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絵画展、赤く燃ゆる

絵画展が始まった。

美術館のように静寂が支配する空間ではなく、

市場のような賑わいが空間を支配する。


それもそのはずで、気に入った絵画をその場で購入することもできるのだから。


芸術も投資になるのだろう。



俺と天野は賑わいを感じながら自分達のブースでボーっとしていた。


天野は涙はすっかりひっこんでいつも通り、

ぽやんとしながらテイクアウトしたアイスコーヒーを啜っていた。



『なんだか、イメージした絵画展と違うな。』


『そうなんですか?音が聞こえるから私は安心します。』


『そうか。』


騒がしいのが、天野は安心するのか。

だったらもっといろんなところに連れ出してあげよう。


ガラクタだろうが、なんだろうが

幸せになる権利はあるのだ。




飲食街に連れていってカレーを食べさせてあげよう。


飲食街にある他の店にも一緒に行こう。

ファッション街も、、、







胸が締め付けられる。

ロリータ服の少女を思い出す。

彼女を幸せに出来なかった。

その罪滅ぼしのつもりなのかもしれない。

でも、今はとなりにいるベレー帽の女の子を

幸せにしてあげたい。


そう思っている。





『おい、オーナーが来たぞ。』


『オーナーに気に入られれば常設展も夢じゃないってさ。』



オーナーを遠目に見る。

シルクハットにタキシード。

しっかりとした黒髪に整った見事な髭。


あれが、天野の親父さんか。


オーナーに気に入られると常設展が開けるらしく

常設展の売上の3割が収入として入るらしい。


金など意味のない世界だと思っていたが、地下街の住人には死活問題なのだ。


天野の絵に、オーナーが近づく。


カツカツと近づく靴音を聞いた天野は思わず握り拳を作っている。



オーナーは天野の絵をジロリと見ると、

舌打ちをして去っていった。


『感じ悪いな。あいつ。』


思わず口にしてしまった。

天野の親父なのに。


『本当、感じ悪いですね。ふふ。』


天野は微笑んでいた。

自分の親父に絵を侮蔑されたのに、意に返さない。



俺が思っているよりも天野はタフなのかもしれない。





天野が立ち上がる。

オーナーに近づこうとしたのか、躓く。


『危ない!』


天野の体を支えた。

ベレー帽が脱げる。

天野の綺麗な黒髪が棚引く。


『あ、、、』


天野は頭を押さえていた。

ベレー帽がないのを確認している。
















『タケルさん。ちょっとおつかいを頼んでもいいですか??』





天野は俺に学校においてある画材を取ってくるよう頼んだ。



市場を練り歩き、学校に向かう。







『タケル、ここにいたのか。』


目の前には眼帯のショートヘアの美少女が銃口をむけて立ち尽くしている。


『また厨二病か、、スパイごっこ楽しいか?』



加藤は口を固く結んだ。



涙目になりながら、震えた声でこちらに言い放つ。



『お前、いつ、私を、、選んでくれるのだ。』



加藤が引き金に指をかけた。







ズドン!!!





その音は俺に風穴を開けた音ではなかった。


正確にはもっと爆発音に近い音。


来た道を振り返る。









絵画展が開催されているマンホールからドス黒い煙が上がっているのを確認した。

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