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この感情、気持ちに名前をつけるとしたら、、、

アラームが鳴る。


スリープから目覚めた。


『良く寝ましたわ。』


パジャマのまま、洗面台に行き鏡を見る。


『いったい誰ですの?この鏡の方は。』



鏡を一瞥した後、顔を洗う。



アラームがまた鳴る。


『服に着替えるか、、、なんでこんなメモがアラームについてるのかしら。』



アラームに書かれているままの行動をこなしていく。



7時50分。

アラームがまた鳴る。


『第50高校へ行く。地図は下記URLにある。』


URLを押すと、地図が出た。



『行ってきますの。』


誰もいない部屋に向けて挨拶をする。






第50高校に着いた。

またアラームが鳴る。


『S組へ行く。』


しかし、なんでこんなアラームをかけまくっているのかしら。



アラームの指示通りに動いてはみる。




S組に着いた。



アラームがまた鳴る。


『奥から2列目の5個目の机が私の机。』



机に座る。



しばらくアラームは鳴らない。

座って待つと、ピンク髪の小さな女の人が入ってきた。


『起立!』


周りが掛け声で一斉に立ち上がる。

ああ、起立はそういう意味か。



私はテンポがずれて立ち上がる。


『礼!』


みんなが、頭の前に指を揃えてかしこまる。

真似をする。






休憩時間になった。

私はわけのわからないまま授業をこなしていた。

いや、こなしたのではない。

ただその空間にいただけだ。


非常に虚な時間。

でもアラームからは指示が無い。

ここにいるしかない。

何者かもわからない。

たぶん今まで積み上げてきたものはあるはずなのに。


全てわからない。


とりあえず周りの言動に合わせるのが精一杯だ。

周りの言動を真似るは、たぶん意識せずできる。

条件反射に近い。


それ以外は虚だ。

早く帰って寝たい。

だって何をしていてもわからない。

積み上げがない。



アラームの指示と条件反射が全てだ。


私はずっとずっとこのままなのだろう。

いずれ生きることも忘れてしまう。

生きる意味のない、ガラクタ。


でも生きないというの何をすればいいかわからない。

夜が来てスリープする時だけが、生きてる感覚がある。



誰も私のことなんか見てない。

私も誰も見ない。



忘れてしまうから。



だから、びっくりしましたのよ。




『あ、タケルさんでないですか。』


『おお、坂上じゃないか。』



あの日。

私はタケルさんを知っていましたの。

タケルさんという存在、名前が私の中にプログラムされていたかのように、唐突に記憶が思い起こされましたのよ。



私にとってたぶんタケルさんはかけがえの無い人だってわかりましたの。



その日からタケルさんとのやりとりは全てタブレットに書き起こしましたの。

忘れても思い出せるように。


タケルさんと何をした、どこに行った、


そしてタケルさんは、私に、、

私に、、、、




『あ、、れ?』


机が雫で染みる。

その雫は私の顔から落ちている。


『ああ、、、』


ぽろぽろと落ちゆく雫。


私は、タケルさんと何か大切な約束をしましたのよ。

でも、その約束はタブレットに入ってなかったのですわ。

いつもはすぐに入力しますの。



入力し忘れてしまいましたの。

だからその日からはなるべく入力して、

忘れないようにしましたの。


なのに。




ある朝、私のタブレットは全て消されていて残ったのはこのアラームだけ。


私はまた機械のようにアラームに従い、周りの言動をみながら、動くだけですわ。



あれ?

でも、タケルさんのことはなんで覚えてますの?

まだタケルさんのことは忘れてないのですわ。


だから、タケルさんに聞けばいいのですわ。


あれ?

何を聞けばいいの?

誰に何を?


私はどうすればいいのですか?




チャイムが鳴る。


私はチャイムにも反応するようプログラムされているようですわ。

チャイムが鳴ったら時間割を見る。


雫は流れたまま、私は時間割を見ましたの。




『総合演習ですの。』




『ほら、リリー行くよ。』


加藤さんが私の手を引く。


これもまた機械的な儀式。


雫が溢れたまま、、

私は、、、



















『リリー!!』


手を引かれる。

『授業サボろうぜ!!!!』


『おい、タケル!裏切り者はヤッちまうぞ!』


『うるせえ!厨二病女!黙ってな!』





その日、タケルさんは私を連れて授業をサボりましたの。



学園を出て、市場を抜けていく。

私はずっとずっとタケルさんの後ろ姿を見てましたの。




胸がとてもとても熱くなりましたのよ。

雫はたくさんたくさん、流れてましたの。




『リリー!飯食い行くぞ!!』



タケルさんはニカッと笑う。

私の胸はドキドキしましたの。

顔が熱くなるのもわかりましたの。

この気持ちは、、覚えてますわ。

でも、なんでしたかしら。





飯とはなんでしょう。

でも、私は、、私はびっくりしましたのよ。







『うん!タケルさん、飯食べたいですわっ!!』



私は自分の感情を剥き出しにして

走っている。




もうタブレットも条件反射も関係ないですわ。


この感情、気持ちに名前をつけるとしたら、、、




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