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世界女王は、彼にだけ勝てない  作者: てへろっぱ


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第七十八話 信じることと、任せきることは違う

 残り四分。


 スコアは五対二。


 数字だけを見れば、Crownlessがかなり有利だった。


 だが、ユイは開始音が鳴った直後、ZEROの四人がこれまでとは少し違う動きをしたことに気づいた。


 全員が散った。


 それ自体は珍しくない。


 FIRSTは左資源、SECONDは中央、THIRDは右側へ進み、ORIGINATORは誰もいない外周へ向かっている。


 問題は、その後だった。


「……速い」


 ユイが呟く。


 これまでZEROは、自分が何をしたいのかをその都度選んでから動いていた。迷うこともあれば、途中で捨てることもあった。


 今は、迷いがほとんどない。


 かといって作戦を決めているようにも見えない。


「何か変わった?」


 中央へ向かいながらレナが聞く。


「はい。ただし、まだ説明できません」


「じゃあ見ながら!」


「お願いします」


 SECONDが中央へ入り、すぐに保持を始める。


 レナが止めようとした。


 その直前。


「待って」


 ミカの声が飛ぶ。


 レナは反射的に足を止めた。


「何?」


「左です」


 FIRSTが資源拠点へ触れている。


 それだけなら放っておいてもいい。


 けれど、FIRSTの位置からは中央へ射線が通っていた。


 中央へ入るレナを撃てる。


「私が止めます」


「じゃ、お願い!」


 ミカがFIRSTへ向かい、レナは中央へ戻る。


 自然な分担。


 これまでなら、それでよかった。


 しかし。


 FIRSTはミカが近づいた瞬間、資源を捨てた。


 撃たない。


 逃げない。


 そのまま中央へ走る。


「中央?」


 ミカが追う。


 同時に。


 右。


 THIRDもECHOとの距離を切り、中央へ。


「THIRDも行きます」


「見えています」


 ユイが答える。


 そして外周にいたORIGINATORまで、何の前触れもなく中央へ向きを変えた。


「四人」


 レナの声が少し硬くなる。


 ZEROの四人が中央へ集まる。


 さっきまで「何がしたいか」をそれぞれ別に選んでいた四人が、今は誰に言われることもなく同じ場所へ向かっていた。


「来るなら!」


 レナが笑って中央へ飛び込む。


 SECONDが受ける。


 FIRSTが横からレナを狙い、ミカがそれを撃って止める。THIRDはECHOと再びぶつかり、ORIGINATORは中央の少し後ろで全体を見ていた。


 ユイはその位置が気になった。


「指示しますか」


 ORIGINATORへ問いかける。


「しない」


「では、何を」


「今は三人が何するか見たい」


「また見ているだけ?」


「うん。でも」


 ORIGINATORは少し笑った。


「さっきまでとは違う」


 ユイが聞き返すより早く、FIRSTが声を上げた。


「SECOND、右寄って!」


「了解!」


 SECONDが一歩だけ右へずれる。


 その瞬間、THIRDがECHOを押しながら中央へ入りやすくなる。


 レナが反応する。


「今の、指示した!」


「したね」


 ORIGINATORはあっさり認めた。


「答え持ち越さないんじゃなかったの?」


「それとこれは別」


 レナの眉が寄る。


 FIRSTが続ける。


「今、右が欲しかったから言っただけ!」


「じゃあ次も?」


「知らない!」


「わかりにくい!」


 しかし、動きは確かに噛み合っていた。


 SECONDがFIRSTの言葉を聞いて右へ寄る。


 THIRDが中央へ入る。


 ORIGINATORはその二人を見て、今度は自分から左へ回る。


 ユイが悟った。


「そういうことですか」


 ZEROは、答えを持ち越さない。


 けれど、共有まで捨てているわけではない。


 その瞬間に必要だと思えば、普通に声をかける。


 助けを求める。


 頼む。


 提案する。


 ただ、それを次のルールにしないだけだ。


「前より、連携してる」


 ECHOが言う。


「はい」


「なぜ急に?」


 ユイはORIGINATORを見る。


 ORIGINATORは答えなかった。


 代わりに、SECONDが笑う。


「さっきCrownless見たからじゃない?」


 ユイの表情が変わる。


「私たちを?」


「うん。言わなくてもわかるの、すごいなって思った」


 FIRSTも続ける。


「でも私たち、言わなくてもわかるようになるまで待つ必要ないでしょ」


 THIRD。


「今言いたいなら、今言えばいい」


 ORIGINATORも最後に頷いた。


「そう思った」


 レナが呆れたように笑った。


「試合中に覚えてるじゃん!」


「覚えたよ」


「持ち越してるじゃん!」


「違う」


 ORIGINATORが中央へ踏み込む。


「Crownlessみたいにしようって決めたわけじゃない。ただ今、声を使いたくなった」


「それ、ずるくない!?」


「何が?」


「説明しにくい!」


 ZEROは、Crownlessの強みをコピーしたわけではない。


 見て。


 感じて。


 その瞬間に使いたくなったものだけを使っている。


 そして次に必要なければ、また捨てる。


「来ます!」


 ユイが叫ぶ。


 SECONDが中央へ深く入る。


 FIRSTがレナを押さえ、THIRDがECHOを止める。ORIGINATORはミカの射線へ一度だけ入り、中央への援護を遅らせた。


 保持カウント。


 一秒、二秒、三秒。


 レナがSECONDを押し出そうとする。


「ユイ、中央!」


「行きます!」


 ユイも入る。


 競合。


 停止。


 だがその瞬間、FIRSTがレナへ声をかけるように攻撃を重ねた。


「こっち!」


「敵に呼ばれる筋合いない!」


 レナは応戦する。


 SECONDが空く。


 ユイが追う。


 THIRDが今度はECHOを捨ててユイへ。


「今、そっち!」


「行かせません」


 ECHOが追う。


 さらにミカが中央へ入ろうとした瞬間、ORIGINATORが正面へ立つ。


「今度は私ですか」


「今は」


「なら」


 ミカは構える。


 ORIGINATORも。


 互いに一発。


 ミカが先に当てる。


 ORIGINATORの体力が七割へ落ちる。


 それでも退かない。


「倒されてもいいんですか」


「今は、ここにいたい」


「では倒します」


「どうぞ」


 二人が撃ち合う間にも、中央の保持は再開していた。


 SECOND。


 一秒。


 二秒。


 ユイが戻る。


 三秒。


 THIRDがユイを止める。


 四秒。


 ECHOがTHIRDへ。


 五秒。


 レナはFIRSTに捕まっている。


 六秒。


「ミカ!」


 レナが叫ぶ。


 ミカはORIGINATORを倒せる位置にいた。


 あと一発。


 当たれば落とせる。


 けれど中央は六秒。


 今行けば間に合う。


 ミカは一瞬だけORIGINATORを見る。


「すみません」


「何が?」


「今は、あなたではありません」


 ミカは撃たずに中央へ走った。


 ORIGINATORは追わなかった。


「いいね」


 七秒。


 ミカが射程へ入る。


 SECONDへ撃つ。


 回避。


 八秒。


 もう一発。


 今度は被弾。


 SECONDの位置がずれる。


 九秒。


 ミカが三発目を撃とうとする。


 その瞬間。


「SECOND、下がって!」


 FIRSTの声。


 SECONDが即座に中央から飛び出した。


 保持カウントが消える。


 ミカの弾も外れる。


「捨てた?」


 レナが驚く。


「うん!」


 SECONDが笑う。


「もう無理そう!」


 中央が空く。


 Crownlessが入れる。


 だが。


 その瞬間。


 右資源。


 通知音。


 THIRD。


 いつの間にか。


 いない。


 ECHOが振り返る。


「……THIRD」


 右資源。


 取得完了。


 RESOURCE SECURED.


 ZERO.


 THREE.


 五対三。


「いつ行ったの!?」


 レナが叫ぶ。


「さっき!」


 THIRDが楽しそうに答える。


 そして得点が入ったことで、マップが白く初期化された。


 全員が再開地点へ戻される。


 残り三分十一秒。


 五対三。


 ZEROが一点を返した。


          ◇


「今の」


 ユイは再開地点で少し考えた。


「私たちを見て変わりました」


 ミカが頷く。


「はい。でも、真似ではありません」


「自分たちなりに使った」


 ECHOも言う。


 レナは眉を寄せている。


「それってさ」


「はい」


「めちゃくちゃ強くない?」


「かなり」


 ユイは素直に認めた。


 ZEROは過去の答えに縛られない。


 だから、新しいものを取り入れる速度も異常に速い。


 普通のチームなら、新しい連携を試す時には練習が必要だ。


 誰が声を出すか。


 誰が従うか。


 どの範囲まで共有するか。


 何を合図にするか。


 ZEROには、その固定がない。


 使いたいと思ったら、その場で使う。


 合わなければ次に捨てる。


「NoNameさんが三度勝てなかった理由、もう一つ増えましたね」


 ユイが言う。


 観戦席のNoNameは何も答えない。


 ただ。


 少しだけ笑っている。


 昔なら。


 この変化を見て焦ったかもしれない。


 自分の知らない戦い方へ変わるたび、その理由を探し、次のパターンを作ろうとした。


 今は違う。


 ただ、見ている。


 Crownlessがどうするのかを。


          ◇


 次の一点。


 ZEROは開始直後から声を使った。


「FIRST、中央行く?」


 SECONDが聞く。


「今は左」


「了解」


「THIRDは?」


「ECHO!」


「私ですか」


「うん!」


「受け取ります」


 ORIGINATOR。


「俺はレナ」


「来い!」


 そしてSECONDだけが中央へ向かった。


 Crownless側も動く。


 ミカがFIRST。


 ECHOがTHIRD。


 レナがORIGINATOR。


 ユイがSECOND。


 自然に四組へ分かれる。


 ただ、今度はZEROだけではない。


「ミカさん」


 ユイが通信を開く。


「はい」


「FIRSTさんが途中で中央へ寄った場合、追わなくて構いません」


「わかりました」


「レナ」


「何!」


「ORIGINATORさんが離れても無理に追わないでください」


「了解!」


「ECHO」


「はい」


「THIRDさんとの会話が長くなっても」


「試合中なのでほどほどにします」


「そこまで言っていません」


「受け取ります」


 レナが吹き出す。


 ZEROが声を使い始めたから。


 Crownlessも声を増やした。


 しかし。


 こちらには違いがある。


 説明しすぎなくても伝わる。


 どこまで言えば十分かを知っている。


 ユイがSECONDと中央でぶつかる。


「指示増えたね」


 SECONDが言う。


「必要だと思ったので」


「ZERO見て?」


「少しは」


「真似?」


「いいえ」


 ユイは中央からSECONDを押し出す。


「使えるものを使っているだけです」


「そっちも同じか」


「似ていますね」


 SECONDが笑う。


「じゃあ」


 突然。


 中央を捨てた。


「私は右行く」


「どうぞ」


 ユイは追わない。


 中央が空く。


 一人。


 保持。


 一秒。


 二秒。


 FIRST。


 左から中央を見る。


 来ない。


 三秒。


 ORIGINATOR。


 レナと戦う。


 四秒。


 THIRD。


 ECHO。


 五秒。


 ユイ。


 一人。


 六秒。


「取れそうです」


 ミカの声。


「はい」


 ユイもそう思う。


 七秒。


 ZERO。


 誰も来ない。


 八秒。


 レナが笑う。


「また一点!」


 九秒。


 その瞬間。


「ユイ!」


 ミカが叫んだ。


 左。


 FIRST。


 資源。


 あと一秒。


 右。


 SECOND。


 資源。


 あと一秒。


 中央。


 ユイ。


 あと一秒。


 三箇所。


 同時。


 誰が取る。


「……!」


 ユイは中央を離れない。


 十秒。


 CENTRAL HOLD.


 CROWNLESS.


 SIX.


 同時。


 RESOURCE SECURED.


 ZERO.


 FOUR.


 RESOURCE SECURED.


 ZERO.


 FIVE.


 マップ表示が一瞬遅れて更新される。


 Crownless、六。


 ZERO、五。


 わずか数秒の間に。


 三点。


 動いた。


 会場の空気が変わる。


「二点!?」


 レナが目を見開く。


 ユイもすぐには言葉が出なかった。


 中央一点を取った。


 それ自体は正しい。


 けれどZEROは、こちらが中央へ集中する間に左右を同時に取った。


 しかも。


 作戦として示し合わせた様子はなかった。


 FIRSTとSECONDが、それぞれ自分で選んだ。


「一気に一点差」


 ミカがスコアを見る。


 残り一分五十二秒。


 六対五。


 決勝は、もう安全な位置にはなかった。


          ◇


「今のは、私の判断が遅れました」


 ユイが言った。


「中央を取ることに意識を固定しすぎました」


「でも一点取ったじゃん」


 レナが返す。


「はい。しかし二点取られました」


「じゃあ次は?」


 ユイはすぐに答えようとして。


 止めた。


 次は左右を見る。


 そう言えば、それも今の失敗から作った答えになる。


「……わかりません」


 珍しい言葉だった。


 レナが笑う。


「師匠みたい」


「少し嫌です」


 観戦席のNoNameがこちらを見る。


「聞こえてるかもよ」


「それは困ります」


 ユイも少しだけ笑う。


 そして。


 もう一度盤面を見る。


「ただ、一つあります」


 三人が聞く。


「何?」


「私は今、皆さんを信じていたつもりでした」


 ECHOが首を傾げる。


「違った?」


「少し違いました」


 ユイは言葉を選ぶ。


「任せれば大丈夫だと思っていた。だから、左右を見なくなった」


 ミカの表情が変わる。


「信じた結果、見なくなった」


「はい」


「それは」


 ECHOが続ける。


「任せきった?」


「そうです」


 レナが少し考える。


「悪いの?」


「悪いわけではありません。ただ」


 ユイは三人を見る。


「信じることと、見なくていいことは同じではありません」


 ミカも頷いた。


「私も、ユイさんが中央を見ていると思って左だけに集中しました」


 ECHO。


「私はTHIRDだけを見ました」


 レナ。


「私、師匠……じゃなくてORIGINATORだけ」


「今、師匠と言いかけましたね」


「似てるから!」


「本人たちは似ていないと言いそうです」


「今そこじゃない!」


 少しだけ笑いが戻る。


 それでも。


 意味は重い。


 積み上げてきた信頼。


 それはCrownlessの強みだ。


 誰かがやってくれると知っている。


 だから自分のことを選べる。


 でも。


 相手が変わり続けるZEROに対して。


 その信頼を理由に。


 見ることまでやめれば。


 そこに隙ができる。


「じゃあ」


 レナが言う。


「信じる。でも見る?」


「はい」


「任せる。でも気にする?」


「はい」


「助ける?」


「必要なら」


「頼む?」


「必要なら」


 ECHOも頷く。


「固定しない」


「そうです」


 ミカが少し笑う。


「難しいですね」


「はい」


 ユイも笑った。


「でも、今の私たちならできます」


 ZERO側。


 ORIGINATORが四人の様子を見ていた。


「何か見つけた?」


 レナが聞く。


「そっちは?」


「見つけた!」


「じゃあ、こっちも探す」


「まだないの?」


「今から」


 その返答に。


 レナは笑った。


「やっぱ面倒!」


          ◇


 残り一分三十秒。


 六対五。


 次の一点。


 開始音。


 今度のZEROは。


 誰も走らなかった。


 四人とも。


 開始地点付近。


 少しだけ。


 歩く。


 Crownlessも。


 すぐには出ない。


 互い。


 見る。


 FIRSTが左を見た。


 SECONDは中央。


 THIRDはECHO。


 ORIGINATORは。


 観戦席のNoNameを。


 一瞬。


 見た。


 そして。


「最後になるかもしれないな」


 呟く。


 レナが聞いた。


「何が?」


「この試合」


「当たり前じゃん。決勝だし」


「そうだね」


 ORIGINATORは笑った。


「だから」


 一歩。


 前。


「今は、四人で勝ちたい」


 FIRSTが見る。


 SECONDも。


 THIRDも。


 誰もすぐには返事をしない。


 ORIGINATORは続けない。


 命令ではない。


 作戦でもない。


 自分が。


 今。


 そうしたい。


 それを言っただけ。


 数秒。


 FIRSTが口を開く。


「私も」


 SECOND。


「うん」


 THIRD。


「私も、今はそれがいい」


 四人。


 初めて。


 同じ言葉で。


 同じものを。


 選んだ。


 CROWNEDの時とも違う。


 あの四人は「四人で一点を取りたい」と選んだ。


 ZEROは。


「四人で勝ちたい」


 試合そのものを。


 共有した。


 ユイの背中に。


 ぞくりと。


 緊張が走る。


「来ます」


 ミカも構える。


「はい」


 ECHO。


「四人で」


 レナ。


 笑う。


「じゃ、こっちも四人!」


 ZEROが動く。


 今度は。


 散らない。


 全員が。


 互いの距離を。


 保つ。


 FIRSTが前。


 SECONDが左。


 THIRDが右。


 ORIGINATORが中央後方。


 初めて。


 明確に。


 チームの形。


 見える。


 でも。


 固定役割。


 ではない。


 四人が。


 今。


 勝つために。


 その位置を選んだ。


「ユイ」


 レナ。


「指示!」


 以前なら。


 ユイ。


 全部。


 決めた。


 今は。


「ありません」


「え!」


「ただし」


 ユイは三人を見る。


「全部、見てください」


 ミカ。


「はい」


 ECHO。


「受け取ります」


 レナ。


 一瞬。


 それから。


「了解!」


 Crownlessも動く。


 四人。


 誰かを。


 任せたまま。


 見なくなるのではない。


 自分の相手を見ながら。


 仲間も見る。


 自分で選びながら。


 必要なら。


 手を伸ばす。


 八人。


 中央へ。


 近づく。


 残り。


 一分。


 六対五。


 FIRSTとミカ。


 正面。


 SECONDとレナ。


 左。


 THIRDとECHO。


 右。


 ORIGINATOR。


 中央。


 ユイ。


 また。


 四組。


 でも。


 今度は。


 誰も。


 一対一だと。


 思っていない。


 ミカがFIRSTへ撃ちながら、SECONDを見る。


 レナがSECONDへ踏み込みながら、ECHOを見る。


 ECHOがTHIRDと距離を測りながら、ユイを見る。


 ユイがORIGINATORと向き合いながら。


 三人。


 全部。


 見る。


 ZEROも同じだった。


「……来ましたね」


 ユイが言う。


 ORIGINATORが笑う。


「何が?」


「あなたたちの、本当の四人が」


 ORIGINATORは少し考えた。


「かもね」


「では」


 ユイも笑う。


「こちらも、四人で行きます」


 残り五十二秒。


 六対五。


 決勝。


 最後の時間。


 ZEROはもう、昔NoNameが壊したチームではない。


 Crownlessも、NoNameが作ったチームではない。


 どちらも。


 自分たちで。


 ここまで来た。


 そして。


 次の一点は。


 どちらかが。


 そのことを。


 勝敗として。


 残すための一点になった。


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