アイドルタイム
『痛えなあ。』
目を覚ます。
フニフニしたものに寝転がっているようだ。
天井が見えない。
そのかわり見えるのは、見事な双丘だ。
『あ、、目を覚ましましたか?』
ケイがまじまじと俺の顔を覗きこんできた。
毎度思う。
見事なサファイアの瞳だ。
輝きが失われない綺麗な瞳。
ケイの膝に横になっているようだ。
『ああ頭がまだ痛いぜ。』
『今ね、レンちゃんがカレー作ってるからね。』
前のと比べると微妙なカレー。
『ツヤのあるバターライスね。』
ケイを見上げる。
サファイアの瞳。
綺麗な目だ。
しかし、その表情は、、、
『何も、、何も知らないじゃない。』
虚な瞳。
無表情。
見下すような視線。
『ケイ??』
俺は起き上がる。
『ま、まだ起きちゃダメだよ!頭打ったんだから、、、』
ケイが肩を押さえて俺を寝かせる。
『あ、うん、、、』
カレーの匂いがする。
前の店主のものに比べると中毒性のないカレー。
客足は減ってしまっているのだろうか。
すでにランチタイムは過ぎておりわからない。
今は16時すぎ。
アイドルタイムである。
ドロップキックに、ドラゴンスクリューでお昼を食べ損ねている。
『昼で稼いでないと無理だよなあ。』
朝ラーメンは閑古鳥だったし、
昼かな。
夜はどうだったかな。
飲食街だからお客さんありきだろう。
そんなどうでもいいことを考えていると
レンがカレーを持ってやってきた。
『あ。起きた?キーマカレーできたわ。』
俺は起き上がり、席についた。
『むーん、いい匂いだ。』
微妙というのは前の店主に比べたらの話で
普通に美味そうなカレーなのだ。
『いただきます。』
手を合わせてワシワシと食べていく。
『ど、どう?』
レンがお盆を胸に当てて覗きこむように視線を送る。
『あ、うん、美味いよ。』
ワシワシ食べていく。
米粒とカレーがいい感じに纏わりつくので、
美味い。
カレーを食べ終えて一息入れる。
もうすぐディナータイムだ。
カレー屋に毎食お世話になるのも忍びないし、
腹が膨れている。
『食後の散歩に行ってくるわあ。』
『行ってらっしゃいでござるわよ。』
ケイは相変わらず変な日本語だ。
『行ってらっしゃい。』
レンは目をふしめがちだ。
なんだか元気がないように見える。
俺は気にはなったが、ディナータイムの邪魔にはなりたくないので、店を出ることにした。




