営業と仕入れ
人生で営業活動自体始めてである。
なあに、たかがチラシを渡すだけだ。
『失礼します!隣のカレー屋ですが!』
『ん?ああ、あのカレー屋かい。なんだい?』
隣の店の店主が出てきた。
『いや、あのぜひ、うちのカレーを食べてもらいたく!営業に来ました!』
『ああそう。チラシ置いておいてくれよ。』
それだけ言って店主は店の奥に消えていった。
『お、おお!』
一応チラシをおけたし、成功なのではなかろうか。
よしよしいい感じだ。
次の店も、その次の店もチラシを受け取ってくれた。
正面きって罵られると思っていたから驚きである。
『この感じならお客さんも来るんじゃないかっ!』
俺は嬉々としながら、お店に戻った。
『よお、お2人さん、ただいま。』
『ああお帰り。』
レンが厨房から出てきた。
ケイがいない。
『あれ?ケイは?』
『ああ、ケイは仕入れに行ってくれてるよ。』
仕入れか。
俺の営業活動に期待しての仕入れだろうな。
『レン、チラシ全部はけたんだぜ。すごいだろ。』
『ああ、うん。』
レンはまたタンクトップをクシャッと掴みながら、下を見ている。
『ああそうだ、タケル。カレーを食べないか?』
『そうだな。繁盛したらなかなか食えないし。頼むよ。』
レンは目を一瞬まるくしたと思うと、
俺から視線を外して厨房に入っていった。
『ただいまでござるよ。』
席に座ると、ケイが帰ってきた。
少し息を切らしながら、顔は紅潮している。
走ってきたのかタンクトップもすこし乱れている。
『ケイ、仕入れお疲れ様。』
『ああタケルさん。』
ケイは近くにあるうちわでタンクトップの裾をあげて扇ぐ。
へそが見えた。
俺は目を逸らした。
レンにまたプロレス技をかけられてしまう。
ケイはいつもなら尻を振りながら胸元をチラつかせて近づいてくるが、今日はカツカツと歩き、水を猛々しく飲み干した。
『ふう、、、』
口から少し溢れる水滴が官能的だ。
俺は全身に電気が走ったような感覚になった。
ケイは俺を一瞥する。
すると舌舐めずりをしたかと思うと、
ニヤつきながら近づいてくる。
『ふふ、美味しそう、、、』
そう呟いて俺に近づく。
俺は金縛りにあったかのように動けなくなる。
否、ケイに見惚れていたのだろうか。
このまま、流れに身を任せたい。
ケイはそのまま覆いかぶさってくる。
俺はこのままケイに、襲われて、、、
『ケイちゃん。』
レンはカレーをテーブルに置く。
『は!あれ?タケルさん?』
ケイの表情が元に戻る。
俺も我に戻り、ケイから離れる。
レンにまたプロレス技をかけられてしまう。
レンを一瞥する。
レンの表情を見た。
レンは少し顔を赤くしていた。
またタンクトップの裾をクシャッとしながらこちらを見る。
『ケイちゃん、今日の仕入れはどうだったの?』
『ああ、レンちゃん。なんとかなったよ。』
『そう、ごめんねいつも無理させて。』
『レンちゃん。まだ収まらない。』
『そう。そうよね。』
『だから、、、』
『まずはカレーを食べたら?』
『ああうん。そうだよね。いただきます。』
猛烈な勢いでカレーを平らげるケイ。
あらかじめ作っていたのか大量のカレーを持ってくる、レン。
俺はただ茫然とケイがカレーを食べるのを見る。
食べる?
いや、この光景は食い散らかすという表現がよく合う。
ケイはカレーを食すと、そのままテーブルに突っ伏した。いびきを立てて眠りについてしまった。




