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この教室にスパイがいます。

『校長先生ありがとうございました。では次に各クラスの担任紹介になります。』




アナウンスが流れた。





ずらりとガラクタたちが並ぶ。


Sクラスまであるのだ。


どうせ淘汰されるのだ。





そんなどうせ消えてしまうような奴らの言葉なんて聞いたところで何か報われることはない。

虚しさだけが俺の心を貫くのだ。



『なあ、加藤。』




『私語は慎め、下郎。』




『なんで俺らはこの世界で生きている?何のために生きているというのだろうか。』




『お前という奴は・・・・。』




『タケルさん、担任ちゃんの挨拶ですわよ。』




リリーに促されて壇上を見る。




ピンク髪ロリッ娘がマイクの前に立つ。


娘は、じっとしたまま前を見ている。






『あの、、苗村先生・・・?』




司会がタラーっと漫画のように大きい一粒の汗をかくがごとくの表情だ。




ピンク髪の顔は青白くなっていく。


ガタガタ震えている。




「な、苗村と申します。よろしくお願いい・・・・いたします。」


はじめてではないだろうか。

48回目の挨拶にして初めて苗村先生は自己紹介を行うことができた。


ただ明らかに動きはガタガタだ。

仕方ないのだ。


俺もそう。

苗村先生もそうだ。



どちらが先にガラクタになるか。

結果は目に見えていた。






入学式はつつがなく、終わった。

「以上が明日からの予定となります。」


48回目にしてはじめてのホームルーム。

ループしているはずなのに。

どこで何かが変わったのだろうか。


それともたまたま変わっただけで結末はきっと変わらないのだと思う。


俺は思考を巡らせながらも「きっと今回も何かしようとして、だれかを不幸にして淘汰の日を迎えるのだ。」と

そう言い聞かせていた。



「タケルさん・・・?」


俺はクラスのホームルームが終わり、クラスメイトがいなくなった後も何をするのでなく

ずっと座ってぼーっとしていた。


この後いつもなら誰かに話しかけて何かを成し遂げようとして、

最初はいい感じだけど運命に導かれて絶望へ歩みだす。



そんなのはもうまっぴらごめんなのだ。


だから何もしないことに決めた。


「タケルさん?」


誰かが俺に声をかけている。



「どうしたの・・・?」



そう何も・・・・


目の前にいるのはピンク髪のロリッ娘。

苗村先生だった。


ピンクのロングヘアに頭の一部を丸い球のような髪飾りで結わえている。

結わえた部分がぴょんと触覚のように飛び出ている。


「何か悩みでもあるの・・・?」


「いえ、特に何もありません。」


何もないのだ。

何も考える必要はない。


「何か悩んだラ、教えてネ。」


苗村先生は自分のことを心配した方がいいと思う。


挨拶はつつがなくできたが、明らかにポンコツを極めているのだ。


「ごほ。ごほ。」


ほら咳までしている。




「そういえばタケルさん。」


去り際に先生がくるっとこちらを振り返る。



「このクラスにね。スパイがいるみたいなの。その人は・・・・・私たちを不幸にする。きっと。」




それだけ言って苗村先生は教室を出て行った。




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