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リリーとでえと

今日は土曜日。

学校の授業は休みである。


リリーとは市場の入り口あたりで待ち合わせをしている。



『リリーの私服かあ、、、』


リリーのことだ。

おしゃれさんに違いない。

そして、あの魅惑の胸元。



『案外、デート初日にお持ち帰りイベントが発生したりして!』


ああこの胸の高鳴りが抑えられないぜ。

とはいえ、俺の鋼の心臓はとくに変わらず一定のリズムで音を刻んでいるのである。


『お待たせしましたわ。』


振り返る。


『ああ。』


いつも通りのリリーだ。




『リリーよ。なぜいつもの服なのだ。』


『え?なんか変ですか?』


『いや、、その男女が休日に出会っているんだぜ。。察してよ。』


『タケルさん、何か勘違いされているのでは?』



リリーが片目でウィンクしながら、人差し指を立てる。



『私は男女としてお付き合いさせて欲しいといったのではなく、今日あるところに行くので一緒に来て欲しいという意味でお伝えさせていただいたのですよ。』


リリーははっきり言う時ははっきり言うのだ。


『タケルさんの言うラブコメルートはこんなに段階をすっ飛ばすのではなく、ちゃんとした段取りと距離の縮め方がありますのよ。』


嫌味なく微笑みかけるリリー。


『な、なぜそれを、、、くっ。』


リリーにはそういう下心がバレていたというのか。


『でも、ラブコメはきっかけさえあればなんとでもなるものです。だから、今日は私のことを知ってもらおうと思いまして、お誘い申し上げましたのよ。』


『そ、そうか。』


ならば、まだ勝機はあるということだろう。



『それで、今日はどこに行くんだ?』


『ついてきてのお楽しみですわ。』



リリーに導かれるまま歩いた。


学校近くの市場を散策する。

普段歩いている道をひたすら進む。


市場はかなり広く、俺はこの市場の抜け方がわからない。最初は一本道だが少しずつ枝分かれしていき、迷路のようだ。


リリーは迷うことなく歩いているが、俺は1人で帰れと言われたら道がわからない。



露店がびっしりと並んでいて何がなんだかわからない。


『よっ、にいちゃん、ネジが安いよ!』


『新しいオイルが入荷!限定10本だよ!』


『配線が1本10円!今だけのお値段!』


こんな風に声をかけられるから道を覚えようにも気が散ってしまう。


店構えもどの店も似たりよったりだから、目印もない。


『着きましたわ。』


ある店の前だ。


『いらっしゃい。』



リリーが口を開く。


『・・・・。こちらへ。』



リリーと俺は店の奥にある掘建小屋に通された。


『リリーなんなんだ?ここは。』


『表向きはガラクタ置き場。』


『表向きは?』


『そう本当は違いますわ。入ってくださいまし。』


掘建小屋に入るとマンホールがあった。


『この先はタケルさんと私の秘密にしてくださいまし。』


指を手に当てて、しーっと静かにするような仕草をする。


少しはにかんだリリーはとてもかわいかった。


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