カレーは美味しいですわ。
『よう!ケイ!カレー食べにきたぜ!』
『あー、タケル、いらっしゃい。食べに・・・私を食べに来た?』
『はじめましてですわ。』
『あ、、タケル。女の子連れてきた。』
ケイが顔を伏せる。
『おい、タケル。お前、ケイのことは遊びだったのか?』
レンが後ろにいる。
いつもならドロップキックをかます、ケイの妹が静かに立っている。
『いや、レン。そもそもケイとは、何も、、、ブホッ!』
張り手をかまされた。
『遊びだったんですねええ、びえええっ!』
泣きながら、ケイが店の奥に走って行く。
『おい、タケル。わかってんだろうな?』
『いやいや、本当にケイの勘違いだってば!というか俺の、、その、クラスメイトを紹介させてくれよ!』
『クラスメイト?ああまあ、そういうことにしてやるよ。お前も客だからな。カレー食ったら帰んな。』
本当にケイとは何もないのに、面倒な姉妹だ。
『はい、チキンカレー。』
ガタンと皿が割れてしまうんじゃないかと思う音がたち、カレーが置かれる。
『リリー、食おうぜ。美味いんだぞ。ここのカレー。』
『はあ。でもどうやって食べますの?』
『はあ、タケル。カレーも食ったことない女が彼女なんてよ、、見損なったぜ。』
レンはため息をつく。
『カレーと、彼女は関係ないだろ。』
『いや、あるね。カレー好きに悪いやつはいない。つまり、カレーを食べてないやつは悪いやつかもしれないという事だ。』
リリーがスプーンを使い、カレーを口に運ぶ。
『んー!!美味いですわあっ!!』
『あー、、、』
レンは自分の発言がブーメランで戻ってくる形になった。
『なんだよ、リリーちゃん。話わかるわあ!ほら、ほうれん草のカレーもどうだ?』
『いただきますわあっ、ああ美味い!美味いですわあ!!』
カレー談義に花が咲く。
ケイは相変わらず店の奥に籠ったままだ。
『しかしよ、タケル。なんで今回リリーちゃん、連れてきたんだ?』
『うん。実はさ。。』
レンに事情を話す。
『あー。うん。そうか。まあ、以外とね。昔の習慣をやってみると思い出すことあるよね。』
『だから、カレーを食べにきた。』
『ふむ。リリーちゃんさ。』
『あー美味い。うん?なんですの?』
『何か思い出したかい?』
『うーん。特に。カレー美味しいですわね。』
普段食事をしないリリーがもりもり食べている。
スプーンの使い方も結局教えたわけではない。
『はああ、美味いですわあ。』
ほっぺたに手を当てて、顔を赤くしながらもりもり食べてる。
『まあ、たまに来なよ。もしかしたら何か思い出すだろうし。』
『いいのか。だってケイが、、、』
『単なる姉貴の勘違いだろ?構わんよ。』
リリーはそんな会話を横目に食べ続けていた。
『今日は食べましたのー!!』
リリーはご機嫌だ。
あんなにカレーをもりもり食べていたが、服も口元一つ汚れていない。
『リリー、すごいな。食べ方がうまい。』
『そうなのですよ。私でも、びっくりですわ。しかし懐かしい味でしたわ。』
『懐かしい?』
『ええ。なんだか、そうですね。うん、そうですわ。お母様。お母様が昔良くテイクアウトしてくれた気がしますの。』
『お母さんがか、、、お母さんのことは覚えてるんだな。』
『え?何がですの?』
『いやだから、お母さん。』
『お母様、、お母様、、、』
リリーは立ち止まる。
寮の手前の暗い夜道で、月が煌々と照っている、
『あれ、、、?』
リリーの目からは涙が落ちる。
『お母様、、お母様、、、お母様はどこですの!!!』
リリーは喚き始める。
腕をぶんぶん振り回して、錯乱状態だ。
『リリー!』
俺はリリーを抱きしめる。
『嫌っ、いやああああ!おかあさまあああ!!』
『リリー!リリー!』
リリーが落ちつくまで俺は抱きしめることしか出来なかった。
帰寮が遅くなってしまった。
月明かりの中抱き合う男女がいる。
目を凝らして顔を確認する。
『タケル?なぜ?どうして?やっぱり裏切り者はヤらないとダメなのかな、、、』
私は眼帯を外し、歯茎から血が出るほど歯を噛み締めた。
泥棒猫を許すほど器は広く無いから。




