本日は
ケイとの思い出がよみがえる。
そこは入国管理局だったかな。
ブローカーの人がうまくやってくれたからこの国に来ることができた。
ケイがほっとする顔。
「これでいけるね、レンちゃん。」
ケイと手をつなぎ、希望と絶望をもってこの国にきた。
それからカレー屋に就職した。
当初は店主がいた。
店主はいろいろ教えてくれた。
あれ???でも店主はいつガラクタになってしまったのだろうか・・・・
店主は麻薬を使っていた。
麻薬のブローカーでカレーに混ざて売り上げをあげていた。
そんな店のカレーを誰も食べることはなかった。
これが走馬灯だろうか。
タケルに告白し、飲食街を駆け抜けたこと。
この命の終わりにタケルに抱きしめてもらったこと。
悪くない人生だった。
あれ???でも私たちにはお父さんとお母さんがいるはずなのに。
思い出せない。
私たちがこの国に来る前のこと。
私たちはどこから来たのだろうか。
もうわからない。
こんな疑問は人生の最後でふと思いつくなんて。
それだけ生きるのに必死だったんだろうな。
タケルだったら。
ケイちゃんを幸せにしてくれるだろうな。
安心して眠れる。
おやすみ。
俺は学校を抜けて、市場を抜けて飲食街に向けて走っていた。
ケイに謝らなくてはならない。
そして、ケイを幸せにしてあげなければならない。
こんな腐った輪廻をこの世界で繰り返すくらいならば、
ケイを連れ去って、逃げてやる。
だた、あんなひどいことを言った俺のことを
ケイは許してくれるだろうか。
いや、許されなくても俺はケイを連れ去る。
それがレンの心残りであり、レンの遺言だから。
飲食街のマンホールを開く。
飲食街の入り口にいるはずの警備がいない。
バリケードがめちゃくちゃに壊されている。
「なぜ・・・・?」
飲食街を歩く。
どの店からも煙があがり、店はズタズタにされている。
「まさか・・・・・」
俺は走り出す。
どこもかしこも壊されている。
店を1つのぞいた。
人が倒れている。
近くには銃を持った人影が見えた。
「誰だ!!!」
まずい。
俺はそそくさと逃げる。
「待つんだ!!!」
後方から銃声が聞こえる。
「侵入者だ!!警報を鳴らせ!!!」
うー。うーっと警報音が飲食街に響き渡る。
ケイに会わないと。
ケイだけは連れ出して幸せにしてあげないと!!
そうでないと、レンに会わせる顔がない!!!
なんとかカレー屋の前にたどり着く。
銃声が鳴り響いている。
ここにもすぐさきほどの人影はせまるだろう。
いざとなれば、ケイだけでも・・・・・
カレー屋の扉を開く。
「ケイ!!!!」
カレー屋はまだ荒らされていない。
店内を見渡す。
カレーのにおいがする。
厨房から明かりが漏れていた。
「ケイ・・・・・大丈夫か・・・・・」
俺は暖簾をあけた。
「ケイ・・・・・・どうして・・・・・」
変わり果てたケイの姿。
「裏切りものは・・・・・ヤッちゃうよ?」
そうだった。
今日は
淘汰の日であった。




