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霊人の国:シルファリオン 〜精霊王との出会い〜

私はその日、夢を見た。

とても不思議な夢を…

私はゆっくりと目を開ける。


「エフィルめ…何を考えておるのだ…」


広い部屋に小さな声が響く。

私の隣で立っている兵士が言う。


「王、どうかされましたか?」


私は自分の座る椅子…玉座からゆっくりと立ち上がって言う。


「散歩がしたくなっただけじゃ。護衛は要らんぞ。」

「はっ!かしこまりました。では、支度を…」

「よい。急ぎ確認せねばならぬ事もある。」


私はゆっくりと精霊力を使い、浮遊する。

そして、ある方向を目指す。




「うーん…この辺まで来れば、そろそろ来てもおかしくないんだけどなぁ…」


アルテノンがそんな事をぽつりとこぼす。


「来てもって何がさ?」


俺がそう言うとアルテノンは首をかしげながら言う。


「霊人の国の守護者だよ。彼らは生体反応に敏感で、敵対者をいち早く撃退する為の守り手なんだけど…」


アルテノンはそう言うと静かに空を見上げる。


「では、こちらから居場所を知らせるのはどうでしょうか?」


フィリアムが何故か嬉しそうにそういう。

ナディーはそんなフィリアムを見ながら言う。


「ナディー…反対…フィリアム…良くない…考え…」

「そうですか?いいと思ったんですけどねぇ…」


アルテノンが空を見ながら突然大声で言う。


「ウソでしょ?!なんであの人が来てるの?!」


俺以外の全員が驚く中、アリアスは眠そうに言う。


「エフィ…アルテノンさん、まさかとは思いますが…あの人って…あの方ですよね?」

「今、エフィルって呼びそうになったでしょ!じゃなくて…あの人よ!本来ここに来るはずもない人!」


アルテノンは若干焦っている様な素振りを見せながら言う。


「あの人…?」


ナディーが首をかしげながら言う。


「私はここに居るぞ!」


そんな声が聞こえたかと思えば突然目の前に超高速で何かが降りて、凄い衝撃が視界を遮り、身体を吹き飛ばそうとする。

少しの時間を置いて、衝撃が収まり、視界が元に戻るとそこには男とも女とも見て取れる美しい白髪の霊人が居た。


「ゲッ…ラフィルレーン…」


アルテノンが驚きを隠さずに言う。


「アルテノンよ…私はシルファリオンの王、ラフィルレーン・シルファリオンであるぞ。言葉は選んだ方がよいと何度言えばわかるのだ?」


ラフィルレーンは威圧的にアルテノンに言う。


「ごめんごめん!私もちょっと驚いちゃってさ…いやぁ…ラフィルレーン王が直々にいらっしゃるなんて思わなくて…」

「ふん。何度言っても口調は治らぬか…まあ、よい。私はあやつが気になるのでな。」


ラフィルレーンは俺を見て言う。


「そこの猫女族の者、貴様の名を聞かせるがよい。」


俺はラフィルレーンの言う通りに名前を言う事にする。


「俺は魔剣士のリアだ…あー…リアです?」

「そのままでよい。」

「じゃあ、お言葉に甘えて…俺は魔王を倒す為にレグラスによって選ばれた転生者だ。」


ラフィルレーンは一瞬眉間にシワを寄せて言う。


「貴様、今レグラスに選ばれたと申したか?」


俺はなんかまずいことを言ったのかと思いながらも「その通りだ」と短く返す。


「そうか…」


ラフィルレーンはそう言うと腕を組んで考え事をしてる素振りを見せる。


「リア、もう一度確認の為に問うが、貴様は本当にレグラスによって選ばれたのか?」


俺は何となく嫌な予感がしつつも答える。


「ああ、リルラのやつもレグラスと話してるのを聞いたし、あいつがレグラスと呼んでいたのだからそうなのだと思っているが…」

「ほう?貴様は冥府の神の知り合いとな?」


ラフィルレーンはニヤリと笑って言う。


「貴様に一ついい事を教えてやろう。この世界の全能神、レグラスは数百年前に邪神に食われた。つまり、レグラスが貴様と言う存在を選びようがないと言うわけだ。もし仮に真実だとしても、猫女族の寿命から考えればとうの昔に死んでいると言うわけだ。」


俺は不思議に思い言う。


「じゃあ、俺が嘘を言ってると思っているのか?レグラスが居ないのならば、選びようが無い。だから、俺は選ばれたものじゃないと言ったようにとってもおかしくない発言だぞ。」


ラフィルレーンは不思議な力を高めながら言う。


「そうだ。私は貴様をレグラスに選ばれたものでは無いと断言した!」


ラフィルレーンが腕組みを解いて、右手を天にかざすとそこから巨大な結界が形成される。


「あー…こりゃ、最悪だわ。まあ、ボクは手出ししないけど、ラフィルレーン王に実力を証明出来れば生きて出られるかもね。まあ、瞬殺されるのが目に見えてるけどさ。」


アルテノンはヤレヤレと言いたげに俺たちから離れる。

ラフィルレーン今までに感じた事の無い力で宙に浮くと言う。


「リアとやら、己の身の潔白を証明したくば、私と戦え!さもなくば、ここで消えるが良い!」


ラフィルレーンはそう言うと魔力を放つ。


「リア、申し訳ございません。私たちの動きは封じられてしまったようです。」


アリアスは身体を必死に動かそうとするが全く動かない。


「ついでに言えば、私たちの能力と技能も封じられておる…なんて膨大な魔力量じゃ…」


フィリアムが悩ましいと言いたげに言う。


「ナディー…動ける…なんとも…ない…」


ナディーは相変わらずの口調で言う。


「ほう?貴様は私の力を受けつけぬほどの力を持つか…よい。貴様も私と戦う事を許可しよう。」


俺は魔力を高めて魔剣を生成して言う。


「要するに、勝てば良いんだよな?ラフィルレーン王!」

「そうだ。それ以外で貴様がここから出る事は叶わぬぞ!来るがよい!その力が真実だと証明してみせよ!」


ナディーが魔力を高めながら言う。


「なら、これで…技能:詠唱破棄(スペルブレイク)!三元素魔法!アレクトロニクス!」


ナディーの突き出した左腕から雷の様に鋭く、水の様に自在に、炎の様に全てを溶かし尽くす魔弾が発射される。

ラフィルレーンは右手を開いて突き出しながら言う。


「精霊よ…我を守護せよ。」


純白の盾がナディーの攻撃を完全に無力化する。

俺はその隙を狙って贈物でやつの近くに俺を転送する。


「これならどうだ!でやぁ!」


俺が魔力を込める事で一瞬で巨大化した魔剣を振り下ろす。


「効かぬぞ。」


ラフィルレーンは不思議な力を纏った左手で軽々と受け止めて言う。


「チッ…やっぱ、そう簡単にはいかねぇか…」

「もう終わりか?ならば、次は私の番だな?」


ラフィルレーンはそう言うと不思議な力を溜め始める。


「貴様には私だけが使える特別な力で相手してやろう!くらうがよい!極大霊術!妖精の戯れ(フェアリーダンス)!」


ラフィルレーンが力を解き放ち、無数の光の玉がラフィルレーンを中心に無差別に発射される。


「マジかよ?!」


俺はラフィルレーンの攻撃を避けながら、徐々にナディーの方へと追いやられる。


「ナディー…守る!極大召喚魔法…影より来たれし王(シャドウキング)!我らを守り給え!」


ナディーがそう高らかに宣言するとナディーの影から巨大な黒い狼が現れ、俺たちを包み込む事でラフィルレーンの攻撃から俺たちを守る。


「リア、気をつけて…あいつの力は精霊力と言って、ナディー達の使う魔力を浄化する力が非常に強い…一撃でも当たれば即死だと思った方が良いよ…」


一撃貰っただけで即死…か…


「それは俺たちが魔力を使うからか?」

「うん…唯一、魔力で抗えるのはこの影の王だけ…魔力消費が激しいから長くは持たない…一瞬で決着をつけれなければ、ナディー達の負け…ついでにナディー達の使う魔力では、今の精霊力に満ちた王は倒せない。」

「つまり、今の俺たちでは確実にラフィルレーン王は倒せないし、速攻で決着をつければければ死ぬって事か…」

「うん。正直、今のままじゃ死ぬと思う。」


俺は考えた…

魔法が効かないうえに速攻で決着をつければ死ぬ。

つまり、この詰んだ状態であいつと戦わなければならないのか…


「そろそろ限界…リア、何か思いついた?」


俺は考える。

そして、可能性にかけてみる。


「なあ、ナディー…精霊力って俺達にも使える様に出来ねぇかな…」

「精霊力は霊人や精霊族(フェアリス)にしか使えないよ…ただし、一つだけ精霊力を魔力に変える方法がある。」


ナディーは深呼吸をして言う。


「暗黒神の力で精霊力を魔力に変換する事。それ以外で精霊力を魔力に変える方法は無いし、ナディー達に暗黒神の力は無い。だから、不可能だよ。」


俺はある事を考えた。

それは…


「なら、その力だけをここに呼び出して、あいつの精霊力を魔力に変えよう。」

「それは危険過ぎるよ!ヘタをすれば、リアが暗黒神の力に身体を乗っ取られてしまう!」


ナディーが声を荒らげて言う。

俺はナディーの目をしっかりと見る。

ナディーも俺の目をしっかりと見る。


「リア…」

「大丈夫だ。俺を信じろ。俺は絶対に暗黒神の力に屈しないし、ラフィルレーン王にも屈しない!絶対にな!だから、安心してそこで見ていてくれ…」

「リア…」


ナディーが小さく呟く…


『ふん。人間のクセに生意気な事を言いよるわい…』


どこからともなく声が聞こえる。


「誰だ?!」


俺はナディーを守るように立って言う。


『安心しろ。我は影の王…暗黒神の力を持つ者だ。』

「暗黒神の力…!」

『そうだ。』


俺は影の王に言う。


「頼む!俺にその力を分けてくれ!」

『ふん。良いぞ。我は呼ばれるだけ呼ばれて退屈しておったのだ。貴様がどこまで行くか…我も楽しませてもらうとしよう…』


影の王はそう言うと俺の中に入ってくる。

俺は力が溢れるのを感じる。


「もう…限界…」


ナディーが魔力消費で倒れる。

影の王の姿が消え、黒き力を持つ者が言う。


「ふん。我は暗黒の者…貴様を殺す…」


一瞬でラフィルレーンすぐ横を黒き力を纏う者が一瞬で通過する。

そして、ラフィルレーンの発生させた精霊力の弾丸が全て破壊される。


「馬鹿なっ?!」


ラフィルレーンがその有り得ない速さに驚いて目を見開く。

アルテノンがその様子を見て言う。


「ラフィルレーン王!逃げてください!アレは危険です!」


アルテノンが黒き力を纏う者に祈りの力を込めた矢を放とうと構える。


「エフィル!そやつに手を出すな!」


ラフィルレーンが声を荒らげて言う。


「し、しかし!ラフィルレーン王が死んでしまえば…!」


ラフィルレーンは楽しそうに言う。


「案ずるな…私は死なぬ…それにた数千年ぶりに本気で戦えそうじゃ…手を出せば、例えエフィルとて、容赦はせぬぞ…」


黒き力を纏う者が空に向かって飛び上がり言う。


「我は暗黒の者…貴様を…倒す者だ!」


ラフィルレーンが力を完全解放して言う。


「私は世界の精霊力を統べる者…真の名をラフェル・シャングリッデと言う者なり!貴様のその力、私に示せ!」


黒き力を纏う者が漆黒の鉤爪を出して、そのまま空気を蹴ってラフィルレーンに突撃する。

ラフィルレーンも二つの精霊力の剣を精製し、迎え撃つ。


「ウガァァァァァァァ!」


黒き力を纏う者が怒涛の爪攻撃を仕掛ける。

しかし、ラフィルレーンはそれを精霊力の剣で完全に防いでいる。


「そんなものか!貴様はその程度の力か!」

「ガアッ!」


ラフィルレーンの剣が黒き力を纏う者を右腕を裂く。

黒き力を纏う者が一歩引いて右腕から血が滴るのを見る。

ラフィルレーンは一瞬の隙を見逃さずに左腕も斬り裂こうと剣を振るう。


「隙あり!」

「ガアッ!」


黒き力を纏う者が先程と同じ様に一歩引いて左腕から滴る血を見る。


「つまらん。久々に本気で戦えると思ったのだが、買い被りすぎたようだな。」


ラフィルレーンは空高く浮き、右手を突き出して精霊力の球を精製する。

黒き力を纏う者は腕から流れる血を見ていた。


「消えるがよい…妖精女王の波動(ティターニス・オーラ)!」


眩い光のレーザーが大気を震わせながら、黒き力を纏う者を目掛けて一直線に突き進む。


「フッ…」


黒き力を纏う者がニヤリと笑う。

そして、やがて声を大にして言う。


「ふははははは!俺はこの時を待っていたぞ!ラフィルレーン王!」


黒き力を纏う者はラフィルレーンのレーザーを片手で受け止めながら、それを魔力に変えて吸収する。


「なっ?!暗黒神の力だと!一体、あやつのどこにそんな力が!」


黒き力を纏う者はラフィルレーンに左の魔力で巨大化した鉤爪の先を向けて言う。


「俺は初めからこれを狙ってお前が有利になってる様に見せかけてたのさ!俺が暗黒神の力に身体を乗っ取られたフリをしてな!」


ラフィルレーンは驚いた表情で言う。


「アレが演技じゃと?!」


俺は地を蹴ってラフィルレーン目掛けて鉤爪を突き出したまま宙に舞う!


「くらえー!これが…俺たちの…力だー!」


俺の身体がラフィルレーンの身体を通り過ぎる。


「してやられたわ…認めよう…貴様は選ばれし者であるとな…」


意識を失ったラフィルレーンの身体が重力によって鮮血を撒き散らしながら地に叩きつけられる。

俺も重力に任せて、足から地に降り立つ。

アルテノンがラフィルレーンのところに駆け寄りながら言う。


「ラフィルレーン王!大丈夫?!ちゃんと生きてるよね!死んでないよね!」


俺は鉤爪を魔力に戻して言う。


「大丈夫だ。ラフィルレーン王が死ぬほどの力は俺にはねぇ…今はただ久々に力を解放して疲れてるんじゃないかな。しばらくすれば起きるさ。」


アリアス達は自由を取り戻して俺の方へ駆け寄る。


「リア様、お怪我はありませんか?」

「リアってば、暗黒神の力なんて言うとんでもない力を得ちゃってるじゃないですか?!馬鹿なの?!」


俺は倒れたナディーの身体を背負いながら言う。


「怪我は完全では無いが変換した魔力で回復したみてぇだ。暗黒神の力については俺がその力を使わなければラフィルレーン王には勝てなかった。だから、その力を使っただけだ。無茶をしたのはわかってる。でも、そうしなければ俺たちは死んでた。だったら、無茶をして勝てるかもしれない方にかけるのも悪くないだろ?」

「まったく…ああ言えば、こう言うんですから…でも、良かったです。これでリアの身の潔白が証明されたんですから…」


アルテノンが涙を流し声を震わせながら言う。


「よくも…王を…王をォォォォォォォォォォォォォ!」


アルテノンが怒りに任せて俺に神の弓を放つ。


「リアさん!」


アリアスが俺とアルテノンの間に入り呪術で神の弓を防ぐ事でギャイン!ととても弓を防ぐ事で発せられる音とは思えない音が響く。

アルテノンが神の力で浮き上がる長髪を揺らしながらいつもの声とは違って威圧さえ感じる声で言う。


「アリアス!邪魔ヲスルナ!私は…ソイツヲコロス!」


アリアスはアルテノンの目を見て言う。


「エフィルさん、リアさんはラフィルレーン王は死んでないと仰っていたはずですよ。」


アルテノンは首を横に振りながら声を荒らげて言う。


「ウソダ!ソンナノシンジラレルワケガナイ!王ハ…王…ハ…!」


アリアスはゆっくりと目を閉じて深呼吸をして、龍の翼を広げる。

一瞬にして気迫の変わったアリアスが目を見開いて言う。


「エフィル!お前は王の強さを信用出来ぬと申すか!」


アルテノンの顔に少しだけ動揺が走る。


「チガウ…チガウ…チガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウチガウ…チガウ!」


アルテノンが銀に輝く翼を広げて無数の羽を飛ばす。


「エフィルの…アホたれー!」


アリアスの口から広範囲のブレスが放たれる。


『小さき者たちよ…止まるが良い。』


永遠すら感じるほどの莫大な力がアリアスのブレスとアルテノンの羽を完全に無力化する。

アリアスがその声を聞いて驚いた様に目を丸くして言う。


「精霊王様?!」

「セイ…霊王…サマ…?」


アルテノンも驚いた様子で言う。

精霊王と呼ばれた巨大な何かが巨人の姿で現れる。

その巨人は目を閉じたまま言う。


『久しいな…小さき狩りの娘…汝らの王は生きておる…』


アルテノンがいつもの声で言う。


「そっか…良かった…」

「だから、俺には殺せるほどの力はねぇって言ったじゃん…」


なんて俺が言ってると精霊王が言う。


『小さき転生者よ…我は霊人族の守護神…精霊王:デルファレ・シャングリッデと言う名を賜わった者だ…』


俺は驚いて目を見開く。


『何故、お主が転生者と分かったか…だと?簡単な事よ…お主がこの世界に来る時に我が友、レグラスの力を感じたのでな…必然とお主の事だと気づくのだ。』


俺はそういう事かと納得する。


「俺はリアだ。元の名前は…名前は…」


おかしいな…元の名前が思い出せない…


俺がそんな風に戸惑っているとデルファレが言う。


『良い。お主の元の名など、この世界にとっては不要…故にお主の記憶からは消えておるのだ…そんなにおかしな話ではない…お主の名は竜胆灰鳥…世にも稀な魂だけの転生者に飽き足らず、今は亡きレグラスと冥府の神の加護を受けた者よ…』

「そうだな…俺はそんな名前だったな…」


ナディーが少し震えた声で言う。


「リア…この世界…違う…リア…帰る…?」


デルファレは目を薄らと開けて言う。


『リアにその気があれば帰る事は可能だ…ただしその場合はこちら側の事は全て忘れ、死んだ事も無かった事になる…当然、お主の事は覚えておらぬだろうな。』


ナディーは少し悲しげに言う。


「そうなんだ…ありがとう…ござい…ます…」


俺はデルファレに聞きたい事があると言う。


『ふむ…だいたいの事はわかるが、お主が聞きたい事は残念ながら力になれぬ。代わりと言ってはなんだが、お主のもう一つの疑問に答えてやろう。』


デルファレは俺の目を見て言う。


「デルファレでも、あいつの事は分からねぇんだな…」


俺は改めてもう一つの聞きたい事を言う。


「デルファレ、シルクについて教えてくれ。」


デルファレは少し考える様に目を閉じて言う。


『シルクか…我もあまりよくは知らぬがやつは世界の女神だったと記憶しておる。お主にわかりやすく言うなら、数多の世界の「全知全能神」…それがやつに一番近い呼び名だろう。やつは全知の者として我を創造し、全能の者としてレグラスを作った。そして…その二つの抑止力として、全知全能の万物を死へと導く「死神」が創られた。死神に関してはお主も心当たりはあるだろう。お主の知る死神は今のこの世界にとっては異界の神であるがな…』


デルファレは目を開き、再び俺の目を見て言う。


『救世主か…破壊者か…次会う時はお主にとっても我にとっても運命の分岐点と言えようぞ…』


デルファレはそう言うとまるで景色に溶け込むかのように消える。

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