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リリーを取り戻す

ガタっ!


やばい。

診察室外にあったイスを倒してしまった。


『誰かしら?』


カーテンが開かれる。


『や、やあ。』


『タケルさん。』


リリーは振り返った。



『き、聞いたのかしら。ずいぶんな殿方ですわね。』


『す、すまない。』



沈黙が流れる。


『坂上さん。』


医師がリリーに覗きこむ。


『この人が忘れてしまったけど、何か大切な約束をした人かな?』



『え?』


俺は思わず声をあげる。


『・・・・だったら、なんだというですの?』


『リリー、それはどういう・・・、、』


『・・・・・。』


リリーの表情が見えない。


拳を握っている。



『はあ、、、坂上さんも素直でないですね。』


『うるさいですわ。』


リリーが医者に吐き捨てるように話す。



『タケルさん。私、あなたととても大事な約束をしたような気がしますの。』


『ああ・・・。』


『でも、それが思い出せませんの。』


『そうか。』


『ですから。』


リリーはバッと振り向く。


俺の両手を強く握り、上目遣いで見てくる。



『思い出すお手伝いをしてほしいですの。』


そう話すリリーはなぜか満面の笑みで、

顔はポッと赤くなっている。


『ああ、、そういうことなら、、お安い御用だっ!!』


『ふふ、ありがとうございます。タケルさん。でも何か見返りが必要かしら。』


リリーは見つめてくる。

瞳を潤ませている。

やばい。

めちゃくちゃかわいい。



『ああ、リリー。見返りは必要だな。そうだな。そしたらさ、思い出したらその時に決めよう。』


『・・・?それでいいですの?』


『ああ大丈夫だ。』


『わかりましたわ。しかし、なんでしょうか。さっきから妙に顔が熱くてドキドキするのはなんでしょうか。この感じは、、、』


リリーはパッと手を離す。



『少しお花摘みにいってきますわ。』



ダッと、走っていってしまった。




『タケルくん、と言ったかな?』


『はい。』


『キミには酷なお願いをしてしまい申し訳ない。』


『酷なんて、とんでもない。』


『いや、、まあうん。すまない。』


医師はなぜだか、とても申し訳なさそうな表情をしている。



俺にとっては、

リリーが俺と恋人になったことを思い出してもらう為の儀式なのだ。



何も申し訳ないことはないのだ。


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