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酒蔵姫  作者: キノぴょ


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3/10

第3話 ヒジリ山へ

聖水の都。天山剣道場。

カッパと主氏のやり取りが続く。

逸見は、腰を抜かしたまま、黙って見ている。

「精霊酒の件。新たに作るのに、3日かかるっパ」

「3日ですむのかよ」

「あくまで、1人分だけっパ」

病気の者には、1日1杯の酒が必要。

3日1杯では効果が無い。

「薬の精霊アムリタに、霊薬を分けてもらえば、それを元に精霊酒をたくさん作れるっパ」

「おう。そうなのかよ。助かるぜ」

「精霊アムリタは、ヒジリ山に住んでいるっパ。ヒジリ山には、暴れイノシシが住んでいるっパ」

聖水の都のすぐそばにある、ヒジリ山。

自然の森に包まれた霊山。

「暴れイノシシかよ」

「ワタシは、霊的知識はあっても、陸上では、戦う力が低いんだっパ」

カッパは、暴れイノシシに警戒している。

元々、水の精霊カッパ。

水の中でしか、戦う力を持っていない。

お城の勇士は、ダイダラボッチ退治に向かってしまったので同行してもらえない。

「これから、出かけるつもりっパ。天山師匠に、同行をしてほしいっパ」

カッパは、木刀術の実力者。天山師匠に同行を求めるつもりらしい。


第3話 ヒジリ山へ


ヒジリ山。

自然豊かな森と、清らかな川が流れる場所。

霊的にも、守られた聖域。


「私が、同行するからには、全力で勝つ!」

熱血な天山師匠は、先頭をどんどん進んで行く。

「頼りにしてるっパ」

「い、イノシシが怖いよ。来たくなかった」

カッパと逸見は、天山師匠の後ろにおどおどしながらついて行く。

「おめえ、弱いよな」

逸見をにらみつける主氏。

逸見も弱い。カッパも弱い。

それでも、男か。

「な、なあ、主氏。都の外に出かけて大丈夫なのか」

逸見は、主氏の身を案じる。

1日1杯の精霊酒が必要な酒蔵姫。

山登りなんかして、心配だ。

「おめえが、行かねえとか言うから、たたき出してやったんじゃねえか」

逸見は、毎度のごとくの弱気を発揮して、同行するつもりはなかった。

いつも弱気な幼なじみの逸見を、無理矢理に同行させたのは主氏である。

「オレが、倒れたら。おめえのせいだよ」

「え、ええっ…!」

逸見は、あわてる。

やっぱり、危ないんじゃないか。

「あ、危なくなったら、オレがお前をおんぶするから」

「ああ、そうかよ」

「俺、主氏のこと心配だから」


何で、病気なんて、この世にあるんだ。

主氏も、親父も、何も悪いことなんかしてないのに。

精霊酒を必要としている病人だ。

考えたくない。

怖い。


ガサガサ…。


「暴れイノシシが出たっパ〜〜っ…」

カッパは、驚いて腰を抜かした。

「天山一龍斎、まいる!」

天山師匠は、油断無く前進して、木刀を一撃。


ゴツンっ…!

暴れイノシシの、頭の上に直撃。

たまらず、逃走して行く。

しかし、入れ替わるように、他の暴れイノシシが、2匹出てきた。

「新手か。逸見!行け!」

天山師匠は、逸見をうながす。

「女の娘とカッパに戦わせるな!男なら、守れ!」

熱血な天山師匠。

「お、俺じゃ、無理だよ」

「構えろ!」

「は、はいっ…」

逸見は、あわてて、木刀を構える。

カッパは、腰を抜かせている。

主氏は、黙って逸見を見ている。

自分が守る。逸見は、それだけ考える。

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