それは恋
タケルが授業を飛び出していないのは救いだった。
飛び出して仕舞えばいよいよ裏切り者の烙印を押さざるを得なくなる。
それは、私としてもしたくないことだ。
『なんで、、こんな思いを。』
調べても調べても出てこない。
放熱 エラー
胸 ドキドキ
聞きたくないが。
私は視聴覚室に向かうことにした。
ここは中間処理施設として活用される。
視聴覚室にしては広すぎる設計だ。
準備室に入る。
『はい、天野です。あなたのお名前は?』
盲目のガラクタ少女。
見た目は見目麗しといった美少女なのに。
ガラクタ。
彼女は、私の試作機。
いわば失敗作。
失敗作ではあるが。
まだこの世界に余裕はあったのだろうか。
父親がこの世界にいる。
画家という設定の父親がいる。
試作機には優しいのか。
『我々』を名乗る奴らの温情だろうか。
『私には、あまり優しくないくせにね。』
『?』
天野は首を傾げる。
『いや、こっちの話。加藤よ。』
『ああ加藤さん。』
『あなたは私の試作機だから、私より性能は劣っているだろうけど、私より知識はあるのかしら?』
『はあ、、、』
『実は、、、、』
私はここ最近の事を話した。
自分の状態。
体の調子。
『それは。』
天野はニコリと微笑んだ。
『ふふふ。加藤さんのネットワークには、その語彙がないのね。』
天野はその場に立ってくるりと一回転する。
『私はガラクタ。だから、加藤さんのようにすごい力は無いわ。ガラクタに教育を施しても仕方ないって国は判断した。ガラクタにできるのは、ガラクタの観察と処理。でも、あなたと決定的に違うことがある。私は、オリジナルがいるから。わかるの。加藤さん、それはね。』
天野は虚な目でこちらを見る。
『恋よ。加藤さん。』




