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第弐話「図書室の怪」(前)

 私の短い人生において、怪異と呼ばれるものを視ることは、数少ないことではない。

 それは全て、幼き頃に突如としてこうなったと聞かされる、白く濁りきった左眼の所為であることは疑うべくもないのだが、しかれども、危険な目にあったことは、ほとんどないのだった。

 あったとしても、死ぬかと思ったことは一度たりともない。

 また、高校にあがって眼帯をするようになってからは、視る機会すら、ぐんと減った。

 そう完全にではない。

 左眼が諸悪の根源であることは明らかだが、右目もまた視ることがある。

 先の“開かずの教室”でもそうだったように。

 そして、あの日を契機に、私──柳田やなぎたナチノ──の高校生活は、一変したのだった。

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