら立ち上がるラクーン。
「終わりだ。ラクーン」
「いや、いやまだだ。血の魔法<血の筋肉><強化魔法><魔力武装・鎧><魔力武装・集中鎧>」
自分が使える血を全て使い腕に血の筋肉を作る。全身を覆える程の量の筋肉を腕に集中させ、硬さは最大。魔力武装で全身に鎧を作り、特に腕に集中して鎧の量を増やす。爆発する寸前まで魔力を込めて鎧を作る。
「悪あがきは止せ。その程度効かん」
「それでも……やるんだよ……。全力で……届くように……自分に有るもの全部使って!」
その瞬間、黒い何かがパンチを放つ。ブリューデンはそれを察知し大剣で防ぐ。ラクーンは黒い何かには気づかない。何故か頭を守ったブリューデンの腹に目掛けてパンチを放つ。強化魔法で足から腕までその時一番力を使う所に魔力を移動させ殴る。もう少しで当たるといった時、ブリューデンとラクーンの意識は消える。
◆
ラクーンが最後の一撃の準備をし始めた頃、サーカスは……。
「おい、少し不味くないか?」
「あれは確かに不味いな」
「うん。ラクーン君が不味いな。あれでは体が壊れてしまう」
「止めるか」
ラクーンが最後の一撃を放とうとした瞬間、黒い何かが確かに攻撃を放ち、それをブリューデンは防ごうとした。
「クラーク!」
「間違いない。二人目の……夢幻魔法を使える者だ」
「じゃあ両方止めましょう」
ガンズがブリューデンの意識を奪い、カルードがラクーンの一撃を止め、クラークがラクーンの意識を奪う。
「さて、どうしようか」
「とりあえず屋敷の中に入れて、使用人の人達に任せよう」
「確かにそれが一番だ」
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