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トールさんの様子がかなりおかしい。
考え事をずっとしているらしく、護衛任務を外れてぼうっとしてることが増えた。
彼を心配しているうちに、予定日数を終えて地上に戻ることになったけれど地上に出てもトールさんの様子は変わらなかった。
どうしたんだろう。心配して声をかけても苦しそうな顔で笑って誤魔化されるばかりで、結局私は『その話』をダーツから聞くこととなった。
「…迷宮ボス?」
「うん、大型の女王蟻で迷宮ボスじゃないかって。スタンビードも起きかけてるらしくって確認が取れ次第討伐レイドを行うってクリハラさんが言ってたよ」
「ほんと?じゃあ大量のポーションと食料を準備した方が良いかなあ。そういうのギルドの方で準備してくれるとか言ってた?今宿屋の資産ってどれくらいだっけ?」
迷宮に行ってない間は当たり前だが減収だったが先週の経営でとんとん黒まで持ち込める見込みだったはずだ。
キノコも蟻もモグラも、今回の経営で買い上げた物は無事に全部売却の見込みがたったから。
黒字は大事だが、冒険者達の命には変えられない。
トールさん達の装備の新調は今はサイズなどの調整中で今回の帰還または次の帰還辺りで完成すると聞いているが、もしそれよりも前にレイドが発生するならば買えるものは何でも買ってーーー
「姉さんは当たり前のように参加する気なんだね」
お高いけど高級ポーションも買い足すかな、と考えているとダーツが困ったように笑いながらこぼした。
あれ、え?
「え、私は参加じゃないの?」
「……トール兄さんは、姉さんの参加も自分たちの参加も濁してるらしいよ。だから僕の方からも説得してくださいって素材の売却時に言われたんだ」
「え!?トールさん達も不参加なの!?」
戦闘狂のアイズさん、困った人を見捨てられないトールさん、功績を見逃さないエストラさん達なら絶対に即決で参加すると思うんだけど。
「それだけ今回のレイドは危険らしいよ。視界不良、呼吸不良、魔道具禁止の前提条件がキツすぎるんだって」
「あー…ねえ…」
ぶっちゃけ普通に対応しているトールさん達がおかしいだけで、アイアン迷宮の仕様は現地の冒険者達でも苦戦をしているようだ。
そう考えると現地の冒険者で問題なくボスに挑めそうなのは…
ぱっと浮かんだのはメルディさんで、あと数人ちらほら冒険者の人達が浮かぶが…トールさん達程の実力は、どうなんだろう。実際に戦闘を見たこと無いから。私はあくまで持ち込まれる素材の数でしか把握できてない。




