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タケルとの出会い

「起動。」


視界が白んでいる。

誰かの声がした。


開けてきた視界でまず目に入ったのは、一筋の光だった。


「無事起動したな。」


光の横にいたのは白衣を着た一人の男性だった。

「キミの名前はなんだかわかるかい?」


私の名前は・・・・


「加藤玲です。」


私はなぜだか自分の名前を知っていた。

誰かに聞かされたことがないのに。


そりゃそうだ。

名前はすでに私の人工知能にプログラムされていたわけだから、

答えることは容易であった。



「キミのミッションはなんだい?」


私のミッションは・・・・



「アンドロイドたちの監視です。」


「そうだ。君はアンドロイドの世界で彼らの行動監視をすることである。」



私は起き上がった。


すでに第50高校の制服を着ていて、

片目は視界がふさがれていた。


この片目は・・・・



「重要監視対象が現れたら、その個体のサルベージを行い、データ共有を行うのですね。」


「そうだ。我々の為に早くデータを集めてほしい。」



我々とは誰だろうか。

そのデータはなぜかプログラムされていなかったようだ。

だが、この我々と自らを呼んでいる白衣の人達のいうことを聞く必要はあるようだ。



すぐに扉が開き、目の前には第50高校の校門が見えた。


第50高校の校門前を歩いているのは一人の青年だった。


さらっとした髪。

癖のない茶髪に、スラっとしたスタイル。

大きな瞳。

スラックスに白いYシャツが似合う。


あれは、狩野タケルという個体である。


私は扉を開いた。

その狩野タケルという個体が明らかにエラーを起こしていることは

火を見るより明らかであった。


「学校・・・さぼろうかな。」


学校をさぼるという思考は極めて危険だった。

なぜならすべての人工知能は、第50高校での授業を通じて

学習し、規範やするべき行動指針を学んでいくからだ。


私以外の個体は作りこまれたプログラムは用意されていなかった。

それだけ「我々」と呼ぶ人たちは予算も時間も余裕がなかった。


とりあえず大量に個体を作り、最低限の人工知能を搭載していち早くデータを収集することが必要だったらから。



狩野タケルという個体はすでに学校をさぼろうとしているのだ。

どこでそんな学習をしたのか知らないが、危険極まりない。



銃をつきつけた。

「裏切り者はやる。」


「おっと、これはこれは。君は加藤だっけ??」


「だったら、なんなのだ。」


私の前髪をかき分けてくる。


「キミはこんなに美人なのに、眼帯なんかして・・・・」


「な・・・・・」


これは知らない。

なぜか鼓動が早くなる。

プログラムを解析しきれない。

これはいったいどういうエラー状態だろうか。

強制の再起動を行った方がいいだろうか。


そんなことしたらこいつが学校をさぼるかもしれない。


「どうしたんだよ?」


「うるさい!すこし黙れ!!」


プログラムの解析を行う。


冷却装置を起動させて放熱を行う。


ああ・・・もう大丈夫だ。



「授業をさぼるやつは、裏切りものだ。それでもいいのか。」


「よくわかんねええなあ。こんな桜が舞っていてよ、きれいじゃないか。そうだ。

加藤、一緒に花見に行かないか??」


「授業を受けろ。馬鹿者。」


「はあ・・・つまんねえなあ。わかったよ。それよりかさ、じゃあ、昼休みはどうだ?ほら

校庭にも桜はあるだろ??」


こいつは危険だ。

まだ学習は始まっていないのに、いろんなことに興味を持ち始めている。

これは監視を強化せねばならない。


「わかった。授業は受けろ。それが交換条件だ。」


「はいはい。わーったよ。じゃあ、午前中の授業終わったらほらあそこの桜並木の下で

待ち合せな。」


昼休みは本来はエネルギーの充電を行わなければならないが、

こいつは重要監視対象だ。


座学を受けながら充電はできる。


私の役目を考えれば特に問題はないだろう。


私の狩野タケルは教室に向かうことにした。

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