求愛
恋するアンドロイド。
笑える。
私はただのこのアンドロイドの世界を
監視するものとして作られただけだ。
なぜそんな機能があるのだ。
人工知能だから学習する機能はあっても
恋なんて機能は必要ないはず。
それとあのガラクタの少女は言った。
『オリジナルがいる。』
オリジナルとは、いわばモデルになった実体がいるということだ。
『我々』サイドにいるということか。
そんなことはあまり意味がなくて、
今大切なのは私がタケルに恋をしているという事実だ。
私は笑えるとはいったものの、この感情に気づいてしまってからは笑えなくなった。
何をするにしても
タケルを目で追ってしまうからだ。
タケルが桜並木を歩いている時の後ろ姿や
授業を受けている時の横顔。
何もかも彼が私に入ってきて
私の感情をぐちゃぐちゃにしていく。
その度に放熱プログラムが起動する。
こんなエラーを『我々』は見抜くだろう。
私もおそらく近い将来、ガラクタ送りだ。
監視対象を見つけ、監視し行動抑制するという私のミッションは早くも破綻していた。
私はもうどうでもよかったのかもしれない。
彼の心に入り込めればなんでもよかったのだろう。
『はっはっは!我が名は悪の化身、ジーク!貴様のような子猫を拐かしにきた!さあ!我についてくると良い!!』
『はあ、、、またか。加藤。授業はサボってはダメなのだろう?』
『左様。なればこそ、明日の休息日に、我が行軍に付き合うがよい!』
『つまりさ。休日一緒にデートしろってこと?わかりづらいな、加藤。』
髪をワシワシされる。
『く〜〜、ワシワシするな!無礼者ぉぉ・・・・。』
耳がペタンとへたり込むうさぎのように、
顔を赤くしながら、私はタケルに髪をワシワシされていた。
体が熱くなる。
『なんだよ、、まあいいや。加藤。どこか行きたいとこ、あるのか?』
『なっ、、そ、そうだな。デートがよくわからん。だ、だからだな。その・・・。』
『はあ・・・じゃあ俺がアテンドすれば良いか。じゃあ明日、桜並木で待ち合わせしようぜ。』
『あ・・・ああ!心してくるが良い!』
私は放熱プログラム起動させながら、駆け抜けた。
明日はタケルとデートだ。




