始まらないホームルーム
職員会議は深夜まで及んだらしい。
なんの議題でそんなに紛糾したのかは不明であるが、
朝から生徒の間ではそんな噂だ。
「タケルさん、聞きまして??」
リリーは教室で声をかけてきた。
「何を?」
「職員会議が夜中まで紛糾したみたいですわよ。」
何を職員会議ごときでこんなに生徒は騒ぎ立てるのだろうか。
「なんでみんなそんなに騒ぎ立てているんだ??」
「なんでだって・・・・・」
リリーは目を丸くし、口をぽかんと開けている。
「そろそろホームルーム始まるぜ。席すわりなよ。」
「はあ・・・・」
俺はリリーをしっしっとお払い椅子に寄りかかる。
チャイムが鳴る。
しかし、教室に先生は入ってこない。
「・・・・・・・。」
教室は相変わらずがやついていて、席に座ってホームルームに備えようとする生徒はいない。
「何が・・・あった・・・?」
いつもなら規律正しくチャイムと同時に座るクラスメイト達はがやついている。
いや、がやついているという表現は正しくなかった。
なぜかすすり泣くような声が聞こえてきて、泣きじゃくっている生徒の頭をなでて
抱きしめるような場面もちらほら見える。
「なあ・・リリー。」
「なんですの?さっき追い払ったくせに。」
リリーは少しふくれっ面だ。
機嫌を損ねてしまったようだ。
「悪かったって・・・・」
「知りませんの。」
「はあ・・・・。」
リリーはぷいっと顔を背けてしまった。
何があったか他の生徒に聞こうか。
いや、なんだか教室は落ち着かないな。
教室の外に出てしまおうか。
授業をさぼってカレーを食べに行ってもいいし、
天野に会ってもいい。
とにかくなんだろうか、、がやついているというより
すすり泣いて何かを悲しんでいるような空間に身を置くのはいささか苦痛であった。
俺が出ていこうとしたときだった。
教室前方の引き戸ががらりと勢いよくひかれた。
現れたのは、黒いローブを全身に身にまとった人。
身体のラインがわかりづらいが、たぶん女性だろう。
ローブの女性が手をあげる。
すると、クラスメイト達は一斉に教室の外に出る動きをとる。
「え・・・・?」
リリーが俺の手を引く。
「行きますわよ。」
「行くってどこにいくんだよ??」
俺はこれまでにない強さで手をひくリリーに食いつくように尋ねる。
「どこって・・・・・処刑台ですわ。」




