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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
37/92

037 この世界における一般的な性文化

「【バーンファイア】!」

「キュキキー!」


 帯状に連なる炎のカタマリが、4体をのミラージュモス一気に焼き払ってゆく。

 その火の勢いに毒粉も、広がることなく燃え尽きた。

 残ったポイズンビーもあっけなく剣に斬られ、魔石に姿を変えた。


(って? いまの、ぼくの魔法じゃないんだけどね~)


 いまの戦闘は、ぼくたちとたまたま居合わせた、ほかのパーティーのこと。

 さほど広くもないダンジョンの通路、戦闘中に横を通るわけにもいかない。

 だからこうして戦闘が終わるのを待つか、助けに入るかのどっちかだけど、


(さすがにレベルアップ目的で、ずっとここで戦ってる人たちだもんねぇ そうそうピンチにはならないですよねー)


 なので最初こそ『助けがいりますか?』って聞いてみたけど?

 『あ、結構です』っぽい感じでおことわりされちゃう。

 だから、


(こうやって終わるのを、待ってるしかないんだよねぇ)


 へたをすると? 待ってるぼくたちの後ろに、さらに別のパーティーが来たりする。

 なのでなるべく行動範囲が重ならないように、注意しないといけない。


(気まずいよねぇ でもこれって、ダンジョンあるあるなのかなぁ)


 するとさっきのパーティーの人たちが、宿屋へもどるみたいだった。

 もしかしたらさっきの火魔法【バーンファイア】で、魔法使いの人のMPが少なくなったのかも?


-------------------------------------

【バーンファイア】

 種別:元素魔法(火魔法)

 状況:戦闘時

 対象:魔族・魔物

 効果:空気中の元素から帯状の炎を作り出し、標的に向かって発射する魔法。

    集団の魔物に対し、一気に火のダメージを与えることができる。

    水系・氷系の魔物には効果が高く、火系の魔物には効果が薄い。

-------------------------------------


 集団の魔物に効果がある魔法は強力だけど? そのぶんMPの消費がはげしい。

 だからきっと、とっておきの魔法を使ったのかも?


(でも、集団の魔物を一気に討伐できる魔法かぁ うらやましいなぁ)


 もちろん、アイナママの【ホーリーブレス】も、集団に効果があるけど?

 アイナママの魔法はレベルが高すぎて、効果もありすぎなんだ。


(だからアイナママに頼ってちゃ、ぼくの修行にならないよねぇ)


 さっきのパーティーの人たちとすれ違いざまに軽くあいさつして、ぼくたちは強めの魔物がいる、塔の上の階に向かうのでした。


 ◇◆◆◇


「ふう、ごちそうさまでした」


 お昼ごはん──というにはちょっと早めの時間。

 塔からお外が見えるところでアイナママに【聖防壁】を張ってもらって、ぼくたちは軽めの食事をすませたんだ

 けど、


「うふふ、クリスはパンのお味にご不満のようね?」

「だってぇ、アイナママのパンに、なれちゃってるから~」

「そうね、ちょっと堅くていまいちよね」


 ホントは【ちょっと】どころじゃないけど~

 このパンは、ダンジョンの宿屋さんで用意してもらったパンなんだ。

 ついでにいえば、お水がわりのうすめたワインもいまいち。

 こうしてダンジョンの中で、手に入るだけマシなのかもだけど~


(う~ん【異空収納(インベントリ)】の魔法を、アイナママの前でも使えるといいんだけど~)


 そうすれば? おうちで作ったアイナママのおいしいお料理が、ダンジョンでも食べられる。

 しかも作ったときの温かいままの状態で。


(けど、勇者魔法だってバレちゃうよねぇ)


 勇者の収納魔法は呼び出すと魔法陣が出てきて、そこから出し入れするタイプ。

 だけど?

 フツーの魔法の魔法陣は白く光るけど、勇者魔法は【青く光る】んだ。

 だからそれを知ってるアイナママには、バレちゃう可能性が高い。

 それに、いわゆる【収納のマジックアイテム】もあるにはあるけど? かなりレアでお高いみたいだし?


(でもぉ このあともお泊りのダンジョン攻略があるなら、なんとかしたいなぁ)


 ぼくがそんなことを考えていると、


「こほん、クリス?」

「なぁに? アイナママ」

「あなたが、その、がっかりするかもしれないので、今のうちに話しておこうと思うのですが」

「ぼくががっかり?」

「今夜からしばらく、【レッスン】はお休みにしましょう」

「ええっ がっかり……」

「く、クリスったら、そんな悲しいお顔をしないで?」

「でもぉ」

「わ、わたしだって残念ですが……時期的にも、そろそろ始まる頃ですし、うぅ」

「あっ(察し)」


 これはたぶん──


「うん、わかったよアイナママ、残念だけど。でも、なん日か待ってればいいんだよね?」

「え、ええ。そうですよ」

「えへへ~ じゃあぼく、楽しみにまってるね」

「もう、クリスったら。うふふ」


 うん、月にいちどの【あの日】みたいだから、しかたないよね?

 でも? このところ毎日【レッスン】してたから、正直ざんねん。


「で、ですがその、クリスが望むなら」

「え?」

「すっきりするお手伝いなら、そのぉ」

「あ、アイナママぁ♪」

「もう、そんな可愛い笑顔、しちゃって」

「えへへ」

「でも、ほんとうは、ダメなのよ? ああいう、赤ちゃんができないやりかたは」

「はぁい」


 うん、そうなんだ。

 この世界の【レッスン】って、ホントに【子作りのため】でしかないんだ。


(だから最初から、ローションとか使うはずだよねぇ)


 さすがに3日めで気づいて、ぼくが【ローションを使わなくて済む準備】をさせてもらったけど?


(アイナママ、びっくりしてたなぁ)


 そしてぼくは、頼りになる【万物真理(ステータス)】さんに聞いたんだ。

 そうしたら、わかったことはこんな感じ。


-------------------------------------

 この世界における一般的な性文化

 出典:万物真理事典『ステペディア(stapedia)』


 地球における中世ヨーロッパの【十字教】の様な、

 『子作り以外の性行為は罪』的な意識はほとんど無く、

 むしろ比較的おおらかな性文化といえる。


 とはいえ大義名分なき不倫や浮気は、露見すれば社会的地位を失い、

 同意なき強姦などは立派な犯罪行為となる。


 基本的に性に関する情報に乏しく、その伝承手段はほぼ【実地】に限る。

 故に【性行為=子作り】であり、避妊も『女性の胎内に出さない』程度のみ。

 現代日本における【保健体育の性教育レベル】の知識があるに過ぎない。


 故に【入念な準備をする】という概念が薄く、いきなり行為に及ぶ場合が多い。

 その為、女性が【植物油】や、【デンプン粉】を水で溶き加熱したものを、

 【潤滑剤】として使用するケースが一般的とされる。


 【性行為=子作り】である為、女性の胎内以外で【男性が達する】行為は、

 単なる【無駄撃ち】であり、原則的に【無意味な行為】と考えられている。


 また男性も【女性が達する】為の努力をする……という概念が薄く、

 せいぜい時間を掛けた行為で、女性の高揚を長く持続させることが、

 【男性の甲斐性】とされている模様。


 以上のことから農村などでは、経験豊富な人妻や未亡人などが、

 一人前になった男性に、手ほどきをする習わしがある地域も多く存在する。

 ひいては子作りの重要性を鑑みた、村ぐるみの対策の一環とも考えられる。

-------------------------------------


 うん、この世界には動画もなければ、本すらほとんどないからね~

 だからみんな【知らなくて当然】なんだ。


(そりゃぁ【手ほどき】の文化ができるはずだよねぇ)


 だけど、ぼくには【前世の記憶】がある。

 前世では、わりとたくさん見てた【動画の資料】のおかげで、


(アイナママは【レッスン】で、ローションがいらなくなったんだ♪)


 そんなワケで、ぼくとしてはまだまだい~~~っぱい、お勉強したいので?

 ぜひアイナママには【レッスン】をつづけてほしい!


「もう、仕方ないコなんだから」

「えへへ アイナママ、だいすき♪」

「ええ、ママもクリスが大好きよ。ちゅっ」


 アイナママが、またほっぺにキスをしてくれる。

 けれどそのキスはかぎりなく、おくちに近いところなのでした。


 ◇◆◆◇


 1時間後──冒険者ギルド


「ふむ、4組……ですか」

「ああ、正直もっといるかと思ってたんだけどね」

「そうですね……レニーさん達の噂を聞きつけて、怖気づいたんでしょうか?」

「いや、アマーリエ? そうでもないんだよ」

「と、いいますと?」

「アイナ様たちの件は、あいつらの中で結構なウワサになっててね。というのも、すでにそれなりの前金がばら撒かれてるらしいんだよ」

「なんと、そこまで太い客筋でしたか」

「なりふり構わずって感じだねぇ


 ギシっ


「おかげであたしらが相手をした、4つのチンピラ共のすべて。そいつら問答無用で斬りかかってきたからね」

「他のパーティーの方々はご無事で?」

「もちろん全員、傷ひとつないさ。あの程度のチンピラに遅れを取るようじゃ、ウチじゃやっていけないからね」

「さすがはわが支部のトップパーティですね」

「よしとくれ、アイナ様が現役に戻ってるんだ。それにアイナ様を抜きにしても、ソロのアイツがいるじゃないか?」

「まぁ、謙虚ですこと」

「そうでなきゃこの業界、長生きなんてできないんでね。というか、今は【闇ギルド】の連中の話だろう?」

「うふふ、そうでしたね」

「それにしても、レニーさん達相手に斬りかかるとは、だいぶ士気が上がっているようですね」

「ああ、失礼。チンピラに【士】も何もありませんね」

「ははっw もっともだ」


 カタっ


「とはいえ、依頼主は相当に焦れてるらしくてねぇ 闇ギルド秘蔵の【腕利き】を動かすんじゃないかって、もっぱらの噂だよ」

「まぁ」

「そいつらの前になんとか自分たちで……って、チンピラ達まで焦ってる始末さ」

「なるほど、要注意ですね」

「それで、アイナ様とクリスはどうしてるんだい? 確か今、こっちに来てるんだろう?」

「ああ、アイナ様たちなら今日は──」


 ドカンっ!


「なっ」

「ま、まさか!」

「冒険者ギルドにっ 直接襲撃を──」


『聞かせてもらおう、【聖女】はどこにいる!』

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