とんでもない依頼12
ある晩、フェイがリのリビングにやってきて、ビールを片手に話し始めた。
盗聴器はコンセント型なので、部屋の隅で静かに録音を続けている。
フェイはソファに深く座り込み、声を潜めて言った。
「総務部部長の机の下に、盗聴器を仕掛けた。昨日、清掃のふりで入室してな。」
リは缶ビールを一口飲んで、「よくやったな。次回の現金輸送の情報が聞けるはずだ。いつになるか、金額も分からないが……その情報を掴んでおけば、社長を脅して現金輸送担当を勝ち取れる。また大金が入るぞ!」
フェイはニヤリと笑い、
「ああ。あの変な日本人の連中が邪魔しなければ、3億8000万を奪えたのに……今度はもっと慎重にやる。情報さえあれば、俺たちは大金持ちだ。」
二人はビールを飲み干し、「根気の勝負だな」と笑い合った。
部屋の明かりが消えるまで、盗聴器は静かに会話を拾い続けた。
翌朝、事務所で高木が受信データを再生した。
フェイとリの会話が、クリアに流れ出す。
総務部部長の机に盗聴器を仕掛けたこと、次の現金輸送を狙っていること、社長を脅して自分達を現金輸送担当にさせる計画……
すべてが録音されていた。
高木は再生を止め、「問題ない。決定的証拠だ。これでフェイとリは解雇どころか、刑事事件として立件できるはずだ。」
健一はすぐに仁に電話をかけた。
スピーカーモードにして、高木も一緒に聞く。
「仁さん、健一です。フェイとリが、総務部部長の机に盗聴器を仕掛けた証拠を掴みました。会話の中で次回の現金輸送情報を盗聴して、仁さんを脅して自分達を現金輸送担当にさせると自白してます。録音データは今すぐ送ります。これで、解雇はもちろん、警察への通報も可能です。」
仁の声は震えていた。
「……本当か。ありがとう……本当にありがとう。すぐに総務に連絡して、フェイとリを隔離する。
警察にも相談する。君たちのおかげで……会社が守られた。」
健一は静かに言った。
「仁さん、安心してください。Guardeanはこれからも、仁さんの会社と由香ちゃんを守ります。フェイとリは今日中に動けなくします。刑事課にデータ渡して、一気に逮捕に持ち込みます。」
電話を切った後、健一と高木は顔を見合わせた。
高木がコーヒーを淹れながら、
「これで、仁さんの会社は安全だな。」
健一は軽く笑って、「そうだな。次は……またどんな依頼が来るか、だ」
事務所の窓から、郊外の穏やかな朝日が差し込んでいた。
Guardeanの日常は、静かに、しかし確実に続いていく。




