業火に焼かれてもキミを探しに行く
『タケル!タケル!』
銃声が轟く。
あたりは油くさい。
アンドロイドは油で動いている。
私たちは傷を負えば血ではなく油を流す。
油くささを耐えながら私は駆け抜ける。
淘汰プログラム発動。
淘汰プログラムは、『我々』が仕掛けているものだ。
当然、淘汰にあたるのもアンドロイドだ。
制服を着た、アンドロイドが銃を抱えている。
第50高校の制服だ。
一定数のアンドロイドに淘汰プログラムを流し込み、それ以外のアンドロイドを淘汰していき、
視聴覚室に残骸を運びこむ。
所詮機械だ。
だから、もう一度作り直せる。
だけど、なんだろうか。
胸が痛い。
また2回目、3回目と重ねていくのだろう。
でも、この時の記憶は全てデリートされる。
人を愛した、その記憶も消えてしまう。
それって、もう別人じゃないか。
タケルの記憶。
タケルとデートを行くはずだった記憶。
中二病が面白いと言った記憶。
桜を見た記憶。
それが消えてしまう。
そんなの、悲しいじゃないか。
私は駆け抜けた。
マーケットを通り過ぎた。
マーケットは綺麗に整理されている。
淘汰プログラムの優れているのは、あたりの建築物や景観は一切傷をつけないという点にある。
ただ当然、そうせざるを得ない時もある。
マンホールから煙が上がっている。
あれは、飲食街だ。
アンドロイドのタブーとされているものを作るのも実験に過ぎない。
誘惑があっても抑制はどのくらいの確率で可能なのか。
飲食街は火を使っているから当然、襲撃があればこのようになる。
ただ。
飲食街には淘汰プログラムを発動した機体は基本的には入らない仕様のはずだ。
もし、行動を逸脱した機体がいなかったらだ。
『タケル!!』
私はマンホールを飛び降り、飲食街に向かった。
飲食街は火に包まれていた。
地獄だ。
アンドロイド達は焼かれて、
半壊したアンドロイド達のうめき声がする。
『た、、すけ、、て。』
褐色肌のアンドロイド。
何の為にこんな仕様のアンドロイドを作ったのか。
褐色肌に銀髪ロングとショートヘアの姉妹のアンドロイドは爆発に巻きこまれたのかお腹から下が吹き飛び機械がのぞいていた。
もう助かるまい。
私は視線をあげた。
単なるイチ機体に過ぎない。
コピーはいくらでもある。
でも彼らの痛みは確かにここにある。
そして命は散っていった。
私は顔を上げた。
目の前には片腕が吹き飛び、虫の息になっている
愛しい人。
タケルが壊れかけていた。




