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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
31/92

031 とても大切な、お勉強

「──とまぁ、散々暴れまくった大イノシシ! さすがに暴れ疲れたのかそのまま広場に居座っちまった! 俺らが遠巻きに取り囲んでも、ちっとも逃げだしゃしねぇときたっ」


 なんて感じで村のお兄さんが、あの場にいなかった人たちにお話をしてる。

 それはもちろん、この前の大イノシシのこと。

 そして今日は、みんなが待ちに待った【収穫祭】の日だった。


「と、そこへやってきたのが我らがクリスだ! しかも片手に剣を持っての登場だっ」


『オイオイオイ』

『死ぬぞアイツ』

『たいしたものですね』


「なーんて村の連中は大騒ぎだ! だが、そんな連中も次第に黙っちまう。なぜかというと? そのクリスをじっと見守る、聖女様のお姿を見たからだ!」


 えへへ~

 あ、ちなみにこの時はビキニじゃありませんのだ。


「俺らはすぐに判っちまったね! 聖女様の、その不安に勝る【信頼】ってヤツが!」

「キャーっ さすが聖女さま!」

「なんでもいいけどよォ 相手はあの大イノシシだろ?」

「ああ、そのキモチは俺にもよーくわかる! なにせ相手は、その背丈だけでも俺と同じくらいあるデカブツだ! そしてクリスは、お嬢ちゃんと間違えちまうくらいに華奢でちんまい!」


 なんですと?


「ああ、こりゃあいくらなんでも! 俺もそう思ったさ! だがな? クリスは何度か剣を『ヒュン』っと振ったあと」


『こいっ!』


「っと、大イノシシを焚き付けた!」

「きゃぁ クリスくん、カッコいいっ」


 えへへ~


「とまぁ、そんなクリスにイノシシはお怒りだ!『ブギィィ!』っと声をあげて、クリスめがけて突っ込んできやがった!」

「クリスくぅん! よけてぇっ」

「ああ、俺らもそう叫びかけて……そこで驚いた! なぜかというと、クリスが背中を向けて逃げ出したからだっ」

「はぁ? なんだそりゃっ」

「おっと! ガッカリするのは気が早い! なんとクリスは、そのまま近くの家に向かって駆け出して、カベにぶつかる! 誰もがそう思ったその時!」

「ど、どうなったのぉ?」

「たんっ! と飛び上がって、そのままカベにトトーンっと、横向きに着地しちまった!」

「すげぇっ」


 そ、それほどでもぉ? えへへ♪


「そのままカベにしゃがみ込んじまったっと思ったら……そこからビョーンと! まるで弓から放たれた矢みたいに、イノシシめがけて飛び出したんだっ」

「なんじゃそりゃっ」

「マジかよっ」

「マジのマジ! 大マジよ! そしてその構えた剣が、吸い込まれるみたいにイノシシの脳天に、ズブリ!」

「きゃぁぁぁん♪」

「クリスはその勢いのまま、宙でクルリとトンボを切って、スタっ! っとイノシシの後ろに降り立った!」

「か、カッコいぃぃっ」

「クリスくんっ ステキぃぃっ」


 えへへ~


「そしたらもう、さすがの大イノシシもひとたまりもねぇ! そのまま横にズシーン!と、地響きを立ててぶっ倒れちまったんだ!」

「すげぇぇぇっっ」

「キャーっ クリスくん抱いてぇぇ」

「あぁっ シビれちゃうぅぅん」


 とまぁ、これでこのお話ももう3回め。

 話してるお兄さんもだいぶ慣れてきて、どんどん語りがなめらかになってるし。


(うぅ でも? 本人の目の前でそれをやるのは、どうかと思う~)


 おかげでぼくのまわりには、目をキラキラさせた女の人でいっぱい。

 もちろんぼくの左の席はレイナちゃんで、そこは絶対にゆずらないみたい。


「さっすがクリスくん アタシたちにできないコトを、平然とやってのける」

「そこにシビれる あこがれるぅ」

「けが人も全員、聖女様が癒やしてくれて無事だし」

「ついでにイノシシ肉が手に入ったから、ブタも買わずに済んじまったし!」

「ホント、聖女さまとクリスくん、さまさまよね~」

「いやいや! 俺もクリスはいつかやるオトコだと思ったね!」

「さすがは魔女様の息子! そして聖女様、騎士様の愛弟子!」

「い、いやぁ、えへへ」


 もう、そんなかんじでお祭りが始まってからというもの、村の人たちからホメられちゃって、えへへ~

 そ、それに?


「ね? クリスくぅん お姉さん、クリスくんのこと見直しちゃったぁ」

「えへへ、そぉですか?」

「あン! ワタシだって~ クリスくん、前からカワイイって思ってたし~」

「ちょっとぉ! あたしだって前から目、つけてたんだからね?」

「そんなの関係ありません~ ね? クリスくん アタシの方がイイわよねぇ」

「え、ええと~」


 もう、そんなかんじで、村のお姉さんたちからも、すっごくモテちゃって、

 えへへ~


「ちょっとぉ お姉さんたち! クリスは、その、わたしの家族なんだからねっ」

「あン、レイナちゃん? ちょっとだけ! ね?」

「そうそう、お祭りのあいだだけ、お姉さんに貸してぇ?」

「だ、ダメに決まってるでしょ! がるるるっ」

「れ、レイナちゃん……あはは」


 そんなこんなで、ぼくのまわりは村の人たちでいっぱい。

 そしてテーブルの上にも、すっごいごちそう。

 みんなで、食べろ食べろって持ってきてくれるんだ~


(えへへ、みんなの役に立ててよかった。それもこれも、ぼくを育ててくれたママたちのおかげ)


 そう、たくさんの人たちにホメられて、すごく嬉しかったけど、


(でも、いちばん嬉しいのは)


 ぼくのお向かいの席にすわって、誇らしげな笑顔で見つめてくれる、アイナママ。

 その笑顔がいちばんきれいで、ぼくはなによりもうれしかったんだ。


 ◇◆◆◇


 ──その晩。


「え? アイナママのお部屋に?」

「ええ、身体を拭いた後、ママのお部屋にいらっしゃい? クリスに大事なお話があるの」

「うん、わかったよ、アイナママ」


 そういってアイナママは、ぼくとレイナちゃんにお湯の入った桶をくれた。


「じゃあレイナちゃん、おやすみなさい」

「ええ……ふぁぁ、さすがに今日は食べすぎちゃって、眠いわ」

「あはは 朝も早かったからね~」

「じゃあクリスぅ おやすみ~」


 そしておたがいのお部屋にわかれて、ぼくは服を脱いだ。

 今日は夜までおでかけしてたから、汗をぬぐうととってもキモチいい。


「それにしても、アイナママが『拭いてあげる』って乱入してこないとか。なんだか珍しいけど、やっぱりお疲れなのかな~」


 今日はアイナママも、神官として働きっぱなしだもんね。


「でも、お話ってなんだろう? もしかして、アイナママが【勇者の従者】だってことかなぁ」


 ぼくはそんな事を考えながら、服を着てアイナママの部屋に向かったんだ。


 ◇◆◆◇


 ──数時間前。


「聖女様、この度は誠に有難く存じます」

「いえ村長さん、頭をお上げください」

「わたしはただ、村の神官として役目を果たしただけですので」

「もったいないお言葉、痛み入ります」

「それで、わたしに折り入ってのご相談、とは?」

「は、はい。実は──」


 村の【収穫祭】の行事もひとしきり終わり、村人たちがかがり火の【清めの火】を各家庭に持ち帰ったその頃。

 わたしの所に、村長さんがやってきました。


「クリス君に関わることでして」

「クリスの?」

「村では、その……収穫祭を控えた狩りの成果によって、年少組の若者たちを【一人前として認める】という習わしがございます」

「それは、承知しています。それで?」

「はい。そして認められたその若者たちは、祭りの晩……つまり今夜。村の女衆たちから【手ほどき】を受けることになっておりまして」

「………………」


 そもそもこの世界の神々は、わたし達【人族】に対し、【産めよ増やせよ】を是としています。

 ひいてはそれが魔族に打ち勝つ、有効な手段であることも間違いありません。

 故に、一人前と認められた若者たちが、そうした教育を受けることは、


(まさしく【正当】なことなのだと言えるでしょう)


 そして、処女童貞で夫婦になった場合、初夜を失敗する事も多く……それが原因で夫婦不和になる場合もある、と聞き及んでいます。


(──という、一人前になった【お祝い】を兼ねた、子作りの重要性を鑑みた【性教育】、なのでしょうね)


 そもそも、そういった風習があることは、わたしも知っていました。

 一人前になった童貞の男子が、経験豊富な女性に手ほどきを受けることを。

 貴族なら、同じ貴族身分の未亡人などが、金銭のやり取りを経て行われ……

 街の庶民の場合、父親などが娼館に連れて行くことが多いと聞きます。


(そして、花嫁を含む女性達もそれを承知していて、【そういうものだ】と割り切っている場合がほとんどだ、とも)


「クリス君の先日の活躍で、村人は一人前だと誰もが認めております」

「それは、ありがたく思います」

「おかげで村の女衆も、かなり乗り気になっておりまして、『ぜひ自分が』という者が続出してございます」

「………………」

「その、こういった話は本来、男親に相談すべき事なのですが……ご無礼を承知で申し上げます」

「……はい」

「よろしければその中でも若く見目の良い者に、その役目をさせる事も出来ますが、如何でございましょうか」

「………………」


 もちろん、村長さんも善意で言ってくれているのでしょう。

 そしてこれは、それだけクリスが村の人達から認められたという証拠。

 親としては嬉しくないはずがありません。


(ですが)


 クリスが、教育の為とはいえ、村の女性に【手ほどき】を受ける?

 そう考えただけで、わたしの心が乱れるのを感じます。

 そして、いくばくかの逡巡の末……わたしはこう、口にしていました。


「わかりました……ですが、その手ほどきを行う者に関しては、わたしに思い当たる【あて】があります」

「はい」

「故に、わたしが直に采配いたしますので、この件はどうぞおまかせください」

「仰せのままに」


 そう言うと、村長さんは深く頭を下げて辞去してゆきました。

 そしてまた、わたしも──とある決心を、固めたのでした。


 ◇◆◆◇


 ──現在。


「アイナママぁ お話ってなあに?」

「ええ、クリス? まずはおめでとう」

「え? おめでとうって、なにが?」

「今回の大イノシシ討伐をもって、村の人たち全員が、あなたを認めたのです」

「みとめた?」

「ええ、クリス、あなたがほんとうに【一人前】であるということを」

「あ、そっか、えへへ。 なんだか恥ずかしいけど、うれしいや」

「ええ、そしてクリス? 村ではその一人前になった若者に、お祝いを兼ねた【勉強会】をするんです」

「勉強会? そんなのあるんだ」

「ええ、一人前の男の子──いえ男性として、とても大事な勉強です」

「そうなの? じゃあ、それっていつするの?」

「今からですよ? クリス」

「今から? こ、こんなおそい時間に?」

「ええ、そうです」

「ええと、じゃあその勉強会って、どこで──」

「場所は、この部屋です。そしてその教師は、わたしが務めます」

「アイナママが? って、ちょっ」


 そういうと、アイナママは立ち上がり、着ている神官服を脱ぎ捨てた。

 そしてその身体に残っているのは、肌もあらわなビキニだけ。


「あ、アイナママ?」

「これからするのは、とても大切なお勉強です」

「お、お勉強?」

「ええ。あなたがいつか、そのお嫁さんとする【赤ちゃんの作り方】です」

「えっ? えっ!」

「クリス、これはこの村の【習わし】なんですよ?」

「な、ならわし?」

「ええ、前途ある一人前の若者を、経験豊かな未亡人が【手ほどき】するんです」

「てほどきっ ででっ でもぼくっ」

「クリス? あなた……」

「え?」

「ママと一緒にお勉強するのが、そんなにイヤなの?(うるっ)」

「そんなわけありませんっ」

「うふふっ では、そういうことで」

「ないてないしっ」

「うふふ クリスはちょろいですね」


 ちょっ、チョロくないもんっ ぼく!


「じゃあ、クリス? いらっしゃい」

「はっ はひっ」


 そしてぼくは、そんなアイナママに抱きついた。

 その身体は、やっぱり少し震えていて、


(あぁ、アイナママのにおい)


 前世の恋人であり、最愛のママであるアイナママとの初体験は……

 まるで夢のように、すばらしかったんだ。

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[一言] アレ?初体験描写は?(書けん!!)
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