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狂桜華《きょうおうか》~亡国の姫は、名を捨て帝を目指す~  作者: 澪
第七章 花冠は誰がために【御前演武編】

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章扉

いつも『狂桜華』を読んでくださりありがとうございます。

謀反の裏側を書いた外伝『散華の夜』も連載中ですので、読んでいただけると嬉しいです。


https://ncode.syosetu.com/n3472my/

 夏、御前演武を執り行う。


 近衛・朝廷軍・一般武官が一堂に会し、武を競う。


 宮中は武を称え、民は若き武官らに惜しみない歓声を送った。


 その勝敗は記されていない。


 後の世に残されたのは、ただ、この年の御前演武が殊のほか盛況であったという記録のみである。


 ——『帝記』より



 ◇


 春には美しく咲き誇っていた桜も、今は青葉が生い茂り、花はひとつもない。


 桜は散る。


 どれほど鮮やかに咲いていても、花はやがて風に舞い、枝だけを残して季節を終える。


 人はそれを儚いと言う。


 けれど、夏の陽光を浴び、秋の冷え込みに青葉を落とし、冬の寒さに枝を震わせても、春になれば、また花を咲かせる。


 散ることは終わりではない。

 次の春へ向かうための、ほんのひとときの眠りなのだ。



 名を失い、居場所を失い、大切な人たちと離れ

 もう二度と、その名前で生きることはないのだと思っていた。


 けれど、季節が巡るように、人もまた歩き出せるのなら。

 もう一度、この名を呼んでもらえるのなら。


 何度でも立ち上がろう。

 何度でも笑おう。

 何度でも、この国で花を咲かせよう。


 桜は、散るからこそ美しいのではない。

 散ってもなお、また咲くからこそ、美しいのだから。



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