禁断の愛
その日の授業が終わった。
『なあ、タケル。』
『ん?ああ加藤か?どうした?』
教室で誰もいなくなり、加藤と俺だけになる。
『そ、その、今日は一緒に帰らないか??』
加藤は顔を伏せて、両人差し指をツンツンとしながら少し口を尖らせていた。
顔が赤い。
『ああ、悪い。ちょっと学校に残ってやりたいことがあるんだ。』
『そ、そうか。あ、あんまり変なことはするなよ。わ、私も、、』
『お仲間を売りたくはない、だろ?』
『・・・・っ!わかっているならいいのだ!じゃ、じゃあまた明日な。』
加藤は肩を落として帰る。
俺が天野の絵画展に関わっていると加藤がわかったら、クラス委員の加藤は学校に報告しなくてはならない。
食事同様、絵画などの芸術はこんなご時世なので御法度なのだ。
加藤の立場を考えるとバレないようにやらないといけないのだ。
『見られたら終わりだがなあ。』
俺もカバンを持ち、教室を出る。
『そういえば、放課後に天野と会うのは初めてかな。』
視聴覚室に入る。
相変わらずのガラクタの山。
『ん。なんでこんなものが??』
スプーンに、銀色の深皿。茶色く固まったものがこびりついている。
『不衛生だなあ。』
俺は横目にしながら、準備室に入る。
『あ、、、』
天野はキャンバスの前にいた。
姿勢を保ったまま、目を閉じている。
『そりゃ、天野も必要だよな。』
スリープしているのだろう。
ただここには、それができるための設備がない。
『天野も実は食事していたりしてな。』
パチン!
天野の目が勢いよく開く。
『お。う。』
『ああはい、天野です。あなたのお名前は?』
『バーカ、タケルだよ。タケル。』
『ああタケルさん。こんにちは。』
天野は目をパチパチ言わせる。
そのあといつものようにちょっとボーっとした表情でこちらを見てくる。
かわいい。
『絵の進捗はどうだ??』
『絵ですか。こんな感じです。』
見せてもらう。
一つはこの世界の荒廃したビル群。
もう一つは、大きな木がある丘に小さな少女とベレー帽を被った男性が手を繋いで木を見ている風景だ。
どちらも見事な造形だ。
小さな少女は天野の後ろ姿に似ている。
天野に、似ている?
少女。
手を繋ぐベレー帽の男性。
それを見る天野が描いた絵。
天野は、人妻?子持ち?
天野の体を見る。
安産型の体型。
それでいて、ちょっと沈んだ表情も母として、
育児に疲れているから!?
そういや、天野は女子寮に住んでるのだろうか?
授業に出ないのも実は学校のはからいだとしたら、、、
天野は首を小さく傾げる。
俺は人妻に、、、ら、、、らラブコメを、、、
『うわああああああああああああ!』
『た、タケルさん?!』
俺は視聴覚準備室を出て、学校をさらに出る。
ああ、まさか。
俺は禁断の、、、
俺はその日、日付が変わるまで市場を走り続けていたそうだ。
クラス委員の加藤が心配になって迎えにきてくれたそうだ。
記憶がないくらい、我を忘れていた。




