リリーはもう、いない。
目を覚ます。
窓から覗きこむのは、煌々とした夕陽であった。
『寝過ごしたな。』
リリーと朝までナイトマーケットで、
路上で肩を寄せ合って過ごした。
完全に寝不足で、今日一日眠りこけてしまったようだ。
メールが何件も来ている。
電話もかなりの着信の数だ。
『裏切り者はヤッちゃうから。』
件名が厨二病臭がすごかった。
『まあ、もういいか。』
すでに下校時間だ。
明日学校に行ったら更なる懲罰が待っているだろう。いいのだ。
だって学校に行けば、リリーがいるから。
翌朝。
登校する。
いつもの坂道を歩くと、前の方に猫背の厨二病女がふらふらした足取りで歩いている。
『やあ、加藤。』
『ああ。』
いつもの覇気を感じられない。
それだけでない。
加藤の眼帯をつけている方の目だ。
髪で隠れているが、眼帯を外している。
『加藤、眼帯は、、どうした??』
『ああ、タケル。残念ながら捨てたよ。もう要らないからね。』
『そ、そうか。』
髪の下の瞳を見てみたかった気もするが、、
なんだか声をかけるのを躊躇ってしまった。
教室に入る。
すでにガヤついている教室を見回す。
リリーがいない。
『珍しいな。』
椅子に座る。
『みんな、おっはよー!』
ピンク髪の苗村先生が元気よく入ってくる。
『いやあ、みんないろいろ大変だろうけど頑張ろうね!ね、、、う、、、うわあああ!』
苗村先生が泣き崩れた。
泣き崩れることなんてなかったのに、泣き崩れた。
クラスメイトからも啜り泣きが聞こえる。
何があったのか。
前の席をこづく。
『おい、加藤、何があった。』
加藤から反応は無い。
加藤は立ち上がり、教室を出ていった。
『また。またダメだった。』
去り際、ドアを開ける際に加藤はこちらを一瞥した。
『涙・・・?』
加藤が泣いていたように見えた。
隣の席のやつに聞く。
『なあ、何があったんだ?』
『うう、ああ、そうか。タケルは昨日休みだったから知らなかったんだよな、、、』
クラスメイトが口を動かす。
俺は思わず机に両手をかけて、立ち上がる。
『いま、、、なんて??』
『だからよお、、、』
『うわああっ!リリーちゃぁぁぁん!』
苗村先生が泣き叫ぶ。
泣き声はクラスメイトに連鎖する。
『だからよお、、、坂上・リリーがさあ、、演習中に地雷源に突っ込んでよぉ、、、、』
死んだ。
リリーは昨日、地雷源に突っ込んで
死んだ。




