この恋心は作られたもの
桜並木道を歩く。
見慣れた後ろ姿が見えてくる。
その後ろ姿は桜を見上げた後、必ずニコリと微笑んで
こちらを振り向く。
こちらを振り向くというよりかは私の後方を見て、歩みだす。
どこかへ行ってしまうように。
私なんかを見ることなしに。
「春だなあ、平和だあ・・・・」
口ずさむように呟くそのセリフを聞くと私は必ず、
銃の撃鉄をあげて彼に銃を向ける。
「手を挙げろ。裏切者はヤってしまうよ?」
「また逃げるのかな?タケル君は??」
そうまただ。
「またってなんだよ。お前のスパイごっこには飽きたよ。」
キミが何回も何回も逃げようとするから。
こうやって本物の銃を突きつけているのに。
「ごっこじゃないよ。僕にとっては大まじなスパイなのに。」
「で、どこ行こうとしたのかな?」
「いい天気だからちょっと花見に行こうかなと思って・・・。」
どさくさに紛れて、タケルほっぺを人差し指でつついた。
「さぼりだねえ。それは軍の規定違反だよ??」
もうやめてほしい。
あなたが苦しむのを私はもう見たくない。
このやり取りは何回目だろうか。
40回はゆうに超えた気がする。
時間は残されていない。
あと10回も残されていない。
♦♦♦
「あと10回も残されていないとはどういうことだよ?」
PCの加藤に向かって、問い詰めるように話す。
「怖いなあ・・・タケルは。」
加藤は目をつぶる。
「その通りだよ。第50高校。この高校の名前はね、キミらのタイムリミットなんだ。」
「え?」
「我々と呼ばれる人たちがね。忘れないようにつけた名前さ。君らの機体は50個しか作られていない。
今が48回目。いや、苗村先生だけ49回を終えたから実質次が最後。苗村先生を見捨てるなら
あと2回チャンスはあるよ。」
「見捨てるって・・・・。」
「はあ・・・・。」
かとうはため息をつく。
「なあ・・・なんで俺はお前とのその恋仲になろうとしていた記憶が・・・・」
「・・・・・。」
「ないんだよ?いま知らされても思い出せない。」
「それは・・・・そんなこと我々にばれてみなよ。僕は消される。」
「だったら今なんで伝えた?」
「今がラストチャンスだから。」
「は?」
「僕のことを好きなキミに戻すためには今しかない。君がなぜ、この48回もラブコメを
目指そうとしていたかはわかるかい?」
「は?」
「恋するようにプログラムをしていた。恋をするということを学習してもらうために。
恋を学習してもらって、、僕が思いを改めて告げるときに君が恋を忘れないようにするために。」
「どういう。」
「だからね。君が天野やリリーやレン、ケイ、苗村先生にときめくように、彼女らを幸せに
しようとしていたのはね、僕がそうするように1回目のサルベージの時にそうプログラムさせてもらったんだ。
そして君はあるプログラムを発動することでその学習した恋の方法で、僕に恋をするのさ。」
「それは・・・・・。」
「そう。君のこの48回の彼女らを幸せにしようとする、行動パターンは僕に恋をするための
プログラムにのっとって作られていた、感情にすぎないのさ。」




