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何人かの子息を先頭に、アレックス殿下、クロイスを肩に乗せたコリニアス様を挟み残りの子息が追い掛けるように、小道へのつる薔薇を抜けて行った。


パチリと音がして見れば、シュニティア姫が扇を叩く様に閉じていた。

それを合図と、このテーブル以外のご令嬢方々が空いた席、近い席へと移動していた。

囲まれました! 皆様、私をみています。どうしようというのでしょうか?


「単刀直入でお話しする為に、先ず謝罪致しますわ」


シュニティア姫を始め皆様が居住まいを正す。


「ご案内した小道もテーブルも、悪意がありました。申し訳ありませんでしたわ。ですが、何の問題も無いようですので、静かに流して頂けるわね?」


チラリと視線を下げました。

そうですよね。あの道を通って、不都合が無い訳が無い。本来の裾を引く程の長さのドレスで歩けば、勿論裾が汚れるし、汚れない様にドレスを持ち上げて歩っても、ドレスに合わせた布張りの靴が、結局はドレスを汚すのだ。確かに靴は濡れたので水滴は拭いていた。そして私は、ドレスを着ていないのだ。マキシマム丈のワンピースは、露で汚れる事は無かったのだ。

私達が嫌だと思わない限り、どんな事をされても嫌がらせの意味は無い。正にこれだ。


「問題が無いから許せと言うのも、納得がいかないのも確かでしょう。正式に受け入れたのに、つまらない悪戯ですわ。ですが、私達は、先ず貴女に早々退場願いたかったの」

「それはどういう事なのでしょうか?」

「理由は話すわ。偽りなくね。だから、貴女も、答えられる事には、嘘はなく答えて欲しいの」


取り敢えず「はい」と答えた。

聞かない事には判断が出来ないのだから。


「そもそもハレス公がね…私達の叔父で貴女の義父。数ヶ月くらい前から、貴女の夫探しであちこちにという程声を掛け始めたのよ」

「声をというのは、具体的に、どの様にですか?」

「先ず此処に居る皆の婚約者。先程まで居た男の方達。多分、他にもお話しが行ってる家もあると思うけど…」


シュニティア姫の後を、最初からこのテーブルに居た令嬢が話し出した。


「婚約者本人に直接というのでは無かったのです。お家の方に打診するといった感じで。ご兄弟があれば、その内の誰かはといった話しです。お話のレイナードはシルフスト国の公爵家ですので、詳しく話しを聞きたがるお家もあった様です」


周りの皆様が頷きます。


「何処も同じだと思いますが、良家の次男三男が、必ずしも爵位があるとは限りません事はご存知でしょう? 中には、隣国であってもと思うお家もあったかと…」


彼女の口振りから、あったのだなと思った。


「あの、私の家は、兄が居たからなのですが、お話しを頂きました。両親に聞いても、ハッキリとした事は聞けなかったのですが、隣国、シルフストに行くのではなくて、レイナードのクルシェ様が此方に来るといった話しでした」

「この国の者では無い貴女だから具体的な事は分からない。かと言ってハレス公の話しは要領を得ない。身分だけは高い方からのお話なのだけど漠然としないまま、取り敢えずの話しだけだと皆思って流す事にしたの。彼女達と婚約者との間は良好なの。でもね、お家同士の約束事でも、そんな話しをしてると知ったら誰も良い気分では無いでしょ? だから余計にね…」


義父に三日前にお会いした時に、殿下に仰っていた言葉が浮かびます。義父の、ハレス公の中では、話しがまとまっているのでしょうか?。


「そんな貴女が、自国の王子とこの国に訪れた。謁見を願い出て、私のお茶会への出席を希望した。馬鹿にするな、貴女のお見合いの席じゃない!って、頭にきたわ」


私は、周りの皆様を見る。そして頷いた。


「ハレス公は、思い込みの激しい方でしょ? 貴女が来た事で具体的になって、断れなかったらどうするのと…皆、不安なの。なのに貴女、自国の第二王子と、お国の祝辞正装での謁見でしょ? なのに、婚約者でも無い。だから余計にどう判断したらいいのか困ったのよ」

「あの…ハレス公の考えは、何も聞いていないので分かりません。ですが、ハレス公の言うままに結婚する気はありませんわ」

「ハレス公が引くかしら?。貴女の滞在中に、舞踏会をと願い出ているわ」

「予定されてるものですか?」

「別によ」

「それは、その別の舞踏会は催されるのでしょうか?」

「日数的には難しわね」


私は、シュニティア姫を見詰める。シュニティア姫の目は鋭い。


「引くも引かないも、母の夫というだけですよ? 義父として尊重はしますが、養父ではありません。母にもレイナードの権限はありません。結婚を強要されるのも、この方はどうかしらの話しでも、私が必ず受け入れなくてはならない訳じゃ無いのです。シュニティア姫? 私クルシェ・ジス・レイナードと名乗りましたわ」

「貴女が当主ね。ハレスが無いわ」


ちゃんと私の名前を知っていらしたのだと思った。


「はい。先日の成人した際の謁見を期に、当主として庇護無く立ちたいと願い出ましたの。そもそも願い出るまでも無くその時期と流されましたわ。シルフストでは、ハレスの名前に何の意味もありません。クロイスを送る為もありますが、この度は国の為に此処に来ましたの」

「義父の言い分に流される事は考えられないと?」

「私がその方を好きになったとしたら別でしょうが、国が異なる以上、押し付けで心が育つとは思えません」

「そうね、分かったわ。ならば、自国のアレックス王子とは?」

「えっ? はぁ? それ、今必要ですか?」


忘れていたのに、あたふたとしてしまう。

シュニティア姫は、クスッと笑う。


「皆様。思い悩む事は皆無とは言えませんが、当初の心配は無しとしましょう? 事が起こったら、私、必ず力になりますわ。それよりも見て、コリニアス様が言った様に初々しいわ」


シュニティア姫の言葉で、周りの皆様の雰囲気が少し和らぐ。


「それよりも、私達のお茶会に、そのような支度で来るとは思いもいませんでした」


ティアリナ姫が、ポツリと言った。十二歳の彼女が、思惑が外れて悔しそうなのが見て取れた。


「ティアリナが言う通りね。少し悔しいわ」

「王陛下とお会いした時に、堅苦しいのは止める様に言われました。なので…シルフストもルーキンスも似た気候ですし、外と伺ったので。申し訳ございませんでした」

「あぁ。謁見でのお支度は、お二人揃えの、古式の衣装と聞きましたわ」

「暑くなかったの?」


シュニティア姫とティアリナ姫が興味深げです。


「暑かったです」

「王子もでしょ? よくこの季節に着たわね」


私は小さく笑ってみせた。

我慢も淑女の嗜みですから。


その後、最初のテーブルに座っていた方から、ベールの事を聞かれた。

薄く軽いソレは、陽射しの元、綺麗に私の顔に影を作っていたらしい。

甲斐甲斐しい殿下も言葉に上がったが、お相手の居る令嬢達にとっての興味はお洒落です。


ベールを手にしたシュニティア姫と目が合った。じっと向けられる視線に、シュニティア姫がある事に気付いたと分かる。

この場では、話さない。

シュニティア姫にとってこの場は、皆の不安を和らげる為の場だったのだろうから。

瞼を下ろし、小さく頷く事で返事とした。伝わるといいと思う。


「陽射しも意味がなかったのね」


ティアリナ姫が、また呟かれました。


「そう言えは、涙とか雫の由来は、どんなものでしょうか?」

「え? そんなの、未練タラタラの男が通った道って事よ」

「私達にとっては、お呼びじゃない方にお勧めの道なだけよ」

「そう…なのですか?」

「そこを通ってと案内されたら、皆、臨戦態勢で挑みますわ」

「たとえば?」

「「「婚約者に姫抱っこですわ!」」」


何処の国のご令嬢も同じでしょうか? この様な事は初めてなので、判断つきかねます。


今話もお読み頂きたいありがとうございました。


投稿に使っていたタブレットが機能停止してしまいました。

可笑しい?、購入して三ヶ月程なのに……。

取り敢えずスマホで頑張ります。


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