女公爵クルシェ嬢 待機という名の小休止
今話は短いです。補足文的な話になってしまってます。溺愛も軽い会話も無いかもしれません。
それでもよろしければ、読んでもらえると嬉しいです。
別動する荷馬車と合流するべく、お祖母様達に見送られた私とクロイスは、それぞれ護衛の前に騎乗し移動。私達が領地に来るのに使った馬車は、ロレイン姉様達が帰るのに使ってもらうのに置いて来た。その予定だったので、お父様が新たな馬車で来るものと思っていたのに、予想が外れた。
合流する馬車のルートは、ルーキンスへの最短で進む為、それに合わせて4日程は、騎乗なのだそうだ。
それは構わないのだけれど、中々クロイスと話せないのが気になる。
それにアレックス殿下…。そっとしておいて、構わないでと背を向けて迎えた朝に、変わらぬ態度で「おはよう」と声をかけてくれた。何か言わなくてはと思っているうちに、出立の時間で何も話せなかった。
馬での移動に慣れない私とクロイスに合わせて、随分とゆっくりと進む。これでは馬車に置いて行かれないかと聞いたら、馬車が進むより速いそうだ。
馬同士が並んでも、同乗の騎士がいるので、言葉を交わしてもお祖母様の事やお祖母様実家に関する事を話す機会が取れない。
唯一の休憩時も、お互い眠れなかったのも手伝ってか、瞼を閉じると少しの睡眠へと落ちてしまっていた。
なら馬車でもいいじゃ無いかと思ったけど、馬車で無い理由は警戒の為だと初日の夜、宿に入ってから知った。
馬車を狙うなら、私かクロイス…。もしかしてだと、同行するアレックス殿下。下手げに足止めをくらうなら、全速で離脱の方が良いとの判断したらしい。
何故狙われる可能性があるのか? 思い浮かばない。
その宿でお父様は、私とクロイス。アレックス殿下とイヴァン様を交えて話しをして下さった。
遅れてきたお父様達の話し。
あえてお祖母様の前ではしなかった話し。
お父様が、エリアナを自分の子供で無いと分かっていて、手元に引き止めていたのは、エリアナの産まれた背景にあった。
エリアナは、お祖母様の兄の孫。私の再従姉妹。セニエル家と私は付き合いが無い。お祖母様の方も、最近まで何の連絡も無かった筈なのだ。付き合いが無いのは、付き合う者を選んでの事なのだけど、お父様が私のお付き合いリストから外すくらい悪い噂のあるお家なのだそうだ。それは、その大叔父様が当主になってからの事だけど、領地経営に精を出すお祖母様や私には無関心だった筈なのだ。それなのに何故、お祖母様がと思うけど、お母様の妊娠を知ったセニエル家の言葉がお祖母様の心配心に触れたのだろう。これを切っ掛けに公爵位を取ろうと乗り出した。事の経緯は簡単に言えばこれくらい。そうお父様は言った。
なら、簡単じゃないならの話しを聞かせて下さいと言ったら、照れくさそうに瞼を伏せて「お父様…またやり過ぎちゃったよ」と言った。
あぁ…成程と思う。ロレイン姉様の時も、怒鳴り込んだ時の話をグレイ兄様から聞いたし…。と、思い、お父様に同行していたアレックス殿下の説明を待つが、直ぐ言葉にならない様子から、説明するのに困る程の事があったんだと納得もした。
「だって、迷惑をかけた償いはする。仮にも縁戚なのだから穏便にって、宝石やお金を並べ出してきて、頭きちゃったから…ねっ、アレク?」
お父様、可愛らしく言っても駄目です。殿下? 目を逸らさないで!
「俺が同行したのは、エドガーが嘘に乗ってしまっただろ? なので真偽の確認に立ち会ったんだ。あっちは、俺を王子だと思っても無かったようで、これでどうかと出してきて、出して来た金に領地税の封印のある物があったから、国として調べる事になったんだが…」
「そっ! だから仲間の逆恨みを警戒してるとこ」
チラリとアレックス殿下を見る。
「ハロルドの言葉通りだ」
後は、お祖母様の事。嫁いて疎遠と言っても実家の不祥事。関係無かったとしても、気には病むだろうと、ロレイン姉様とレミーネの滞在を長くする様にお願いしてくれたらしい。
お父様、そつが無いです。
…ありがとう。
4日程と言っていた移動も、荷物か遅れてるので、そのまま先へと進む。
遅れといっても二日程。
その二日をルーキンスとの国境。王家領の屋敷で待つ事になる。
お父様の武勇伝を聞いたクロイスが、何に触発されたのか、木剣を手にアレックス殿下とイヴァン様を相手に打ち合う姿を見る。
日程の調整で動いてるのか、お父様の姿を見ない。
見掛けると、家でのお父様と違ってた。
私に気付けば、寄ってきて抱き上げもするが、緩んだ感じが無い。
それを気にしている私に気付いた秘書官のキアンさんが、レイナードの別邸を出たら何時もの事だと教えてくれた。家で汚いのは気が抜けてる証拠で、仕事でもあれじゃただのゴミだから…と。そう思ってたんですねと、初めて知った。
私とアレックス殿下のルーキンス入り。
私としてはクロイスを送るだけで、小さいながら私の中にある問題を解決出来たら程度のつもりだったのだけど、ちょっと大きな事になりそうだ。場合に寄っては、国としての駆け引きを求められる事もある。何て言われたら引く。まして、私の役どころはアレックス殿下に求婚されている成人したばかりの女公爵。
何方か代わってはもらえないでしょうか?
もちろん…お父様には却下されました。
今夜にも、荷馬車の合流があるそうです。
なので、明日はルーキンスに入る予定です。
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