026 なんてフェチまるだしなんだ!?
「むぅ」
けっきょく?
ぼくはアルタムさんのお店で、あの防具一式を買っちゃいました。
というか、いまも装備したまま街を歩いているけどね~
「もうっ ぼく男のコなのにぃ」
ちなみにお値段は、ずいぶんおまけしてもらっちゃいました。
もう前金をもらってるからとか、例の【いわく】つきだから、みたいなのもあるけど?
『この先、クリスくんよりも似合いそうな人、想像できないんですよね』
っていうのが、いちばんの理由だそうです。
(うぅ にあうってホメてくれるのはうれしいけどっ ぼく男のコなのに~っ)
それでも? やっぱりこの防具にかけられた【瞬発力】アップの魔法はすごくて。
勇者スキルはともかく? ステータスが低いぼくには、とっても効果があったんだ。
「うふふ、クリス? 大丈夫ですよ」
「アイナママぁ でもぉ」
「ええ、心配はいらないわ」
「そ、そうかなぁ」
「だって、あのアルタムさん」
「え? アルタムさん?」
「あの人、たぶん付け髭みたいだから」
「そっちっ? って、それもぼくにはビックリなんですけど!」
もしかしてアイナママ、ぼくがアルタムさんのおヒゲにショックを受けてたの思ってたの?
や、付けヒゲだとしても? ぼくにはそのセンス、理解できないけど。
「あのね、クリス?」
「なあに? アイナママ」
「女の人でもお歳を取ると、その……【おばさん】なのに【おじさん】みたいに見える人がいるでしょう?」
「あー」
「ドワーフもね? そういう女性が多いのよ。その場合は、お髭も生える場合が多いの」
「そうなのっ?」
「しかもドワーフは威厳──堂々としてることが【偉い】とされる種族だから、お髭が生えていないとね? そう見えないみたいなの」
「おぉう」
「他のドワーフの方たちに、侮られてしまうのかもしれないわね」
「なるほどぉ」
やっぱりドワーフでも、女の人がお店をやるのはたいへんなのかも。
そう考えると、あのおヒゲにも納得?
「でもママも、あんなに可愛いドワーフの女性は初めてですけどね」
「やっぱりそうなんだ?」
というかアルタムさんって、お歳はいくつなんだろ?
日本の高校の制服でも、着こなせちゃうそうなほど可愛いけど。
なのにおっぱいはとってもおおきいしー
(こんどあったら【万物真理】で──ってダメダメ! そんなの失礼だよねぇ)
いやでも、きっとぼくの【万物真理】さんは有能だから?
ヘタにお願いしちゃうと、スリーサイズとか体重とかまでわかっちゃいそう。
(って、お願いしないけどね!)
◇◆◆◇
(やっぱりおっぱいのサイズだけでも、うーん)
そんなふうにぼくが悩んでいると~
「ねぇっ ちょっと見てよ、あのコ」
「あれ? ビキニじゃないんだ。イマドキ~」
「ちょっとぉ! ダメだよっ そんなコト言ったら」
「えー、でもぉ」
「まだ冒険者デビューしたばっかなんでしょ? なんか初々しいわぁ」
「あー、ウチも初ビキニの時、お父さんがうるさかったな~ はしたない!とか」
「あるあるw よその女のビキニとかは、デレっと見てるくせにね~」
「こないだウチで、ママがビキニ装備してさ……しかもソレ、あたしが予定より早く帰った日で──」
「ちょっ そういうナマナマしいのはやめてぇっ?」
………………
なんだかここでもボク、女のコだと思われてるっぽい。
というかやっぱりビキニって、若い女の人には常識なんだ?
「ちょ、見てよっ あれ!」
「あっ ギルドの!」
「うわぁっ かっこよ♪」
(ん?)
そんなお姉さんたちの声に、視線をたどってみると。
そこには、おそろいのビキニ姿の美人さんたちが、連れだって歩いてた。
それは、ギルドの受付のお姉さんたちだったんだ。
「うわ~、ステキぃ」
「ホントぉ しかもみんな美人でスタイルいいっ」
「うらやま! あたしもあんなモテボディがほしいぃぃっ」
「あ、あたしはおっぱいがもうすこし~」
あー、そろそろお昼だし?
きっとみんなでごはんを食べに行くのかも。
そうやって受付嬢のお姉さんたちが歩くと、人だかりがさぁっと開くんだ。
そしてみんなウットリした目で、お姉さんたちを見てる。
(なんだか空港でキャリーを引いてあるく、キャビンアテンダントさんみたいだよねぇ)
ギルドの受付嬢のお姉さんは、やっぱり【見ため】が重視されるっていうし?
しかもおそろいの制服ビキニ姿なのは【かっこいい】のかなぁ
(でも、なぁ)
その制服を、こうしてよくよく見てみると、
胸にリボンがついた白いブラウスは、肩甲骨のあたりでバッサリカットされてて、おっぱいがぜんぶ出ちゃってる。
それを三角ビキニで覆ってるけど? むしろ強調されてエッチなかんじ。
あと足は、太ももまでの長くつ下を、ガーターベルトで吊ってるっぽい。
(うん、どうみてもフェチ系コスプレイヤーです。ほんとうにありがとうございました)
そして靴は高めのハイヒールで、コツコツと足音が──
(って、ハイヒール? なんでこの世界にっ?)
って、考えるまでもないよね。
きっとあの女神さまのせいだ!
(あの露出女神さまっ なんてフェチまるだしなんだぁぁっ)
そしてその先頭を歩くのは、やっぱりアマーリエさん。
ヒールのかかとをコツコツさせるたびに、そのおおきなおっぱいが【ゆさっ ゆさっ】って感じで揺れてる。
「あら、クリスくん? アイナさんは一緒じゃあ── って、その装備はっ?」
「アマーリエさん、こんにちわー えへへ、さっき紹介してもらったお店で買っちゃいました。どうですか?」
「………………(ごくりっ)」(ズキュンっ)
なにかいま、スゴい音がしたような?
「あ、ちょっとみんな? わたしは彼に急用ができましたから。わたしに構わず、お昼に行って頂戴?」
「えーっ チーフずるいっ」
「私もそんな可愛いコと、急用した~いっ」
「ぐぬぬ、この子たちったら。いいわ、今日のランチはわたしのオゴリです」
「きゃぁん、ごちそうさまでーす」
「急用ですもの、仕方ないわよね~」
「はいはい、とりあえずひとり大銅貨1枚までよ?」
「はぁい、いこいこっ」
「じゃあクリスくん、まったね~」
「あ、あはは~」
「こほん、それでクリスくん、アイナさんは?」
「あ、アイナママはいま神殿の人とお話してて~ ほら、あそこです」
「あら、ほんとう──はっ これはまたとないチャンスっ」
「はい?」
「じゃあクリスくん? お待ちしてるあいだ、わたしがお相手しますね」
「えっ いいんですか?」
「ええ、もちろんです」
そういうとアマーリエさんは、アイナママのところへ走っていったんだ。
ハイヒールなのにメッチャ速く。
◇◆◆◇
ぼくはアマーリエさんに連れられて、カフェっぽいお店にきています。
そこで焼きたての白パンと、スープをごちそうになったんだ~
「さ、クリスくん? 遠慮なく食べてください」
「わぁい。 いただきますっ はむっ」
「あぁ、ちいさなおクチで頬張るクリスくんも、かわいい」(きゅぅぅうん)
「ふぇ?」
アマーリエさんおすすめだけあって、美味しいパンだけど?
これに負けないくらい、アイナママのパンはやっぱりおいしい。
「それにしてもその装備、とてもステキですっ クリスくん」
「えへへ、そうですか? ありがとうございますぅ」
「とくに! そのむき出しの白くてなめらかなお腹っ そして丸出しの美味しそうな太ももっ 極めつけはそのマントからちょっとだけ覗く白い肩! あぁっ 尊いぃぃっ」
「え、ええと?」
それ、防具のことじゃないですよね?
というか、なんだかおへそのあたりに、すっごく視線を感じるんですけど?
「それにっ 今後もクリスくんと何度もっ お逢いできるだなんて!」
「ええと、ギルドで、ですよね?」
「あら? ギルドでしか、逢ってくれないんですか?」
「そういうわけじゃ、ないです?」
「うふふっ それに先日お話したとおり? もし街に泊まるような事になった場合は、ぜひわたしの部屋にお泊まりくださいな♪」
「でも、ほんとうにいいんですか?」
「ええ、もちろん」
「それは、ぼくとしてもうれしいんですけど」
「うれしいっ? クリスくんが、嬉しいって!」
「でも、やっぱり悪いですよぉ」
「あぁんっ そんな遠慮なさらなくてもっ」
「だって、アイナママとふたりぶんでしょう? お部屋、せまくなっちゃいますよぉ」
「はっ? そうでした! アイナさんがぁぁっ」
「え? だってこれからは、ずっと一緒ですけど?」
「な、なんてこと、がくりっ」
「ええと、アマーリエさん?」
そしてアマーリエさんは、なぜかおちこんじゃって。
う~ん、解せぬ?
(あ、こんどアイナママのパンを、お返しにさしいれしてあげようかなぁ)
そう思いながら、アマーリエさんのあたまをなでなでしてあげたら?
なぜだかとっても元気になって、『もっと』って。
だからいっぱいなでなでしてあげました。
(中間管理職だもん、おしごとつらいよね? がんばって、アマーリエさん)
◇◆◆◇
数日後──
ぼくとアイナママは、ふたりで村の裏山へ行くことになったんだ。
目的は、ぼくの腕だめし。
ぼくが毎日剣の練習をしてて、【剣術:LV06】のスキルがあることは、アイナママも知ってるけど。
じっさいに魔物を討伐したわけじゃないし?
(ホントは前に山の魔物を、ねこそぎ討伐しちゃったけどね~)
だから今日は、アイナママに心配かけないくらいには立派に!
でも強すぎて不自然に見えないくらいには、ヘタにしなきゃいけない。
(なんだかむずかしいけど~ なんとかなる、かなぁ?)
とにかくここで安心させてあげないと、いつまでも依頼は受けられそうにないし?
「よしっ がんばろ! って、アイナママおそいなぁ? したく、まだかかるのかな?」
すると、おうちのドアが開く音がして、アイナママがやってきた。
「あ、じゅんびできた? じゃあいこう──よ?」
「え、ええ。行きましょうか? クリしゅ」
お顔を真っ赤にして、ぷるぷる震えながら。
(アイナママまでビキニアーマー、装備してきちゃった!)




