淘汰
私はアンドロイドなのに。
化粧をしている。
アンドロイドの世界に化粧品があるのはかなり
意味がわからないけれど、とにかくデートという概念を天野に教えてもらった。
女の子はおめかしして、着飾って出かける。
そんなことを推奨された。
オリジナルがいるというのはその辺の知識もオリジナルから引き継いでいるのだろうか。
眼帯に手をかける。
この眼帯が外せないのは残念だ。
眼帯はアンドロイドの機体からデータを引き抜く為のもの。
サルベージが必要とされる際に使うものだ。
眼帯をしている隻眼の女の子なんて、タケルは好いてくれるのだろうか。
ファンデーションを丹念に塗り込みながらそんな不安を覚える。
『いや、、出来ることをやらないと。』
リップは赤くなりすぎないように。
『よし!これでいこうかしら。』
服は青のワンピースを着た。
黒タイツに青のワンピース。
私の好きな色。
好きな色があるなんて。
いや、これは多分学習した結果、接触回数が多いから私のデータ上に優位にある色に違いない。
部屋を出て、学校前の桜並木通りに向かう。
少し人通りが少ない。
休みの日は、アンドロイド達も好きに過ごしていいようプログラムされている。
だから、もっと人は多いはずだが。
マーケットも空いているのだから出かけ先はあるのに。
桜並木通りに着く。
待ち合わせには少し早いけど、こういう待ち時間すら楽しい。
風が吹く。
桜が舞い散る。
私の青いワンピースを取り囲むように桜の花びらがまとわりつく。
なんだか、儚くこうやって桜は散っていくのだろう。
私たちアンドロイドも、この世界の時間軸においては桜が咲いて散るくらいの儚い時間で命を散らしていくのだろうか。
そんな儚い思い出すら許してくれないのだろう。
銃声が鳴り響く。
私は間違えたのか。
ちゃんと監視対象を監視していなかったからか。
『淘汰の日』
裏切り者、いわゆる行動でエラーを起こしたアンドロイドがいたら、機体を全て破壊し、世界をやり直す。
アンドロイド達は逃げ惑う。
彼らは自分らをアンドロイドであり、コピー機体が何体もあるのは知らない。
たった一度の命を惜しむように銃声から逃げ惑う。
断末魔の叫びが聞こえてくる。
いったい誰が。
エラーを起こした?
青いワンピースの布地が目に入る。
『タケルが!タケルの記憶が消えてしまう!!』
銃声が鳴り響く中、私はタケルを探す為にかけ出した。




