028 やっぱりアイナママはスゴかった
「──では、あの光は単なる発動試験であった、と?」
「は、はいぃ」
アイナママと、初めて山に行ったその日の晩。
レニーさんたちのパーティーが、慌ててぼくたちのおうちにやってきた。
その理由は、まぁ?
(やっぱりきょうの【最上級防壁魔法】、だよねぇ? あの光、すごく高いところまでとどいてたし?)
そんな大規模魔法が発動しちゃったものだから、それが見えたケストレルの街でも大さわぎになっちゃって~
冒険者ギルドが、あわててレニーさんたちのパーティーを向かわせたみたい。
「その、お騒がせしてしまい、申し訳ありません」
「いえ、そういう事でしたら」
お話してるのはレニーさんひとりで、他のひとたちはお外で待機してるみたい。
やっぱりレニーさんが、アイナママと親しいからかも。
でも、さすがのアイナママも今日はちょっとしょんぼりぎみ?
「その、わたしも久しぶりの現役復帰でして」
「はい、それは聞き及んでおります。ご子息のギルドでの活動を、補佐監督されるとか。たいへんご立派な行いかと」
「いえ、その、恐縮ですぅ」
「それで、あの魔法ですが、ギルドへの報告義務がございますので、差し支えなければ」
「あれはアスガルドです」
「あ、アスガルド?」
「はい、わたしの扱える最上級の魔法ですので、念の為にと」
アイナママ? あれ、タヌキさん相手に使ったよね?
ぜんぜんテストとかじゃなかったよね?
「も、もしやそのアスガルドを、お一人で?」
「ええ、そうですけど?」
「あ、あれは何人もの高位神官が、同時詠唱するものでは──」
「ちょっとしたコツがあるんですよ? 確かに複雑で、面倒ではあるのですけれど」
「は、はぁ」
う~ん、自分も高位神官なレニーさんが、どん引きしてる。
やっぱりアイナママの神聖魔法って、すごいんだなぁ
(そうだ!)
「ねぇ? レニーさんはアスガルド、使えるんですか?」
「ん? あたしかい? 一応ね」
「すごい!」
「とはいえ、あたしの時は5人での同時詠唱だけどね。しかもその1回で魔力はすっからかん。枯渇酔いで、次の日は寝込むハメになったけどねぇ」
「そ、そうなんだ、あ、それってビキニを装備して、ですか?」
「そうさ、やっぱりビキニがあるとなしじゃ、大違いだからね」
「やっぱり! ビキニって魔法を使うのに、ホントに効果あるんですね~」
「ああ、あたしも思うところあってしばらく装備しなかったけど、使ってみればやっぱり全然違ってねぇ 今思えば、パーティーの連中にも迷惑をかけちまったね」
「そんなすごいんだ?」
「そうさ。魔法を使う女が冒険者をやるなら、もはや避けて通れないだろうね」
「へ~」(ちらっ)
「………………(ふんふん?)」
ふとアイナママを見てみれば、興味しんしんで聞いてるみたい。
アイナママ、ビキニには自信ないみたいだし?
ここはレニーさんにもっとおはなし、聞いちゃおう。
「それにレニーさん、街で女の人たちにビキニ、ほめられてましたもんね~ すごくかっこいいって」
「く、クリス、アイナ様の前で──」
「あら、いいんですよ? うふふ」
「ぼくなんか、女のコとまちがえられて『いまどきビキニじゃないんだ~』なんていわれちゃたしー」
「今じゃ冒険者じゃなくても、ビキニは多いからねぇ、と、そういえば。聞いたよ、装備を整えたんだってね?」
「えへへ~ よくしってましたね?」
「アマーリエに聞かされてね、さんざん自慢されたからね(ぼそ)」
「おぅふ」
「ま、それはともかく、やっぱり装備は大切だよ。命がかかってるからね」
「ですよねー(ちらっ)」
「………………(フンス!)」
そんなレニーさんのお話を聞いて、アイナママも決心がついたみたい?
でもその日はとってもごきげんで、レニーさんたちとぼくたちに、すっごいごちそうが出たのでした。
◇◆◆◇
「【ライトヒール】!」
パァァァッ
アイナママの杖から温かい光がぼくにふりそそぎ、ぼくがした腕のケガが、まるで最初からなかったみたいに消えてゆく。
「ありがとう、アイナママ」
「もうっ 油断をしてはダメでしょう? クリス」
「はぁい、ごめんなさい」
アイナママのいうとおり、ちょっと油断して、ケガしちゃった。
ホントはたいしたケガじゃなかったけど?
アイナママはぼくに駆けよって、すぐに治してくれたんだ~
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【ライトヒール】
種別:神聖魔法
状況:常時
対象:術者、対象者
効果:神々の神聖なる慈悲の力で、対象者の減少したHPを回復させる魔法。
その効果は弱いものの【初級回復薬】よりは若干高い効果がある。
また死霊やアンデッドに対しては、ダメージを与えることが可能。
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「はい、これでいいでしょう」
「クリス? くれぐれも気をつけてね? でないと」
「でないと?」
「クリスにも、ビキニを装備させちゃいますからね?」
「それはイヤぁ!」
「うふふ。 じゃあ気をつけましょうね?」
「はぁい」
なんて感じで、今日もアイナママと一緒に魔物討伐です。
そしてぼくたちの前には、何匹ものオオカミが倒れていた。
(ごめんね? オオカミさんたち。でもこの山には、村の人たちも入るから)
お昼ごはんを食べていたぼくたちを、おそってきたオオカミさんたち。
悪いけど、ぜんぶ返りうちにさせてもらいました。
それこそ、アイナママがまたアスガルドを発動させるかと思ったけど、
『だいじょうぶ!』
そういうぼくをママは信じてくれて、防壁を張らずに見守ってくれたんだ。
(ここでケガしなければ、かんぺきだったのになぁ でもアイナママに怒られるのは、やっぱりうれしいや)
ぼくが小さな頃からずっとそう。
ぜったいにアイナママは、意味なく怒ったりしない。
アイナママが怒るのは、ぼくを心配してくれるときだけだから。
「でも、アイナママのビキニはとってもおにあいだし、ステキだよ~」
「もう、クリスったら」
「ホントだもーん」
そしてアイナママは、だいぶビキに慣れてきた。
さすがにレイナちゃんにはまだ、見せたくないみたいだけど?
村の人たち──とくに山に入る人たちには、もうビキニを見せてる。
(もっとも? この村の人たちは、アイナママをすっごくそんけいしてるから、ぜったいにヘンな目で見たりしないけどね~)
そしてぼくも【筋力】や【攻撃力】の低さをなんとかできそうだった。
(あとは、もっと大きい魔物でためさなきゃだけど? さすがにそんなところには、アイナママが連れていってくれないだろうし?)
こんどの魔物討伐は、ギルドの依頼を受けるつもりなんだ。
だからアイナママも、初めてビキニで街に行くんだけど、
(アイナママ、だいじょうぶかなぁ?)
◇◆◆◇
「ね、ねぇ あれアイナ様じゃない?」
「え? ホントだ! しかもあれ、ビキニ!」
「うわぁ」
街にやってきぼくとアイナママは、やっぱりすごく目立ってました。
それはもう、アマーリエさんたちギルドの受付嬢が、そろって街を歩いたときみたいに。
街の人たちがさぁっと割れて、いっぱい見られてる。
けど──
「ステキ! まるで女神様が降臨されたかのよう」
「ホントっ 憧れちゃう~」
「そういえば、この前のあの【光の柱】って──」
「ああ、聖女様が放った魔法ってハナシだろ? なんでも神殿の最高位魔法で、ホントは何人もの神官で唱えるヤツらしい」
「それをお一人で? ビキニの加護があるとはいえ、さすが聖女様!」
「あっ 隣にいるコ、アイナ様のお子さんよね?」
「そうそう! あのコが冒険者デビューしたんで、アイナさまが現役に戻って『何があっても守ります』って」
「それで強さをお求めに……さすがです、聖女アイナ様!」
(おぉう)
とまぁ、おおむね好意的?
とくに若い女の人にはモテモテみたい。
もちろん男の人たちも、でれっとしたお顔でアイナママをみてるけど~
(でも、それもしかたない?)
アイナママはただでさえ神殿最高位の女性神官【聖女】で、かつての勇者の従者にして【救国の英雄】。
なのにとってもきれいで、おっぱいがおおきい。
というか、ぼくはアイナママよりおっぱいがおおきい人を知らない。
(※某露出女神さまは、人族じゃないので除外)
(なのに、そのアイナママが!)
そのおっぱいに装備してるのは、レベル50台【英雄級】用のビキニ。
レニーさんのレベル30台、【上級者】用のビキニも小さく見えたけど?
アイナママのは、さらにちっちゃいんだ!
(ビキニアーマーはレベルが上がるにつれて、面積を小さくしていかないと、加護がおりないって聞いたけど……ん?)
考えてみれば、アイナママはこの大陸に2人しかいない【英雄級】冒険者。
と、いうことは、
(アイナママのビキニって、今まで誰も装備したことのない【前人未踏のちっちゃいビキニ】ってこと?)
おかげでアイナママが、そのヒールの靴でコツコツと歩くたびに、
【ぶるんっ ぶるんっ】って、おっぱいがあばれてるぅぅ!
「す、すっご! アイナ様すっご!」
「ただでさえ聖女様なのにっ あの美貌でナイスバディとか!」
「うぅぅ 天はなぜ、こうも不公平なのぉぉっ!」
「しかも見てよ! あのお肌の真っ白なこと」
「はふぅ ホント憧れちゃうわよねぇ あふん」
「あっ あたしもアイナさまと同じビキニ買う!」
「あんたレベル16でしょ?」
「しかもおっぱいは【初心者】級じゃん。アンタじゃあの着こなしはムリだって~」
「そーそー、その差を実感するだけよぉ?」
「ちくしょ~~~っ!」
(おぅふ)
お、女の人たちにも、アイナママのおっぱいはスゴいんだ?
なにはともあれ、アイナママをうっとりとして見てる人ばかりで、イヤな感じで見てる人は、ほとんどいないみたい。
(ホントこの十年で、ビキニアーマーってあたりまえになっちゃったんだなぁ)
けれど、そんなアイナママはというと、
「………………(プルプルっ プルっ)」
(お顔をまっかにして、プルプルふるえてる!)
そんなアイナママの手を、ぼくはそっとつなぐ。
アイナママが、少しでも安心してくれるように。
「く、クリスぅ」
「アイナママ──」
「きゃぁんっ アイナ様のお嬢様っ カワユイ~」
「ホントぉ でも? ビキニじゃないのがまた、初々しくてイイわよねぇ」
「きっとおっぱいが小さいの、気にしてるのよ」
「あー、アレくらいの年齢だと、とくに気にしちゃうわよねぇ」
「でもアイナ様とおそろいのビキニ、着せてみた~い」
「ハァハァ は、激しく同意よ!」
「なにそれすっごくはかどる!」
なんて声が聞こえてきて、
(ぼくは女のコじゃありませんのだ! というか、なにがはかどるの!?)
◇◆◆◇
そして冒険者ギルドでも、
「………………」
「あ、あのぅ? アマーリエさん?」
壁に張り紙をしてたアマーリエさんに、声をかけてるのに?
アマーリエさんは、アイナママを見るなり固まっちゃって。
「ま、まま」
「ママ?」
「負けましたっ アイナ様には完っ璧に負けましたぁぁぁっ」
「ちょっ アマーリエさんっ 床に土下座とかヤメてよぉ!」




