再会
教室の扉の前に立つ。
『はあ。』
思わず拳を握りしめる。
ゆっくりと引き戸に手をかけた。
ポヨン。
『あらタケルさん?』
リリーの胸が顔に当たる。
『や、やあ。リリー。』
『不可抗力とはいえ感心できませんわね。手をどかしてくださらないかしら?』
リリーの胸を鷲掴みにしていた。
『わ、わ!ごめん!ごめん!』
リリーは口元に手を当てて微笑む。
『何をそんなに焦ってらっしゃるのですか?』
リリーは教室を出ていく。
ふふと払うリリーの吐息。
リリーの上品な声。
すれ違った時に香る、リリーの髪の匂い。
俺は、、、
45回目ではあの髪の匂いをもっと近くで感じていたのだ。
俺がリリーとラブコメをしようとするとリリーは不幸になる。
歯を噛む。
キリキリと、血が出てしまうくらいに噛む。
俺はまだ、、、
いや、リリーとはラブコメをしない。
俺ではリリーを救うことはできない。
できないことはしない。
できないことをしようとして、
44回もみんなを不幸にした。
淘汰の日まで、俺は何もしない。
適当に過ごす。
自分の机に座る。
この後は入学式か。
『ぷぎゃああああああああああああああ!!!』
ピンク髪は人ならぬ声をあげて体をピクンと跳ねた後、後方にのけぞり、後頭部を強く叩きつけた。
『誰かー、担架を!担架を持ってきてくれ!』
苗村先生は相変わらずポンコツだった。
入学式場を見渡す。
(天野はいないか、、、)
『誰を探しておるのだ?』
『加藤、銃を突きつけるのをやめてくれ。』
『質問に答えろ?』
『加藤、髪切った?』
『なっ、、、き、、気づいたのか?そ、そうだな。ほんの少し髪をすいたのだ。ふふ、、』
加藤は顔をポッと赤くして両手で頬を包むように触る。
(さて、、天野はどこへ行ったのだろうか?)
『私なんてただのガラクタですから。』
俺らはガラクタだ。
ガラクタだけど、ガラクタだって幸せになる権利はあるはずだ。
淘汰の日まで、
せめて美少女とキャッキャウフフしたっていいじゃないか。
相手に迷惑をかけないなら。




