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女装探偵  作者: 相澤 沁
20/72

彼氏のフリと本気の警護2

健一はスマホを手に取り、由香にLINEを送った。

内容はシンプル。

「今から事務所に来れる? 大事な話があるんだけど」

送信して30秒も経たないうちに、既読がついた。

そして、すぐに返信。

「今行きます! 5分で着いちゃうよ!」

健一は画面を二度見した。

「…5分?大学から電車で30分かかるだろ?」

高木がコーヒーをすすりながら、

「由香ちゃん、相当暇だったのかな。それとも、僕の彼氏役に期待してる?(笑)」

健一は肩をすくめて、

「まさか。でも、来るなら早めに打ち合わせ始めよう。」

ところが、本当に5分後。

事務所のチャイムが鳴った。ドアを開けると、そこに息を切らした由香が立っていた。

ショートカットの髪が少し乱れ、頰が上気している。

「はぁはぁ……来ました! 美穂さん! ……じゃなくて、健一さん!」

健一と高木は同時に目を丸くした。

「…早すぎだろ。本当に5分で?」

由香は事務所に入りながら、息を整えて笑った。

「だって、ここすぐ近くなんだもん!最近、最上階に引っ越してきたの。パパの提案で!」

健一と高木は同時に固まった。

「…最上階?このマンションの?」

由香は頷きながら、鞄をソファに置いた。

「うん! 先週引っ越したばっかり。パパが『由香の安全のため、探偵事務所のすぐ上に住めば安心だ』って。家賃はもちろんパパ持ちだし、決して安くないけど……私も大喜びでOKした!だって、Guardeanがすぐ下なんだもん!美穂さん……じゃなくて、健一さんにもすぐ会えるし、高木さんにも!」

健一は呆れ顔で高木を見た。

高木も呆れ顔で健一を見返した。

二人は同時に呟く。

「…先週、最上階に誰か入ったなと思ってたの、由香ちゃんだったのか……」

由香は無邪気に笑った。

「びっくりした?パパ、最近ほんとに過保護でさ。でも、私も嬉しいよ。だって、こんなに近くに健一さんと高木さんがいるなんて、最強のボディガードじゃん!」

健一は額を押さえ、ため息混じりに笑った。

「…仁さん、やりすぎだろ。でも、確かにこれなら警護もしやすいな」

高木はコーヒーを由香に渡しながら、

「じゃあ、もう『彼氏のフリ』も本気でやらなきゃいけないね。由香ちゃん、ぶっちゃけ僕の事どう思ってる?高身長でカッコイイって、嘘じゃなかった?」

由香は頰を赤らめて、ぷくっと頰を膨らませた。

「本当だよ! 高木さん、背高いし、優しいし、頼りになるし……でも、今回は『彼氏のフリ』だからね!本気になっちゃダメだよ?」

健一は二人のやり取りを見て、くすくす笑った。

「よし、じゃあ本題に入ろう。由香ちゃんの『面倒くさい男』の情報、全部聞かせて。俺は今回は女装なしで、影から警護する。悠斗が由香ちゃんの彼氏役で。作戦、ちゃんと練ろうぜ!」

由香は目を輝かせて頷いた。

「うん! 楽しみ~!健一さんがカッコよく守ってくれるんだよね?」

健一はスーツの袖をまくりながら、久しぶりに男らしい笑みを浮かべた。

「任せろ。今回は、俺が本気の『男』として仕事する番だ!」

仁の過保護が、意外な形で皆を近づけていた。

高木がため息をつきながら、

「…これで、俺も由香ちゃんの彼氏役を本気で演じなきゃいけないのか。プレッシャーだな。」

由香が笑って高木の腕を軽く叩く。

「大丈夫だよ! カッコイイから!」

健一は二人の様子を見て、心の中で呟いた。

「…女装なしの仕事、思ったより面白くなりそうだな」

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