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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
27/92

027 アイナママの、とってもステキなビキニ

「ふ、ふふっ」

「ふふ?」

「ふしだらなママと笑いなさいっ」

「思ってないよぉっ そんなこと!」


 アイナママはよっぽど恥ずかしいみたいで? 泣きそうなお顔でそういったんだ。

 というか、なんでビキニ?

 それにここ、初心者冒険者でもなんとかなる魔物しか出ないよ?


(はっ? ここは──)


 そう、ぼくは思い出したんだ。

 街ではみんなビキニが普通、あたりまえだった。

 だから、誰もわざわざ指摘なんかしないんだ。


(でも、やらしい目で見てるおじさんとかはいたけど?)


 だからっ きっと今回は、これが正解!


「アイナママぁ そのビキニ、とってもにあうね♪」

「く、クリスぅ」

「えへへ、アイナママがいつもきれいで、ぼくうれしいなぁ」


 とにかくほめる!

 さりげなく、着ててあたりまえっぽく!

 って、これでどう?


「クリス、ママはね?」

「うんうんっ」

「ま、ママみたいな年増は、こんなビキニなんて着ちゃいけないんですぅぅっ」

(だ、ダメだったぁ!)


 アイナママはその場でしゃがみこんじゃって、しくしくと泣きはじめた。


「アイナママは、まだぜんぜんわかいよっ? それにそのっ レニーさんと、たいしてちがわないし?」

「ぐすっ レニーさんは」

「うんうんっ」

「あの人は細いから、まだいいいんですぅぅ わたしみたいなぽっちゃりさんは、ダメなのよぉっ」

「そんなことないよぉ?」


 そりゃあ確かに?

 ぼくが勇者だった、アイナママがハイティーンのときに比べれば?

 ちょっと、【ぽちゃ】っとしてるけど?


(アイナママは、おっぱいがおおきい! それはもう【ぽちゃ】 とか気にならないくらい! だからそのおっぱいは大正義なんだよ!)


 だけど、それをいってもどうにもならないのは、ぼくにもわかる。

 アイナママはふだんから、そのおっぱいの大きさで、肩こりに悩まされてる。

 だからいつも、ぼくが肩たたきしてあげるんだけど?

 なのでそのおっきいおっぱいの、真なる価値に気づいていないんだ!


「うぅ 年増でごめんなさい、ぽちゃでごめんなさいぃ」

「ちょ、アイナママっ?」

「うぅ クリス、ママはもうダメです。ママを置いて、あなたは先に──」

「ってここ、ぼくたちのおうちの前なんですけどっ?」


 ダメだ、アイナママのダメージが深すぎる。

 というか、


「ね、アイナママ? じゃあなんで、ビキニを装備してきたの?」

「そ、それは」

「というかここは、たいした魔物もでないよ? それにアイナママは、レベル56の【英雄級】冒険者でしょう? だったらビキニなんてなくても、じゅうぶん強いんじゃ──」

「クリス」


 そんなぼくの言葉を、アイナママはさえぎった。

 そして、


「ママはね、かつて魔族との戦いのなかで、とても大切な人を失ったんです」

「あっ」


 それは、きっと勇者のこと。

 前世のぼくの、恋人だったアイナママの──


「10年以上たった今でも、その時のことを夢に見ます。そして、そのたびに思うんです。あの時に、ビキニアーマーがあったなら、と。もしかしたら、あの人を失わずに済んだのかもしれないと」

「………………」


 ぼくも、アイナママたちを強制転移させたときのそのお顔を、いまでもはっきりと思いだすことができる。

 そしてもう、あんなアイナママの顔は見たくない。


「そしてママは……クリス、あなたを失うのがなによりも怖いんです。ですから、ママのできうる最善の装備で望みたいんです」

「アイナママぁ」


 そしてそんな決意に満ちた、アイナママのお顔を見ているうちに……ぼくはふと思い出す。

 あのぼくが熱を出して寝込んだ夜も、こうしてビキニを装備して、回復魔法をかけ続けてくれれたことを。


「うん、そうだよね。ありがとう、アイナママ。ぼくを守ってくれて」

「え?」

「それで、もういちどいわせて? アイナママのビキニ、とってもステキだよ」

「クリス」

「それにビキニのおかげで、女性冒険者はとっても強くなったんでしょう?」

「え、ええ」

「だったらぼくも、アイナママがビキニを装備してくれて、うれしい。ぼくだって、アイナママがケガしたり死んじゃったりするの、イヤだもん」

「そう、ですね」


 そんなアイナママに、ぼくは手をさしだした。

 そしてその手をとって、立ちあがるのをおてつだいする。


「ありがとう、クリス。ふふ、あなたはほんとうに優しい子ですね」

「えへへ、アイナママがそう教えてくれたから」

「まぁ、うふふ」


 そんなぼくたちは、その手をつないだまま。

 なかよく裏山に向かって、歩きだしたのでした。


 ◇◆◆◇


「たぁっ!」

「ピギ──っ」


 あれから、小一時間ほど歩いた山の中、

 ぼくはアイナママに見守られて、ジャッカローブの討伐中です。


「ふうっ あっ【薬草】のドロップアイテムが出たぁ♪」

(えへへ、とってもいいかんじ~)


 ジャッカロープは角が生えたうさぎさん──みたいな魔物なんだ。

 見た目はとってもかわいいのに? じつはけっこう凶暴。

 油断してると、そのするどい角に突きさされちゃう。

 今回はアイナママが見てるから、最初から【気配遮断】のスキルを使ってる。

 それで魔物にそっと近づいて、一気にその首すじに、剣を突きこんだんだ。


 ぱぁぁ


 魔物はそれで息絶えたみたいで、

 ぱぁっと光って、ポトリと魔石を落とした。


「よし、これで3つめ」

(んふふっ アイナママも、これなら安心してくれるでしょ~)


 ちなみに、ぼくらの世界の剣は、それほど切れ味がよくない。

 だから日本刀みたいにスパっと切るんじゃなくて、チカラでムリヤリ断ち切るイメージ?


(どっちにせよ? レベル1相当のステータスのぼくじゃ、それもムリだけどね~)


 だからぼくみたいなチカラのない剣士は、【突き】が基本なんだ。

 もちろん【斬る】という【線】の状態から、【突く】という【点】になるわけだから、難易度がぐんと上がるんだけど?

 そこは剣術レベル87のスキル。それはもう正確に、まっすぐに突いてくれるんだ~


「えへへ、アイナママぁ いまのどうだった?」

「そうですね、剣は素人で、正直よくわかりませんが……とても綺麗な剣に見えましたよ」

「そぉ? えへへ」

「剣の練習、だいぶ頑張っていたようですね? こうしてその成果が出て、ママも嬉しいわ。ちゅっ」

「やぁん♪」


 そういって、ほっぺにちゅっ てしてくれるアイナママ。

 こんなご褒美があるならぼく、いくらでもがんばれちゃう~


(それにしても?)


 アイナママの装備は、かつての勇者の従者だったときと同じで、けっこうゴツい金属製のガントレットに同じ素材のすね当て。

 背丈ほどある長い杖は、神殿のシンボルマークを模したハンマーになってる。

 実はけっこう重くて、それで叩かれた魔物はひとたまりもありません。

 そしていつもと同じ長いベールと神官服、だけど、


(やっぱりおっぱいの上のところで、バッサリなくなってるし!)


挿絵(By みてみん)


 アマーリエさんみたいに、長くつ下をガーターベルトで吊ってて、足元はやっぱり黒いハイヒール。

 そしてビキニは黒一色に、白いレースのラインがおしゃれ。

 だけど、レニーさんよりもサイズが小さい!


(お、おっぱいはおおきいのにっ!)


 ブラもそうだけど、とくにショーツのほうが!

 そしてお尻のところなんかは、もう覆ってない!


(こ、これは【Tバック】というヤツなのでは? どきどき!)


 しかもアイナママのおしりは、ちょっと大きめ?

 だから歩くたびにどんどんお尻にくいこんじゃって、あぁっ


(これは、アマーリエさんの【OL風ビキニ】より【フェチコスプレ度】が高いのでは? どきどき!)


 と、とはいえぼくが、ヘンな目で見たりしたら、アイナママがまた恥ずかしがっちゃう。

 だからぼくはなるべく意識しないように──


「クリスっ 危ない!」

「え?」


 ママはぼくを後ろにかばうと、その杖を両手で高くかかげた。

 そしてアイナママの身体から、膨大な魔力が溢れだして──


「来たれっ 神々の塞壁!【アスガルド】!」

「えっ えっ」


 アイナママの掲げた杖から、神聖魔法が放たれる。

 そしてその光の奔流は、きれいな幾何学模様を描きながら──ぼくたちの周囲をとり囲んだ。


-------------------------------------

【アスガルド】

 種別:神聖魔法

 状況:常時

 対象:術者、対象者

 効果:神聖魔法の最上級防壁魔法。

    その光輝く防壁は、あらゆる物理攻撃はもちろん、

    炎熱や電撃、果ては光や空気まで遮断してしまう究極の防壁。

    魔力消費が膨大、かつ制御がかなり困難なため、

    複数の術者(3~5人)での同時詠唱が望ましい。


-------------------------------------


「あ、アイナママ」

「ふう、危ないところでした」

「え?」


 そんな厳しいアイナママの視線をたどると、


「あれ?」


 そこには、目の周りが黒くて、しっぽが太い動物──タヌキさんがいた。

 しかも15メートルくらいむこうに。


「ええと、アレのこと?」

「クリスっ 油断は禁物です! さぁっ 今のうちに体勢を立て直してっ」

「ええと、あっ」


 今のアイナママのその声で、タヌキさんはおどろいて、そのまま茂みのむこうにいなくなっちゃって……


「アイナママ? あれ魔物じゃなくて、動物──」

「獣だって危ないじゃないですか! くくっ クリスがもし噛まれたりしたらっ」

「えー」

「あぁっ このままじゃ、クリスが死んじゃう~っ!」


 ちなみに、

 【アスガルド】はアイナママの神聖魔法の中では最強の防壁魔法。

 それはつまり、対魔王戦とかで使うべき魔法であって──


(あ、アイナママ……最善の装備でっていってたけど? やっぱり過保護なだけ、なんじゃぁ?)


 そしてその【アスガルド】の天高く立ちのぼる聖なる輝きは──

 遠く離れたケストレルの街からも、はっきりと見えたそうです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ガーターベルトの上からショーツつけるあたりきちんとした信念を感じる。 あとそれでポチャとか殺されっぞという。くびれあってどこがぽちゃやねんと。 ショーツの影が陰の毛にも見える上手い具合…
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