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世界は初期化されました。

「タケル!!タケル!!」


「ああ・・・・か・・・とう。」


タケルが虫の息だ。

私に力を振り絞って、手をさしのべてくる。

壁に力なくもたれかかり、今まさに壊れかけている。



「どうして!!何があったんだ!!」


決まっている。

タケルがここにいるということが行動面のエラー。

つまり裏切り行為。

授業をさぼったわけではないけれど、アンドロイドのタブーとされている

食事をしたか、もしくは試みたか。


でも。


そんなことより。


「しっかりしろ!今、いま助けるから!!」


「か・・・とう。俺は・・・もう。」


「うるさい!!黙りなさい!」


タケルの状態を見る。

神経回路が遮断されて今こうして話をしていることすら奇跡のような状態だ。


「か・・とう・・ごめんな。お前とここに・・・きて・・・食べたかった。」


「いいから!!」


なんとか神経回路の再構築のパターンがないかデータベースを参照してみる。



「おまえ・・・との・・・デートが台無しだ・・・・俺がこんな・・・・ことをしたから」


エラーを起こしたアンドロイドは重罪ものだ。

社会的に抹殺されてもおかしくないくらいの重罪だ。


だからしてはいけないはずだ。

このエラーを起こすタケルの人工知能はこのまま破棄されなければならない。

新しくすべてのデータをデリートしたうえで、エラーを起こさないためには

どのようなプログラム組成が必要か検証しなければならない。


そんなことはわかっている。


「いやだ!!タケルが死んじゃいやだ!!」


私は目から流れる冷却液を服の袖でふき取りながらタケルの神経回路をつなげる

方法をリサーチし続けた。


「泣いて・・・くれる・・・のか。」


タケルは息絶えそうになりながら、私の頬に手を添えてきた。



「泣く・・・・なよ。俺が悪いんだから。ご・・・めんな。か・・・とう。」


リサーチの結果は何もなかった。


この状態になったらできることは限られていた。



「タケル!!タケル!!」


私は必死に呼びかけ続けた。

いいのか。


私はこの世界を管理・監視する存在なのだ。

なのに。

なのに。

なのに!!!



恋というよくわからない。きわめて非論理的なものの為に!

私もいずれ破壊されうる存在になっていいのか!!

タケルをサルベージするということはそういうことだ。


「ああ・・・か・・・とう。。俺はもしかしたら・・・お前に・・・・」


「もうしゃべらなくていいから!!」


「はあ・・・・これはな、言わないと駄目な気がしてな・・・・ぐは・・・加藤。」


タケルの声が耳に入ってこない。

人間でいう涙を私は目から流し続けている。


恋という非論理的な感情の為に、

私は自分自身に咎を課してしまっていいのだろうか。


迷う。

でも。


タケルを助けたい。

このタケルに私を忘れてほしくない。


そう思った。

だから。


私は眼帯を外した。



タケルのデータが私を通じて、サーバーへと飛ばされる。

そのままタケルの第2機体へとそのバックアップデータを飛ばした。


「我々」にばれてしまうからもしれない。

罪人を助けた管理・監視特化型アンドロイドとして

私はこれから彼らに付け狙われてしまうかもしれない。


だけど。

私は恋、いや愛を選ぶことにした。



「データバックアップ完了。淘汰プログラム停止。エラー因子排除。世界は再起動されます。」


私はプログラムを起動した。






世界は初期化された。

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