なぜ君は
加藤の顔は赤かった。
これまでにないくらい紅潮しているのが目に見えた。
データも顔が赤くなったり具合が悪くなったら、青白くなったりするのだろうか。
とにかくなぜ加藤が顔が赤いかは不明であった。
「・・・・そ、それはだな・・・・。」
「だって面倒くさいじゃないか。淘汰の日だって・・・・あいや、この淘汰される日のことを俺なりに
名前をつけただけなんだけど・・・繰り返すというか何度も行う理由がわからないし、
そもそも加藤はなぜ俺だけをサルベージしたかったんだ??」
「・・・・そんなの君に関係ないだろ?」
その無責任な答えに俺はつい激高した。
「関係なくはないよ!!だって俺は君にサルベージされるたび、そうだな。記憶が新しい記憶に
引き継がれてさ、苦しい思いをしたんだ。何度も何度もリリーや天野、レンやケイを何度も
救おうとして、失敗してそのたびに自分の無力さに打ちひしがれてさ。」
「・・・・・。」
「やっと自分は何もできないからこの世界を受け入れてさ!!暮らそうとしているのに、苗村先生が死んでさ。世界の真相を
知らされて・・・・無責任すぎやしないか。今更なんでこんなことを知らせようとして・・・・
またみんなを危険な目に合わせて。。。俺らがここに来るようにしたのも!!」
「それは・・・・・」
「なあ!!またサルベージしてくれよ!!天野もリリーも!レンもケイも!苗村先生も!
俺なんかをここに来させてお前の遊びにつきあって死んだんだ!ふざけるな!!」
俺はどす黒い鉄の玉を吐き出すかのように思いを叫んだ。
もうだって。
つらすぎるから。
「加藤!!お前の目的はなんだんだよ!!」
「・・・・それは!!それは!!お前の、タケルの為に全部やったんだよ!!」
「はあ!!?この偽善者!!信じられるか!!」
「嘘じゃない!!お前の為にだな・・・・」
俺は知っている。
お前の為。
こんなに便利な言葉はない。
おせっかいや自分の都合を正当化するために、
あたかもその人の為を思ってやったんだという言葉。
「お前の言葉なんて信じない。だって、ただの人殺しじゃないか。直接的にしろ、
間接的にしろ、こうやって殺して。俺の心をもてあそんで・・・何度も何度も絶望させて。
こんなことなら。サルベージなんてしないで!!全部、全部忘れたかったのに!!」
つらい現実を思い出を忘れることができたらどんなに楽だろうか。
もう耐えられない。
「そんな・・・そんなことを言わないでくれよ・・・・。」
加藤を見る。
データのくせに。
涙を浮かべて。
「泣きたいのは俺の方なのに・・・・」
「・・・・なの。」
「は?」
「忘れてほしくなかったの!!!私という存在を!!あなたに覚えておいてほしかった!!」
「どういうことだよ!!」
加藤は顔を伏せる。
「話すわ・・・自分のことを」
加藤はぽつりぽつりと話し始めた。




