地雷には気をつけよう。
一限は演習だ。
『タケルさん、おまたせしましたわ。』
りりぃと書かれているいつものキツめの体育着をきて、俺の彼女は現れた。
『どこを見ている。』
眼帯の加藤が睨みつける。
『いや、どこって・・・・別にいいだろ。』
『よくない。実戦ではそういう気の緩みが命取りになるのだ。』
『はいはい。リリーの胸への嫉妬ですかい。』
『な・・・貴様・・・ヤッてしまうぞ。』
『はあ・・・。早く演習始めようぜ。』
加藤がなぜか顔を真っ赤にしてふくれっつらなのは放置する。
『リリー、ライフルは・・・?』
『あ、あら嫌ですわ、おいてきてしまいましたの。』
『参ったな。せんせー、ライフルの余りないですかあ!?』
ピンク髪の苗村先生に呼びかける。
苗村先生は腕をブンブンさせながら
『ありますよおー!!今持っていきますねえっ!』
苗村先生がライフルを持ち、台から飛び降りる。
『あ、苗村先生、、それはやめた方が、、、』
『ぷぎゃあっ!』
一足遅かった。
苗村先生はバランスを崩して、そのまま後頭部から倒れた。
『誰か!担架を!』
俺はリリーのライフルをとりにいった。
『じゃあ、演習始めようぜ!』
『はーい。』
『ちっ、早く始めろよ。』
加藤が毒づいてるのは気にしない。
『この辺も特に敵は出ないからなあ、あんまり演習って感じがしない。』
『で、でも地雷とか、あんだろっ!?』
加藤が猫背になりながら、忍び足でそろりと歩く。
リリーは対照的で、背筋を伸ばしながら胸元をバインバイン言わせながら歩く。
『リリー、気をつけろよ。』
『うん?何がですの?』
『いや、この辺地雷埋まってるらしいからさ。』
『わかりましたの!』
元気よく返事する。
『まあ、地雷源は軍がある程度特定してるから、ヤバくなったらセンサーもなるし。問題ないか。』
それにしてもいい天気だ。
『まあ、綺麗なお花ですの。』
突然リリーが走り出す。
あそこは、確か、、
『リリー!ダメだ!』
リリーを追っかけて手を掴む。
『え?だって綺麗な・・・。』
俺はその花畑に石を投げ入れる。
ドォォォォン!!
地面が抉れて土埃が宙を舞う。
火薬の匂いが充満する。
『ひっ、ヒィ!』
加藤が腰を抜かしている。
『リリー、大丈夫か?』
覆い被さったリリーの顔を見る。
『タケルさん、すごい音でしたのっ!』
リリーはニカッと笑っている。
『リリー、危なかったじゃないか。』
『ふふ、でもタケルさんが助けてくれましたわ。ところでタケルさん。手をどかしてくださいまし。』
『え、うわっ、ごめん!』
リリーの胸に手があたっていた。
『まあ不可抗力ですわ。』
俺はリリーから離れる。
リリーは立ち上がり、体育着の汚れを払う。
『でも、なんでしょうか。胸がなんだかドキドキしますわ。』
リリーの屈託のない笑顔。
ベーっと舌を出し、両手を腰の後ろで組む。
かわいい。
尊い。
守りたい。
『ううん、おほん!』
加藤の咳払いで我にかえる。
『よ、よし。演習を続けるか。』
『演習の時間は終わりだ。帰るぞ、タケル。』
加藤は俺の頬をつねる。
『痛えっ!何すんだ、厨二病女!』
『・・・そんな言い方しなくてもいいじゃん。』
加藤は毛先を指でくるくるいじりながら、俯く。
こいつはなんなんだろうか。
『帰るか。リリー歩けるか?』
『ええ、大丈夫ですの。』
リリーの手をひく。
『あら、積極的ですね、タケルさん。』
リリーの声は無視した。
俺はとても恥ずかしかったが、リリーの記憶を取り戻すためにはラブコメっぽいことをたくさんせねばならない。
『なんで、また私じゃないの?』
『うん?加藤何か言ったか?』
『さっさと歩け。撃つぞ。』
加藤は情緒不安定だし、リリーはあざといし、なんだかひどく疲れた演習だった。




