レンの行方
俺はマンホールの蓋をこじ開けて地上に出ていた。
照りつける太陽がまぶしい。
長らく地下の飲食街にいるとこうやって陽の光を浴びることもまれになる。
太陽光を浴びるとセロトニンが分泌されるらしい。
幸せホルモンのことだ。
太陽光を浴びるだけで幸せになることができるのであればなんとお気楽なことだろう。
「まあ、俺らのようなガラクタには関係のないことなのかもしれないけれども・・・・」
そう俺らが太陽光を浴びたとしても何も意味はないし、幸せホルモンなんて出ない。
俺はただただ地下街から逃げたかっただけだ。
レンの行方もわからない。
ケイには取返しのつかないことを言った。
俺の居場所はもうあのカレー屋にはない。
このマンホールを開ける少し前。
俺は仕入れ場にいった。
レンを買い取るためだ。
レンは体液交換をできない。ならば俺のわずかな貯金でも買い取ることができるだろう。
そうふんでいった。
「ああ・・・・あの子ね。。もううちにはいないよ。」
仕入れ場の仕切り主にそういわれた。
「いないって・・・」
「いやね、、、目を離したすきに逃げてしまってさ・・・・行方不明なんだ。。」
「行方不明って・・・お前!!!」
俺はつかみかかっていた。
しかしその次の瞬間、屈強な男たちに組み伏せられて以降、仕入れ場は出禁になった。
つまるところ、レンはすでに・・・・・
俺は朦朧としながら行く当てもなく市場をさまよい歩いていた。
何をするわけでもなく、ふらふらと歩く。
そうやって30分ほど歩いていると入学式からずっと休んでいる、第50高校が見えてきた。
一応学生証はあるのだ。
学校に入ることもできるし、なんならもしかしたら苗村先生くらいは俺を歓迎してくれるかもしれない。
だって不登校の生徒が初めて学校に来てくれるのだ。
それは教師冥利につきるのではないだろうか。
もうカレー屋には戻れない。
だからなかったことにして、来る淘汰の日まで俺は何をするわけでもなく、普通の学生として過ごす。
だって・・・・もう疲れたから。
俺は校門をくぐった。
ちょうど、2時間目の授業が始まるチャイムが鳴った。
総合演習だろうか。
校庭の方は騒がしく、校舎は静寂に包まれていた。
「総合演習か・・・・・」
ちょうど今日はリリーが地雷に飛び込み命を落とす日。
そして天野が地下街の爆発で命を落とす日、
何度となく幸せにしてあげたいと思う女の子たちが俺の手からこぼれていった。
もう疲れたのだ。
ある部屋で立ち止まる。
「視聴覚室か・・・・・」
視聴覚室といえば、ガラクタが大量に積まれており天野がそこで震えていたっけ。
とくに意味はなかった。
俺もガラクタらしく、ガラクタの山に埋もれて眠りにつきたかっただけなのかもしれない。
ガラリとドアを開け、ガラクタの山をさまよう。
「・・・・・る。。。。たけ・・・・・る。」
聞いたことのある声がする。
俺は声のする方へ歩み寄る。
少しガラクタに積まれた奥から声がする。
俺は焦燥にかられながらガラクタをかき分けた。
「タケル。」
そこにいたのは、手術痕が惨たらしく消えずに衰弱しきっていた褐色肌の銀髪ロングの女の子。
レンがガラクタの山の中に横たわっていたのだ。




