3/20
第弐話「図書室の怪」(前)
私の短い人生において、怪異と呼ばれるものを視ることは、数少ないことではない。
それは全て、幼き頃に突如としてこうなったと聞かされる、白く濁りきった左眼の所為であることは疑うべくもないのだが、しかれども、危険な目にあったことは、ほとんどないのだった。
あったとしても、死ぬかと思ったことは一度たりともない。
また、高校にあがって眼帯をするようになってからは、視る機会すら、ぐんと減った。
そう完全にではない。
左眼が諸悪の根源であることは明らかだが、右目もまた視ることがある。
先の“開かずの教室”でもそうだったように。
そして、あの日を契機に、私──柳田ナチノ──の高校生活は、一変したのだった。




