女公爵クルシェ嬢のお父様の一休み
1話目にシルフスト国登場人物を割り込みしました。
ずれ込んですみませんっ!。
今回は溺愛足りない…心が枯れる…。そう思ってつい書きました。
しかし、親父可愛がっても仕方無しでしたっ!。
それでも読んで頂けたら嬉しいです。
「お嬢って、此方に居る?」
扉の前から声が掛かった。
お父様の秘書のキアンさんの声。
兄様が扉を開けると、中を見たキアンさんは「坊が居るなら丁度いい」そう言うと兄様を連れ出した。
キアンさんと一緒に戻って来た兄様の肩には…お父様が担ぎ上げられていた。
クロイスが転がるベッドへと投げ下ろされたお父様は、寝起き以上に不機嫌。
そのまま兄様に押さえ込まれて靴を脱がされるお父様。
「子供にあしらわれるなんて…」
悔しそうな声音は、兄様に無視されています。
「小坊っちゃんも手伝って」
問答無用で上着を脱がせていくキアンさん。
ボスッとベッドに伝わった衝撃で、うわっと声をあげたクロイスも、ペタッと座り、お父様からはずされていくカフスボタンやタイを、受け取っては侍女のマーナに渡していく。
「お嬢。悪いんだけど、親父、少し休ませて」
「私は疲れてはない」
「今は、まだ…だろ?」
ちょいっと手招きされて、キアンさんの隣に立てば、シャツの襟元を緩めたお父様が居た。
あっという間だった。
頭を押さえられて、起き上がれないお父様は、私を見てシュンと目尻を下げた。
それで、ここでこうとキアンさんの指示のもと、ベッドに腰を下ろした私。そして私の手は、お父様の瞼の上に乗る。
「休むのに、脱がせる事はないだろう」
苦い声音は、キアンさんに対してだろう。
「いや、休憩に減り張りは大事だろう」
お父様は、私の手の上から両手を当てて顔を覆うと、ため息をつく。
「小坊っちゃんも協力宜しく。坊っちゃん、親父を逃がすなよ」
「お前はどうするんだ?」
「休むに決まってるだろ。お嬢聞いて。何時も一緒だから、親父と自分、変な噂があんの。お嬢達が居る時くらい離れたいの、分かって!」
そう言うと、さっさと部屋出て行った。
変な噂って何だろう? 首を傾げる私に、兄様は笑いをこぼした。
「…協力」
と、呟くクロイス。はっと思い付いたらしいクロイスは、お父様の腰の辺りに巻き付いた。クスクスと楽しそうだ。
「暑いぞ、クロイス」
「子供の体温は、心を和ませるらしいぞ」
「誰が言った?」
「コリニアスだ!」
ちょうどいい場所を求めてクロイスがもぞもぞとする。
それを仕方ないとしたお父様は、再びため息をこぼした。
「どのくらいで声を掛ければいいんだ?」
兄様に、1時間と答える。
「また支度し直すなんて面倒くさい!」
唸る様に言ったお父様。
「脱がせた靴は、履かせてやるぞ」
「僕も、タイぐらいは巻いてやろう」
「私もお手伝いしますよ?」
それに、お父様は観念したか、体の力を抜いた。
「手を離して。それじゃ疲れるだろ?」
「気になさるなら、早くお休みになって」
「クロイスがもぞもぞとするから眠れそうもない」
それに、ピタッと動くのを止めたクロイスは、大人しくするからと言って目を閉じた。
ベッドの向こう側から風を送るマーナ。
朝から鍛練だと一泊したコリニアス様と体を動かしていたクロイスが、眠りに落ちる方が早かった。
お父様の手が、クロイスの背中に回る。
「随分疲れてるな…」
クロイスの事だろう。
「早い時間から、コリニアス様達と体を動かしていたからでしょう」
「クルシェも、もういいぞ」
手を離しても…という事でしょうか?
「もう少しこのままで。気になるなら、早くお休みになって下さい」
クロイスを起こさない様に体の位置を少し動かすと、お父様の体からより力が抜けていく。
眠りに落ちた訳ではないのだろうが、それに合わせて私は手を引いた。
短くてすみませんでした。
後二話から三話短いものを一日一話で投稿する予定です。
よろしくお願いします。




