絵画展デート?
休みの日。
俺は天野と絵画展が開催されるという地下街の入り口、言ってみればマンホールの上にいた。
待ち合わせ時間よりも30分早く来た。
初めて入る地下街の区間で間違えないようにしなくてはいけなく俺は何度も何度も位置を確かめた。
その日はいつもより記憶が高く、汗の1つでもかくことが出来れば、気化熱で冷えて楽になれる。
いや、そんなどうにもならないことよりも今日の絵画展について考えなくてはならない。
天野が心地よく絵画展をまわるにはどうしたらいいか。
俺はどんな気遣いをすればいいか。
ガラクタであることを忘れてもらうためには
どうしたらいいか。
そうこう悩んでいると見慣れた顔が現れた。
『こんにちは天野です。あなたのお名前はなんですか??』
ベレー帽のよく似合う黒髪の美少女がそこに立っていた。
天野は控えめに言っても美人だ。
し表情はなんとなく沈んでいるように見えていて影がある。教室に入れば間違いなく異性の誘いを受けるであろうというのが推察される。
彼女は視聴覚準備室にいる。
入学式も授業も一切出ずに、
ひたすら絵を描いている。
そんな彼女にだって喜びの
1つや2つあってもいいじゃないか。
俺はどうもてなすか考えていたが
それは全くの杞憂であった。
『じーーーっ。』
『あ、天野、楽しいか?』
『じーーーっ。』
天野は穴が開くのではないかと思うくらい
絵を見ている。
絵画展はいろいろな絵が飾られてあった。
水墨画や西洋画、よりどりみどりでジャンルも様々である。
『ああ。』
たまに天野は顔を赤くしてボーっとしている。
絵を見ながら悦に浸っているのだ。
だから俺は特にすることはなかった。
天野に心ゆくまで絵を見てもらう。
俺はそれを見守る。
数時間は経っただろうか。
天野はようやく備え付けのベンチに座り、
一息入れていた。
『天野、楽しかったか?』
『ええ、この上なく極上の時間でした。』
天野はボーっ顔を赤らめながらそんな風にコメントする。
『でも、、、』
天野はまた節目がちになる。
『もうこの時間も終わりなんですね。』
そう。絵画展のチケットは使ってしまった。
天野はまた陽の目を見ることなく、薄暗い部屋で絵を描き続ける。
自分はガラクタだと卑下しながら。
俺はやりきれなくなる。
天野にだって人並みの幸せや生きがいがあっても
いいじゃないか。
俺はこの時間を終えることはしたくなかった。
しかしながら明日は学校だ。
帰らないといけない。
天野となんとなく沈黙の中歩き出す。
入り口に近づいた。
『なあ、天野、これ見ろよ。』
『なんでしょうか、、あ、、』
『絵画展、展示作品募集。』
そう書かれていた。




