絵画展に向けて
『よお。天野。絵はどうだ??』
『あ、タケルさん。』
声がうわずる天野。
表情もいつもより明るい。
『絵画展には5作品くらい出したいので、、あと少しで完成しそうです。』
口角が微妙に上がる、天野。
天野は嬉しいのだろう。
天野の絵を見る。
秋葉原。
東京タワー。
浅草。
どれもかつてあった日本の風景だ。
『懐かしいな・・・。』
懐かしさと寂しさ、ノスタルジーとはこんな感じなのだろう。
『絵っていいですよね。』
天野がぽつりぽつりと語り出す。
『私はこの風景、なんだかずっとずっと頭の中にイメージとしてあって、だから誰かに見せたくて。絵ならそれができる。素敵じゃないですか。そういうの。』
タイムリープしている俺以外は、かつての自分達がいた世界のことを覚えていないのであろう。
天野もかつて見たことがあるはずなのだ。
『天野、楽しそうだな。』
『楽しい。。よくわからないですが、誰かに見せる絵を描くってなんだか、、力が入りますね。』
天野は筆を走らせ続ける。
いつもの沈んだ天野はそこにはいなかった。
昼休みが終わる。
『天野、じゃあまた明日来るよ。』
『はい、さようなら。タケルさん。』
天野はキャンバスから視線を逸らすことなく描き続けていた。
視聴覚準備室を出る。
教室に向かって歩く。
『おい、裏切り者はヤッてしまうぞ。何をしていた?』
銃を突きつけられる。
『加藤か、、、』
『どこで何をしていた。』
『いや、昼休みだから自由に過ごしていた。』
『だから、、何を、、』
加藤の顔を見る。
顔を伏せているが、顔は紅潮し少し涙目だ。
『えっと、、、加藤??』
『わ、私だって、、その、、タケルとだな。』
『加藤、悪い。もう授業だよな?』
『え、あ、そ、そうだな!授業をサボったら重罪だ!!淘汰されてしまっても文句の言いようがない!!』
『あー、うん。そうだな。』
加藤の厨二病にはほどほどに付き合う感じでないとやってられない。
加藤の手を取る。
『ほら、教室行くぞ。』
『え、は?あ、いや、、ひゃう?!』
加藤は顔を真っ赤にしている。
体も固まっている。
俺は構わず、加藤を教室に引っ張っていった。




