バッドエンドは始まらない
視聴覚室のガラクタは日に日に増えているように見えた。
『ん?』
中には、おもちゃの鉄砲のようなものや、画面がバキバキに割れたタブレットのようなものまで捨てられている。
『はて?』
少し漁ると
ヘアードレスが見つかった。
『リリーのものと似てるな。あいつもここに捨ててるのか??』
全くひどい話だ。
ここには、生徒がいるのだ。
誰も振り向かないが一輪の綺麗な花のような女の子がいるのだ。
視聴覚準備室の前に立つ。
チケットを見る。
『ま、待てよ。絵画展に2人で行くってことは、、で、デートなのかっ!』
そう考えると急に手が震えてきた。
『い、いや。これは天野を元気づけるためだ。あいつは絵が好きだから、こういうのも好きなはず!そうそう!元気づけるためだ!!』
意を決して視聴覚準備室に入る。
『あ、、、』
『はい、天野ですが。』
天野は制服を脱ぎかけていて、そのブラジャーが露わになっていた。
見事な双丘も布越しにしっかり主張している。
『え、、あ、、その、、』
俺はだじろぐ。
『タケルさん、あの、恥ずかしいので、ちょっと待っていてください。』
天野は顔を紅潮させている。
『わ、悪い!!』
ラブコメのお約束のような展開だった。
気まずい。
天野はキャンバスの前に座り、両膝に手をおいて絵を見ている。
その表情は無表情だが、わかる。
怒っていらっしゃる。
何か言わないと、、、
俺は言葉に詰まっていた。
年頃の女の子が着替えを見られたのだ。
追い出されないのは奇跡だが、フォローが必要なのだ。
なんと話すべきか。
『そ、そのナイスバディだな!』
『さいてい、、、』
天野はガラクタにあるおもちゃの鉄砲を取り出す。
ズドン!
『え、、あ、、なんで、おもちゃなのに、、』
俺は倒れた。
THE END
そんなセリフを言ったらこうなりかねない。
別のセリフを考えないといけない。
しかしこんな展開。
頭が真っ白だ。
参ったな。
そうこうしてると、天野が視線を向けてくる。
『その、今日はどうしましたか?』
『ああ、、ええっと。ああそうだ!』
俺はチケットのことを思い出す。
『これさ、、天野興味あるかな?』
『・・・これは、、』
『絵画展。貰い物なんだけどさ、、その絵が好きだろ??良かったら一緒に行かないか?』
天野は口に手を当てて考えている。
そりゃ今しがた下着を見られた男から誘いを受けているのだ。
『行ってこいよ。』
そう話すべきだったかな。
天野はそれに人が多いところは苦手だ。
この世界の絵画展だから、人はそこそこいるかもしれない。
『タケルさん。』
『は、はい。』
『これ、、私のためにですか?』
『ああ。他の人の絵を見るのも好きかなって思ってさ。嫌だった?』
『いえ・・・・。』
天野は顔をあげる。
見たことのない満面の笑みでこちらを見る。
『とても嬉しいです、タケルさん。』
その笑顔に俺は見惚れていた。




