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白花の中に座す①に続き、シュニティア、ティアリナの王女と様の部分を(姫)にかえてあります。

王女との挨拶は終えたが、王女から皆への紹介は無い。クロイスも紹介しない。私とクロイスにと用意された席に、アレックス殿下も座ってしまった。とても奇妙な状態になっていまっている。


「アレク様? あちらに席をご用意されてるのに、こちらに座られるのは…」

「だが、クロイスには少し座りが悪いだろ?」

「クロイスを気にして頂けるのは嬉しいのですが、それはいけません」


しかしな、と続けようとした殿下に、シュニティア姫の声がかかる。


「アレックス様は、クロイスと、それ程親しいのですか?」

「彼を送る為にこの国に来たのです。滞在して、この国を知る機会を得ましたが、帰国までの間、少しでもと思うくらいはクロイスに親しみを感じています」

「まぁ、そうでしたの? 私、そこまでとは思っていなかったのです。

直ぐ、クロイスの席を用意させますわ。ですから、此方にいらして」


シュニティア姫の指示で、空席の隣に椅子が用意された。

さぁ、いらしてと、にっこりと微笑む。

殿下はクロイスとお互いの顔を見合うと、王女に向かってありがとうございますと言って立ち上がった。

膝の上に居たクロイスは、縦抱きにされている。


「クルシェ」

「はい」

「行こう」

「ですか…」

「クルシェと離れれば、クロイスが寂しい」


どのみちクロイスは膝に乗せるのだから問題無いと手を出してきた。

戸惑えば直ぐにもう一席用意させますわと声が掛かる。コリニアス様もよろしいですかとシュニティア姫が声を掛けた。

コリニアス様も、面白いものを見るように頷いている。


「感謝する。だが、椅子の必要は無い」


さっさと私を連れて歩き出す。

ただ、コリニアス様の前で立ち止まり、クロイスを下ろした。さっきクロイスは名乗る事をしていない。同席をするなら、必要と感じた。


「ビデディア国の王子殿下。お目にかかれて光栄です。クロイス・レイナード・ハレスと申します」

「コリニアス・フェルン・ビデディアだ。クロイス殿は、年は幾つだ?」

「八歳になります」

「そうか。私とも、仲良くしてくれるか?」


コリニアス様に、笑顔で「はい」と返事をしたクロイス。

そして、ようやく揃って王女と王子の居るテーブルに座る事が出来た。


「最初から、此方に用意して置けば良かったわね。ごめんなさい?」

「嫌、かえって申し訳なかった。感謝する」


シュニティア姫と殿下の言葉が行き来する。

改めて、お茶会の始まりだ。私達三人の前に茶器が並ぶ。


「レイナード公爵令嬢とクロイス自体が、まず、仲が良いとは思っていなかったの」

「片道二週の道のりを理由も無く馬車で来る者は居ないでしょう。我が国の大人達は、いたく感銘を受けていましたよ」

「そうなの…」

「兄が…昔、弟を抱え上げたり膝に乗せたりしてました。当時の私は、それを見ていただけですが、クロイスと居ると、何となくそれが分かる気がして。クロイスには、私の我儘に付き合って貰ってる様なものです」

「不和でないのは分かりましたわ」


そう言って私を扇越しに見ている。それに私は、令嬢ではなくレイナード公爵と呼んでと思ったが、クルシェとお呼び下さいと返した。なら、私の事もシュニティアと、と。


目の前を会話が通り過ぎる。にっこりと微笑んでやり過ごせばいいのだが、やはり、招いて貰ったお礼と感謝は伝えないといけないのだろう。


「クルシェ?」


殿下に声を掛けられ、クロイスに手を引かれる。


どうしたのかと私を見る二対の瞳。


「何でも無いのです。少し気後れしてしまいました」


この様な出で立ちですしと、殿下を見る。


「シュニティア姫を初め、皆様がとても美しいので…」

「確かに…。場違いな支度で来てしまった気がする。シュニティア姫に申し訳無いな」

「お気になさらないで。私達の約束事なだけですわ」


それに私だけではなく、殿下とコリニアス様も首を傾げる。


「ここは、白を愛した妃の庭ですの。ですから、何となくですが、此処を訪れる時は白の装いをと」


そうティアリナ姫。

続けてシュニティア姫。


「つまらない理由です。白花の妃と呼ばれた方が、白の装いで此処を訪れた事から、私達もというだけですもの」

「言われてみればだが、確かに皆美しい。麗しい白花の方々という訳ですね」


感嘆の息を付き、コリニアス様がシュニティア姫を見る。


「そうですね。そうなると、私達はこのままでよかったと言えるかな」

「アレックス殿。それはどういう意味だ?」

「言葉通りですよ。私の華がこの花園に囚われてしまったらと思えば、私の華は私だけのものであって欲しい。男の独占です」

「アレックス様。囚われたらとはどの様な意味ですか?」


場合によっては失礼だと、シュニティア姫の目が厳しくなる。


「言葉通りです。実は、レイナード公に求婚しているところです。良い返事がもらえるまでは誰とも出会う事がない様に隠しておきたい。着飾った彼女に誰かが思いを寄せたらと気が気じゃないですよ」

「ァ、アレク様? その様な事、今は」

「今も何も、とても心配なんだ」

「だからと言っても…」

「姉上、真っ赤」

「何を、ク、クロイス?」


殿下の、親しみを感じる眼差しは好ましいと思うが、求婚と言葉が出ると戸惑ってしまう。


「これは初々しい。アレックス殿の気持ちも分かるな」

「ちょっかいは御遠慮願いますよ」


殿下とコリニアス様がお互いに視線を交わす。

そして私を見るのは止めて頂きたい。


「アレックス様? お相手を困らせるものでは無いわ」

「困らせるつもりも無い。ただ、恥ずかしがるのも可愛いと…」


シュニティア姫とティアリナ姫が「まぁっ」と声を上げました。


「アレックス殿には、今来た道を戻る事をお勧めしますわ。あの道は、「雫石の庭」「涙の小道」と呼ばれてますわ。行って戻れば華の大切さが良く分かりましてよ?」

「それはどういう事ですか?」

「寂しく一人で行って戻れば、からかって反応を見たいだなんてふざけた事はなさらないでしょ?」

「殿方全員で行ってらして!」


シュニティア姫、ティアリナ姫だけでなく、周りのご令嬢も同じ反応をしている。


「それはいい。招かれたはいいが、ずっと座ったままというのは慣れない。是非行こう」


コリニアス様が立ち上がりました。

誘われる殿下ですが、私を気にして立ち上がりません。

ぷんと顔を反らします。


「さぁさぁさぁ。お早く行ってらして」


コリニアス様がクロイスを肩に乗せてしまいます。

高くなった視界に、クロイスがビックリしています。

渋々と立ち上がったアレックス殿下。


折角ですので行ってらっしゃいませ。

皆様の前では、尚更恥ずかしく…困ってしまいます。

二人ならという事ではないのです。兎に角、対応に困るのです。

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