表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
世界女王は、彼にだけ勝てない  作者: てへろっぱ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/42

第十五話 休息日は、休ませてくれない

NoNameは、次回は軽めにしますと言った。


その言葉を、星野ミカは半分だけ信じていた。


半分だけ。


なぜなら、NoNameの言う軽めは、普通の人間の軽めではない。


前に軽く見ますと言って、世界大会決勝の勝ち筋と負け筋を三時間近く分解されたことがある。


少しだけ確認しますと言って、三年前の自分の癖まで掘り返されたこともある。


必要なら、と言いながら、結局一番痛いところを正確に突いてくる。


だからミカは、今日のディスコードを開く前にノートを用意していた。


軽め。


信用してはいけない。


そう一番上に書いておく。


七瀬さんがそれを見て、少し笑った。


完全に疑ってるね。


師匠の軽めは信用できません。


でも行くんだ。


行きます。


ミカは即答した。


怖くても、きつくても、NoNameとの検証には行く。


そこには、自分がまだ知らない強さがある。


それを知ってしまったから、もう戻れない。


二十一時。


ディスコードに三人が揃った。


Hoshino_Mika

Tsukishiro_Yui

Kurose_Rena


NoNameはまだ来ていない。


レナが最初に打った。


今日の軽め、信用してる?


ミカ。


半分くらいです。


ユイ。


私は三割です。


レナ。


低い。


ミカ。


ユイさんが一番疑ってる。


ユイ。


過去の傾向から判断しています。


レナ。


データに基づく不信。


ミカは笑った。


三人でNoNameを待つ時間にも、少し慣れてきた。


最初は緊張していた。


星野ミカ。

月城ユイ。

黒瀬レナ。


別々のジャンルで頂点に立った三人。


互いを知ってはいたが、話したことはなかった。


それが今では、NoNameの軽めを信用するかどうかで会話している。


不思議だった。


でも、悪くない。


少し遅れて、NoNameが入った。


NoName。


お疲れさまです。


レナ。


今日ほんとに軽め?


NoName。


はい。


ユイ。


定義を確認してもいいですか。


NoName。


身体的負荷、精神的負荷、情報量を抑えた内容です。


ミカ。


それなら軽めそうです。


レナ。


ほんとかな。


NoName。


今日は試合をしません。


三人のチャットが止まった。


ミカ。


本当に軽めですね。


ユイ。


少し驚きました。


レナ。


じゃあ何するの。


NoName。


休む練習です。


また止まった。


レナ。


やっぱり変なこと言い出した。


ミカ。


休む練習。


ユイ。


競技者には必要ですが、難しい課題ですね。


NoName。


はい。


ミカはノートに書いた。


休む練習。


意味はわかる。


だが、ゲームの練習より難しいかもしれない。


世界大会の後から、ずっと気持ちが走っている。


優勝。

師匠発言。

NoName騒動。

ユイとレナとの検証。

Rogue対策。

エキシビション企画。


頭が休まっていない。


休むと言われても、何をすればいいかわからない。


NoName。


今日の課題は三つです。


ミカは身構えた。


やはり課題はある。


NoName。


一つ。

今日は試合ログを見ない。


二つ。

自分の弱点を掘らない。


三つ。

三人で、ゲーム以外の話をしてください。


レナ。


は?


ミカ。


ゲーム以外?


ユイ。


それは、訓練ですか?


NoName。


はい。


レナ。


どういう訓練?


NoName。


三人は、互いの負け方はかなり見ました。

ですが、互いの普通の部分をあまり知りません。

それだと、試合中の異変を弱点としてしか見られません。


ミカは少し考えた。


言われてみれば、そうだった。


ミカはユイの盤面を知っている。

レナの怒りを知っている。

NoNameに刺された時の反応も知っている。


でも、ユイが普段何を食べるのか知らない。


レナが配信のない日に何をしているのかも知らない。


二人がどんな時に笑うのか、どんな時に疲れるのか。


そういうことは、まだ知らない。


NoName。


人としての基準を知らないと、異変を見落とします。

今日は、その基準を作ってください。


ユイ。


なるほど。

通常状態の把握ですね。


レナ。


言い方が硬い。


ミカ。


でも、わかります。


NoName。


私は席を外します。

三人で話してください。


レナ。


え、あんた抜けるの?


NoName。


はい。


ミカ。


師匠はいないんですか?


NoName。


私がいると、三人とも私に合わせます。


三人は黙った。


否定できなかった。


NoNameがいると、どうしてもNoNameを中心にしてしまう。


昨日あれだけ言われたばかりだ。


NoNameを中心にしすぎている。


だから今日は、NoNameが抜ける。


本当に軽めなのかもしれない。


いや、これもかなり大事な訓練だ。


NoName。


一時間後に戻ります。

その時、三人それぞれが、他の二人について一つずつ普通の情報を共有してください。


レナ。


宿題あるじゃん。


NoName。


軽めです。


ミカ。


軽めの範囲ではあります。


ユイ。


承知しました。


NoName。


では、後で。


NoNameがオフライン表示になった。


三人だけが残った。


急に静かになった。


ミカは画面を見つめる。


ユイも、レナも、たぶん同じように少し困っている。


ゲームの話ならいくらでもできる。


NoNameの弱点なら、何時間でも考えられる。


Rogue対策なら、資料がある。


でも、ゲーム以外の話。


何から話せばいいのかわからない。


最初に打ったのはレナだった。


で、何話す?


ミカ。


趣味、とか?


ユイ。


無難ですね。


レナ。


無難すぎない?


ミカ。


じゃあ、好きな食べ物とか。


レナ。


ミカ、真面目に雑談下手?


ミカは画面の前で固まった。


鋭い。


ミカ。


下手かもしれません。


ユイ。


私も得意ではありません。


レナ。


私も配信なら喋れるけど、普通の雑談は別。


三人とも、少しだけ沈黙した。


その沈黙が、なぜかおかしかった。


世界女王が三人集まって、雑談の入り口で止まっている。


ミカは笑いながら打った。


私たち、ゲーム以外だと弱いですね。


ユイ。


弱点が増えました。


レナ。


NoNameに見られなくてよかった。


ミカ。


あとで報告するんですよね。


レナ。


やっぱり見られてるのと同じじゃん。


少しだけ空気が緩んだ。


ミカは、思い切って話し始めた。


私は、甘いものが好きです。

特に大会後は、チョコ系が食べたくなります。


レナ。


意外と普通。


ミカ。


普通です。


ユイ。


大会後に食べるものを決めているのは良いですね。

切り替えの儀式になります。


ミカ。


そんな大層なものじゃないです。

ただ、頑張ったから食べたいだけで。


レナ。


それでいいでしょ。


レナが続けた。


私は辛いもの好き。

あと、負けた日はなぜかラーメン食べたくなる。


ミカ。


わかる気がします。


ユイ。


負けた日のラーメン。


レナ。


そう。

ムカつくから濃いやつ食べる。


ユイ。


健康面では少し心配です。


レナ。


出た、真面目。


ミカ。


ユイさんは何が好きなんですか?


ユイの返信は少し遅れた。


紅茶と、あまり甘くない焼き菓子が好きです。


レナ。


イメージ通りすぎる。


ミカ。


似合います。


ユイ。


そうでしょうか。


レナ。


絶対、部屋も綺麗でしょ。


ユイ。


比較的、整えています。


レナ。


やっぱり。


ミカ。


私は遠征中だと散らかります。


レナ。


私も。

コントローラーとか資料とか服とか、全部その辺。


ユイ。


それは、少し落ち着かなさそうです。


レナ。


ユイが見たら倒れそう。


ユイ。


倒れはしません。

片付けたくはなると思います。


ミカは笑った。


ユイは、本当にユイらしい。


でも、思っていたより少し柔らかい。


最初は、もっと冷たい人かと思っていた。


常に正確で、隙がなくて、感情を表に出さない人。


でも実際は、紅茶と焼き菓子が好きで、人の部屋を片付けたくなる人だった。


レナもそうだ。


配信では荒くて、勝負に熱くて、すぐ噛みつく人。


でも実際は、二人の危険サインをちゃんと覚えていて、最初に大丈夫かと聞いてくれる。


ミカは少しだけ胸が温かくなった。


ミカ。


私、二人のこと、怖い人だと思ってました。


レナ。


私も?


ミカ。


はい。

レナさんは特に。


レナ。


正直。


ユイ。


私はどうですか?


ミカ。


ユイさんは、怖いというより、完璧な人だと思ってました。


ユイ。


それは誤解です。


レナ。


完璧な人はNoNameの軽めを三割しか信用しない。


ユイ。


それは合理的判断です。


ミカはまた笑った。


ユイも少しだけ笑っている気がした。


文字だけでも、なんとなくわかるようになってきた。


レナ。


私は、ミカはもっと王道主人公っぽい人だと思ってた。


ミカ。


王道主人公?


レナ。


世界大会優勝して、真っ直ぐで、努力家で、最後は自分で決めるタイプ。

まあ合ってるけど、思ったより悩むんだなって。


ミカは少し黙った。


思ったより悩む。


それは、たぶんその通りだ。


ミカ。


悩みます。

かなり。


ユイ。


悩まない人は、NoNameさんの言葉をあそこまで受け取れないと思います。


ミカ。


そうでしょうか。


ユイ。


はい。

ミカさんは、痛い言葉から逃げない人だと思います。


ミカは画面の前で、少しだけ固まった。


褒められた。


ユイに。


NoNameの良いですとは違う。


レナのすごいじゃんとも違う。


静かで、でも深い言葉だった。


ミカ。


ありがとうございます。

ちょっと照れます。


レナ。


ミカ、褒められると素直に照れるタイプね。


ミカ。


たぶんそうです。


レナ。


覚えた。


ユイ。


覚えました。


ミカ。


変な使い方しないでください。


レナ。


するかも。


ミカ。


レナさん。


ユイ。


止めます。


レナ。


止められた。


雑談は、少しずつ自然になっていった。


ゲーム以外の話と言いながら、やはり時々ゲームに戻る。


でも、それでよかった。


三人にとって、ゲームは生活の中心にある。


完全に切り離す必要はない。


ミカは、大会前に必ず靴紐を結び直す癖があると言った。

ユイは、大きな試合の前ほど机を片付けすぎると言った。

レナは、負けた後にコントローラーを磨くと言った。


ミカ。


磨くんですか?


レナ。


壊すよりいいでしょ。


ユイ。


非常に良いと思います。


レナ。


褒められた。


ミカ。


レナさん、褒められるとちょっと静かになりますね。


レナ。


ならない。


ユイ。


今、少し間がありました。


レナ。


二人とも見てくるようになったね。


ミカ。


訓練の成果です。


レナ。


嫌な成果。


そう言いながら、レナの文面は少し楽しそうだった。


一時間は、思ったより早く過ぎた。


NoNameが戻ってきた。


NoName。


戻りました。


レナ。


ほんとに一時間で戻ってきた。


ユイ。


おかえりなさい。


ミカ。


おかえりなさい。


NoName。


どうでしたか。


三人は少しだけ黙った。


報告するのが、妙に恥ずかしい。


ユイが最初に整理した。


ミカさんについて。

褒められると素直に照れる傾向があります。

また、大会前には靴紐を結び直すことで集中を切り替えているようです。


ミカ。


ユイさん、いきなりそれですか。


NoName。


良い情報です。


ミカ。


良い情報なんですか。


NoName。


はい。

緊張時の切り替え行動は重要です。


レナ。


じゃあ私から。

ユイは紅茶と甘すぎない焼き菓子が好き。

あと、人の部屋を片付けたくなるタイプ。


ユイ。


後半は必要でしょうか。


NoName。


必要です。


ユイ。


必要なのですか。


NoName。


はい。

環境の乱れがストレスになる可能性があります。


ミカ。


本当に分析に使ってる。


最後にミカが報告する。


レナさんは、負けた日に濃いラーメンを食べたくなるそうです。

あと、負けた後にコントローラーを磨きます。


NoName。


良いです。


レナ。


これも良いの?


NoName。


はい。

負けた後の処理行動です。

壊すのではなく磨くのは良いです。


レナ。


なんか真面目に褒められると困る。


ミカ。


静かになりました。


ユイ。


なりましたね。


レナ。


なってない。


NoName。


なっています。


レナ。


あんたまで言うな。


空気が軽かった。


本当に、軽めだった。


それがミカには少し嬉しかった。


NoNameは、ちゃんと軽くできる。


必要なら刺す。


でも、必要なら休ませる。


たぶんNoNameは、そういう人なのだ。


NoName。


今日のまとめです。


レナ。


まとめあるんだ。


NoName。


あります。


ミカはノートを構えた。


軽めでも、まとめはある。


NoName。


一つ。

互いの通常状態を知ることは、試合中の異常に気づくために必要です。


二つ。

弱点だけを見ると、人ではなく課題として扱い始めます。

それは危険です。


三つ。

三人は、互いを少しずつ人として見られるようになっています。

良い状態です。


ミカは三つ目で手を止めた。


互いを人として見る。


当たり前のようで、難しいことだった。


世界女王。


盤面の女王。


格闘女王。


NoNameに負けた人。


そういう肩書きではなく。


星野ミカ。

月城ユイ。

黒瀬レナ。


それぞれに普通がある人間として見る。


NoName。


Rogue選手は、三人を肩書きで攻撃します。

世界女王。

NoNameの弟子。

被害者。

話題性。

そういった言葉です。


NoName。


その時、三人がお互いを肩書きではなく人として見られていれば、拾いやすくなります。


ユイ。


なるほど。

今日の雑談もRogue対策だったのですね。


NoName。


はい。


レナ。


結局訓練じゃん。


NoName。


軽めの訓練です。


ミカ。


確かに、軽めでした。


レナ。


まあ、今日は許す。


NoName。


良かったです。


レナ。


ちょっと嬉しそうに見える。


NoName。


顔は見えていません。


ユイ。


ですが、少し嬉しそうです。


ミカ。


私もそう思います。


NoName。


気のせいです。


三人は、たぶん同時に笑った。


文字だけの会話なのに、笑い声が聞こえた気がした。


その時、レナが急に別のリンクを貼った。


Rogueの新動画。


タイトルは、かなり悪かった。


世界女王たちへ。

NoNameの影に隠れるのは、もう終わりにしよう。


ミカの胸が少し冷えた。


レナ。


来た。


ユイ。


想定より早いですね。


NoName。


確認します。


動画は、公開からまだ三十分しか経っていなかった。


だが再生数はすでに伸びている。


コメント欄も荒れていた。


ミカは動画を開いた。


Rogueは、笑っていた。


派手な照明。

高そうな配信部屋。

背後にはスポンサーのロゴ。


彼はカメラに向かって、軽く手を広げた。


やあ、世界女王たち。


英語だったが、すぐに翻訳字幕が付いている。


星野ミカ。

月城ユイ。

黒瀬レナ。


素晴らしい選手たちだ。

それは認めるよ。


けれど、最近の話題は少し奇妙だ。


君たちは本当に女王なのか?

それとも、NoNameという見えない男の物語を飾るための駒なのか?


ミカは唇を噛んだ。


レナはすぐに打った。


殴りたい。


ユイ。


記録してください。


レナ。


してる。


Rogueは続ける。


NoNameは出てこない。

顔も出さない。

声も出さない。

大会にも出ない。

でも、君たちは彼を師匠と呼び、彼に勝てないと言う。


便利な存在だよね。


負けても、彼が強すぎるから。

勝っても、彼に教わったから。

話題になれば、彼の謎のおかげ。


じゃあ、君たち自身はどこにいる?


ミカの指が震えた。


嫌な言葉だった。


今日、NoNameが言っていた通りだ。


肩書きで攻撃してくる。


世界女王たち。


NoNameの影。


飾り。


駒。


Rogueは、三人を直接見ていない。


肩書きを殴っている。


でも、それでも刺さる。


動画の最後、Rogueは笑った。


QUEENS' CROSS BATTLEで会おう。


君たちが本物の女王なら、NoNameの影なんかなくても勝てるはずだ。


そしてもし、NoNameが見ているなら。


隠れていないで、ちゃんと見届けろ。


君が作った物語が、君なしで壊れるところを。


動画はそこで終わった。


ディスコードは静かだった。


ミカは、今日の訓練を思い出した。


互いを肩書きではなく、人として見る。


Rogueは三人を肩書きで刺した。


なら、自分たちは人として拾う。


ミカは打った。


私は、撃ちたくなりました。

自分で勝って、影じゃないって証明したくなりました。


ユイが続く。


私は、反論したくなりました。

実績や条件を並べて、駒ではないと説明したくなりました。


レナ。


私は殴りたい。

あと、あいつの動画タイトルがムカつく。


NoName。


良いです。

三人とも、初動を見られています。


ミカは深く息を吸った。


少し前なら、この動画で一気に感情が持っていかれていた。


でも今は違う。


刺さった。


腹が立った。


それでも、すぐに言葉にできた。


三人で共有できた。


レナ。


で、どうする。


ユイ。


反論動画は出さない方がいいと思います。

Rogue選手の土俵になります。


NoName。


同意します。


ミカ。


試合で処理する。


NoName。


はい。


レナ。


よし。

試合で黙らせる。


NoName。


黙らせるために勝つと荒れます。


レナ。


わかってる。

勝つために勝つ。

その結果、黙るならそれでいい。


NoName。


良いです。


ミカはノートを開いた。


今日のページの最後に、書く。


肩書きではなく、人を見る。


その下に、もう一行。


Rogueは肩書きを殴る。

私たちは、互いの普通を拾う。


それは、今日の軽めの訓練で得た武器だった。


NoName。


明日から、Rogue戦に向けた本格練習に入ります。


ユイ。


はい。


ミカ。


お願いします。


レナ。


やろう。


NoName。


今日はここまで。

動画は、これ以上見ないでください。


レナ。


コメント欄も?


NoName。


見ないでください。


ミカ。


わかりました。


ユイ。


同意します。

今見るメリットがありません。


レナ。


ちょっと見たいけど、見ない。


NoName。


良いです。


会話はそこで終わった。


NoNameがオフラインになる。


ユイも、レナも退出した。


ミカは最後に、Rogueの動画ページを閉じた。


コメント欄は見ない。


見れば、また動かされる。


今は見る必要がない。


ミカはノートを閉じ、トロフィーの横に置いた。


世界大会のトロフィー。


それは、ミカが自分で勝ち取ったものだ。


NoNameの影ではない。


でも、NoNameに負け続けた時間がなければ、ここまでは来られなかった。


どちらも本当。


どちらか一つにされる必要はない。


ミカは静かに息を吐いた。


私は、私で勝った。

でも、一人で強くなったわけじゃない。


その両方を持って、Rogueの前に立つ。


世界女王たちは、休息日に少しだけ互いの普通を知った。


そしてその夜。


Rogueは、彼女たちを肩書きで殴った。


だが、もう遅い。


三人は、肩書きの下にいる互いの顔を、少しだけ知ってしまった。


それはきっと、煽りでは壊せない強さになる。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ