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ママとビキニと、かわいい英雄  作者: 身から出た鯖
第1章 アイナママは、もと【聖女】
23/92

023 アイナママの手料理♪

「ではクリスくん、こちらが今回の依頼の報酬になります」

「ありがとうございますぅ」


 ぼくはアマーリエさんから報酬を受け取って、背負いぶくろに大事にしまった。

 ぼくが初めて、外ではたらいたおちんぎん。

 とってもうれしい。


(前世でもぼく、アルバイトしたことなかったんだよね~)


 勇者をやる直前のぼくは高校生だったんだけど、ホントはコンビニでアルバイトをするつもりだったんだ。

 でも、その勤務初日に──


(勇者召喚、されちゃったんだよねぇ)


 そして勇者のお仕事も、おちんぎんをもらう前に死んじゃったし?

 だからこのお金はほんとうに初めての、おちんぎんだったりするんだ~


「なにはともあれ、クリスくんもレニーさん姉弟も、無事で何よりでした」

「えへへ、ありがとうごさいます。なんというか~ ホントにレニーさんたちにお世話になりっぱなしで」

「そういえば、昨夜はレニーさんたちの定宿に、お泊まりになったんですよね?」

「あっ はい。ぼく、じつはお泊まりもはじめてだったから、すごくはしゃいじゃって~」

「まぁ、うふふ」

「それでレニーさん、あんまり寝られなかったみたいで。まためいわくかけちゃいました~」

「レニーさんが、寝られなかったんですか?」

「はい? そうですけど」

「それは、いくらなんでも過保護すぎますね」

「そうですか?」

「ええ、クリスくんの部屋に、何度も様子を見に来たんでしょう?」

「いえ? 一緒に寝ましたけど?」

「なんですって?」

「ですからぼく、レニーさんのベッドに一緒に寝かせてもらっ──」


 バキっ


「あっ ペン軸が……」

「あらー、もうずいぶん使ってるから、痛んでたのかしらー(棒)」

「そ、そうですか」

「コホン、ですが泊めてもらうのなら、同じ男性のユカイさんのお部屋、では?」

「あ、ぼくもそういったんですけど、レニーさんが」

「あのぼそ

「ひっ! え、えと? ユカイさんはねぞうが悪いから、寝られないだろうって」

「そ、そうですか……クリスくん? 冒険者の秩序を守るギルドの者として、一応。い・ち・お・う、聞いておきますが」

「は、はひっ」

「なにも、なかったんですよね?」

「あ、はい。ぼくもレニーさんも、すぐ寝ちゃいましたから」

「ほっ それならよか──」

「でもレニーさんに、寝ながらだきつかれちゃって~」

「なんですと?」

「え? あの、ぼくの身体、あったかいみたいで」

「えっ」

「アイナママにもちいさいころ、『あったかくて抱きごこちがいい』って。よくいわれてたから、そうなのかなぁって」

「う、うらやま──いえっ はしたない!」

「そっ そうなんですか?」

「アイナ様はいいんですっ お母様ですし(ぼそ)」

「ひっ!」

「クリスくん?」

「あっ、はいっ」

「わたしはですね? この街でひとり暮らししてるんですよ?」

「ひとりくらし」

「ええ、このギルドからもそう遠くないですし? 次に泊まりでいらっしゃるときは、ぜひ、わたしのお部屋にどうぞ」

「え? いいんですか?」

「ええ、もちろんです。もちろん宿代など頂きませんし? よければわたしが心を込めて、朝晩のごはんもお作りしますので」

「アマーリエさんのごはん」

「ええ。ですので、レニーさんのお部屋に行くのはぜひ! お断りしてくださいね?」


 ◇◆◆◇


「──って、アマーリエさん、いってくれたんですよ~ えへへ、なんだか悪いなぁ」

「あのアマ(ぼそ)」

「ひっ! レニーさん?」

「ああ……なんでもないよ、なんでもね。それより、もう買い物は済んだのかい?」

「あ、はい。アマーリエさんが、おすすめのお店をあんないしてくれましたから」

「案内? 紹介だけじゃなくてかい?」

「はい、一緒にお店まで行ってくれましたし?」

「ち、油断も隙もない(ぼそ)」

「ひぃっ! そ、それよりレニーさんっ」

「ん? なんだい」

「あのぉ 報酬のこと、ほんとうにいいんですか?」

「ああ、いいんだ。あれは全部、クリスのものだよ」

「でもぉ」


 そう、レニーさんたちは、今回の報酬をぜんぜん取ってくれなかったんだ。

 あれだけの数の魔物と戦ったのに。

 そしてぼくは、腕輪をさがしただけなのに。


「あたしたちはね、クリスの護衛と保護が今回の目的なんだ。だからあたしらはその依頼、受けた覚えはないんでね」

「レニーさん(きゅん)」

「ま、魔石はあたしらが頂いたし? それでじゅうぶんさ。もっとも、2日目のは拾い忘れちまったけどねw」


 そういってぼくの肩をぽんと叩くと、『これでこの話はおしまい』と、歩きはじめるレニーさん。


(かっ カッコいいっ レニーさぁん)


 と、いうわけで?

 レニーさんにはこれからぼくの村まで、送ってくれることになったんだ。

 それで今夜は村に泊まってもらって? あしたの朝、はやくに街にもどるんだって。


「でもぼく、ことっても勉強になりました」

「そうかい? そりゃぁよかった」

「はいっ やっぱり村の外には、ぼくの知らないことがいっぱいあるんだって」

「ははっ そりゃそうさ。あたしだって、この歳でも知らないことで一杯さ」

「そうなんですか?」

「ああ、じっさい今回の依頼だって、あの弱っちいはずのアイスゴーストに、あれだけ苦戦させられたからねぇ」

「あー」

「ま、ユカイもいい勉強になっただろうさ。あんなヒョイヒョイ避けられちまっただろ? アイツ、実はけっこう悔しかったみたいでね」

「そうなんですか?」

「昨日の晩は珍しく、素振りとかしてたよw」

「おぉう」


 アイスゴーストを剣士が討伐するコツは、とにかく大振りにしないこと、なんだって。

 サムライの【居合い】みたいに? コンパクトに、すごく速く切るとよけられないみたい。


「だからアイツらに避けられちまうのは……昔、身につけた正しい剣の【型】が、自己流になってる証拠なのさ」

「なるほどぉ」

「しかもアイツ、魔物がアイスゴーストだって知ってたクセに、なんの防寒対策もしなかっただろ? ま、そのへんも楽な仕事のしすぎで鈍ってる証拠さ」

「おー」

「でも、それならレニーさんは?」

「あたしかい?」

「そのビキニアーマーじゃ、上にコートとか着れないですよね?」

「ああ、そうかw クリスは知らないんだねぇ」

「え?」

「ビキニアーマーはね、結構あったかいんだよ」

「なんと」

「装備すると、魔法防壁が身体を覆うのは知ってるだろ? それがどうやら熱や寒さも遮断してくれるらしくてね。だから氷や炎の攻撃も完全じゃないが、けっこう防いでくれるんだよ」

「すごいっ」

「もっとも今回みたいな【氷結】の魔法だと、冷気は遮断してくれても、氷で身動きできなくされるのは防げないからね」

「あっ」

「だから油断すると、全身を氷で覆われて、やっぱり氷漬けにされちまうね」

「ですよねー」


 それにしてもビキニアーマーって、けっこうハイテク?

 でも、これから冬になってもっとさむくなるし?

 着られなくなっちゃうのも、やっぱり困るよねぇ


「あ、でも? だったら今回は、レニーさんが前衛をやったほうが──」

「あのねぇ、クリス?」

「は、はい?」

「ユカイは剣士で前衛、そしてあたしは神官で後衛。そしてなによりも、アイツはあたしの弟だよ?」

「おとうと」

「なら、弟が姉より苦労するのは、当然だろう?」

「ぼ、ぼくお姉さんがいないから、よくわからないやー(棒)」

「ふふ、でもね、クリス? アイツああみえてけっこうモテるんだよ」

「えっ そうなんですか?」

「ああ、姉のいる男はね、だいたいそうさ」

「そうなんだ」

「姉の横暴に慣れきっちまってるからねw だからワガママな女の扱い方も、よく判ってるのさ」

「な、なるほど」


 自覚あるんだ、レニーさん。

 自分がユカイさんに横暴なの。


「だけどね、クリス?」

「はい?」

「その分、弟のいる姉はね、モテないんだよ」

「えっ」

「男が自分のいうことを聞いて、当たり前だと思ってるからね、ははっ」

「れ、レニーさん?」


 女の人には、あんなモテモテなのにっ

 それとも、モテてると思ってないのかなぁ


「でも、レニーさん?」

「ん? どした、クリス?」

「レニーさんは少なくても、ぼくにはモテてますよぉ」

「ははっ こいつぅ」

「やぁん♪」


 レニーさんは、ぼくをぎゅって抱きしめて。

 一緒に大きな声で笑いあったんだ


 ◇◆◆◇


「──という訳で、2日目で依頼は無事に終了。ご子息の活躍に、依頼主もギルドも大いに感謝しておりました」

「まぁ、それは」

「なにはともあれ、お預かりいたしましたご子息。不慮の事態もなく無事にお返しできましたこと、安堵しております」

「レニーさん、本当にありがとうございます。クリス? よかったわね」

「うんっ アイナママ でもこれも、ぜんぶレニーさんとユカイさんのおかげ! レニーさん、ほんとうにありがとうございました」

「クリス(キュン)」


 村に着いて、さっそくアイナママのところへ。

 そしたらレニーさんがあったことを説明してくれたんだ。


「あらあら、うふふ じゃあ、ママもぜひ、レニーさんにお礼をしないとね」

「うんっ」

「ああ、そうだ。よかったら今夜は、うちにお泊まりになってくださいな」

「そ、それはあまりにも不躾では……」

「いえいえ。たいしたおもてなしもできませんが、腕によりをかけてごちそうを作りますから、ぜひ食べていってくださいね?」

「あ、アイナ様の手料理、身に余る光栄です」

「まぁ、大げさですね、うふふ」

「あ、そうだ、アイナママぁ」

「はいはい、なぁに? クリス」

「これ、ぼくからのおみやげなんだ~ 今日の晩ごはんに使ってよ」

「まぁ、いいお肉。しかもこんなにたくさん」

「アマーリエさんに、いいお肉のお店を教えてもらったの」

「でもこんなお肉、お高かったでしょう?」

「うん、せっかくだから今日のおちんぎんで買っちゃった」

「よかったの? それで」

「みんなで食べれば、もっとおいしいよ」

「まぁ、クリスったら」

「もちろんレニーさんの分もあるから、いっぱい食べてくださいね?」

「あ、あたしの分もかい? あ、クリス……まさかあんた」

「えへへ~、レニーさん用に、いいお酒もありますよぉ?」

「クリス、あんたってコは。ふふっ」


 依頼料をもらってくれないって聞いたときから、なにか【物】でお返しできないかな? って考えてたんだよね~

 いろいろ考えたけど? ぼくの知ってるかぎり一番おいしいのは、やっぱりアイナママのお料理!

 だから村にお泊まりって聞いて、みんなで食べたほうがいいと思ったんだ。


「ちょっとクリスぅ? わたしにおみやげ! あるんでしょうね?」

「もちろんだよ、レイナちゃんには、これ」

「うわぁっ なにこれぇ? きれいっ それに、かわいいっ」


 レイナちゃんにあげたのは、アーモンドみたいな木の実に、溶かしたおさとうをコーティングしたお菓子。

 白、ピンク、クリーム色の3色あって、それがかわいい柄の缶に入ってるんだ


「木の実を、溶かしたおさとうでくるんだお菓子なんだって。かわいいから、レイナちゃんにどうかなって思って」

「クリスぅ(キュン) こっ こんなのもったいなくて食べられないわよぉっ!」

「えぇっ そこは食べてよぉ」


 予想外の反応にちょっと驚いたけど、でもうれしそうなレイナちゃんにひとあんしん。


「それからアイナママのおみやげはね~」

「あら、ママにもあるの?」

「うんっ これ!」

「まぁ、ジャム?」

「バラのジャムなんだって! とってもいい匂いがするんだ」

「んふふ、どれどれ? 、まぁ、ほんとうにステキね」

「えへへ よろこんでもらえてよかった」


 でも、それだけじゃないんだ。


「でね? これはぼくからの、アイナママへのプレゼント」

「え、?」


 それは、シンプルだけどちょっとお洒落な、銀のブレスレット。

 これもアマーリエさんに教えてもらったお店で、えらんだものなんだ。


「あのね? アイナママのおかげで、ぼく、ここまで大きくなれました。だから初めてのおちんぎんで、なにかお返ししたかったんだ」

「クリス……」

「えへへ じつは見た目ほどは、お高くないんだけどね~ だからふつうに使ってほし── むぎゅぅ」

「クリスっ クリスっ ママ、嬉しいっ 嬉しいの」

「むぎゅぅぅ」

(お、おっぱいでっ 息がぁぁぁっ)


 それから──

 アイナママははりきってお料理をつくって、それを4人でわいわい食べて。

 そんな楽しい晩ごはんを、ぼくたちは楽しんだのでした。

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