みんな知ってた
レン
ケイ
天野
みんな死んだ。
リリーの手が震えている。
震えながらも俺の手を離さないで、
一緒に逃げてくれる。
苗村先生の、、妹さんは振り向くことなく真っ直ぐ前を向いている。
銃声が地下道に響き渡る。
真っ暗な道は脈々と続く。
もはや何のために逃げているのか。
逃げることをあきらめてしまえば。
天野やレン、ケイを失った悲しみを感じないように。
この命を散らしてしまえば。
俺は幸せなのではないだろうか。
生きるというのは感情を抱えて生きていくことだ。
その感情の大半は、悲しみや怒り、不安だ。
そんなものを抱えるくらいなら。
『よし!右だ!!』
苗村先生に言われて曲がる。
銃声は近づき、そして通り過ぎていった。
『すこし、、少し休もうか。』
先生もリリーも肩で息をしながら、
床に座りこんだ。
『もう少しだよ、タケルさん。この世界からさようならだ。』
先生は親指を立ててこちらにウィンクを飛ばす。
とっくに疲れきってるはずなのに。
辛いはずなのに。
どうして。
『タケルさん。逃げますわよ。』
リリーが俺の肩に手を置く。
俺はもう耐え切れなかった。
何度も何度も。
誰も助けることが出来なかった。
『もう・・・いいんだよ。先生、リリー。』
『え?』
『俺なんか助けても意味のないことくらいわかってるだろ。何もできないただのクズさ。授業サボってさ、裏切り者になってさ。みんな死んで。いいよ、もう。俺なんか、見捨ててさ、、、』
『タケルさん、、、』
苗村先生が立ち上がる。
それより早く。
隣にいた、金髪の綺麗な女の子が。
スパーン!
『痛っ!』
『何を言ってますの。タケルさん。私達がタケルさんを助けなくて何としますの!!!』
リリーが涙しながら、顔を赤くしていた。
『リリー・・・?』
『タケルさん、私達が何も知らないとお思いですの!?タケルさんが何度も何度も私達を幸せに生きれるように、、何度も何度も戦ってくれましたのに!!だから、私達はあなたの命に、私達の命をかけましたのに!そう言われると、、う、、う。そんな風に言わないで、ください、、まし、うう、うわああああ!!』
リリーが声をあげて泣き始めた。
『は?なんで世界を繰り返していることをお前が
、、、、??』
『タケルさんよ。』
苗村先生が肩に手を置いた。
『先生が教えた。』
『なんで、、先生が??』
『さあ。そうプログラムされていた。この先に答えがあるようだよ。ここに来るよう、言われたんだ、、、さあ、、行きなよ。』
目の前には古ぼけた鉄扉がある。
側道の機械調整室だろうか。
リリーが泣きじゃくっている。
『先生と、リリーも行くんだろ?』
『行けませんの。私達は。ここで敵を食い止めますの。』
リリーは泣きながらそう話す。
『なんで、、なんでだよ!!』
『そうでないと意味がないの!!』
『坂上くん!タケルさんを押し込むぞ!』
リリーと苗村先生は俺を突き飛ばす。
鉄扉は開いた。
しかし、次の瞬間、閉じられた。
『リリー!先生!』
俺はガンガンと鉄扉を叩く。
『早く!行ってくださいまし!何の為に命を張ったか、お示しあそばせ!!』
銃声が近づく。
『坂上くん!戦おう!命を散らすぞ!』
『先生、わたくしより先に散りましたら末代まで呪ってさしあげますわよ!』
『そんな!そんな!』
銃声が聞こえた。
何も聞こえなくなった。




