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鉄扉の向こう側

鉄扉の向こうでは無数の靴の音と、何かずるずると液体のようなものを

引きずる音がする。


リリーと苗村先生の体が流れている体液だろう。


俺は気が付かぬまま声を殺して泣いていた。

(くそ・・・・くそ!!)


何もできぬまま、俺一人が助かった。


絶望に打ちひしがれてどのくらいの時間がたったのだろうか。

俺はジメジメした壁にもたれながら、泣いていた。


泣くくらいの感情をどおして鉄扉をぶち破って、

リリーと苗村先生を助けにいかなかったのか。


怖かったのだろう。

今、死んだら、加藤がいないから。

時間を巻き戻すことができないから。


結局俺は何か保証がなければ何も行動を起こすことはできないのだろう。

飛び込む勇気。

一歩踏み出しても、今の環境を変える勇気がなかった。


だからこうやって加藤のタイムリープの技術に頼って、

それがなければ何もしないことを選ぶのであろう。


ただ。

ただ、それが俺自身なのだ。

どんなに自己嫌悪に陥っても、それが俺なのだ。

だからその俺を俺自身が抱きしめて歩いていくしかないのだ。


「・・・・加藤を探そう。」



俺は歩き出した。


じめじめした暗がりを進んでいく。

時折、落ちる雫の音にビビりながら、ぴちゃぴちゃと一歩一歩進んでいく。


「・・・水たまりが多いな。」


このあたりは人の出入りが少ないのか、補強されていない壁や天井から水が落ちてくる。



「先生が…言ってた、あれは・・・・」


ここに来るようにプログラムされていた。

それでここまで俺をいざなった。


一体だれがそんなことをしたのだろうか。




考えても仕方のないことであったが、そうせざるを得ないくらい深い闇の中を歩いている。

しばらくたったころだろう。


明かりが見えた。


1つの灯。

松明が壁に掛けられていてその隣にはまた鉄扉があった。


「ここはなんだろうか・・・・。」


俺は鉄扉を開けて部屋にはいった。




鉄扉の部屋の中にはパソコンが数台。

この世界の何か所かが映し出されているモニターがあった。

そしてそのメインコンピューターらしきPCの中に移っていたのは・・・・




「やあ・・・裏切りものはヤっちゃうよ?」


眼帯をつけたショートヘアの女の子。

加藤がそこには映っていた。

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